L字リビングは独特なレイアウトですが、どのような間取りなのでしょうか。L字リビングの間取りや、横長や縦長など他のリビングのレイアウトとの違いを紹介します。

L字リビングとは、リビングとダイニングをLの字のように配置した間取りで、空間を緩やかに区切りながらつながりを持たせられる特徴があります。配置パターンは物件によって異なりますが、キッチンとダイニングを隣接させて、その正面にリビングを設ける形が一般的なレイアウトです。

多くの住宅で採用されている人気のL字リビングには、その独特な間取りから生まれる多くの利点があります。レイアウトを考える前に、どのようなメリットがあるのかを把握しておくと、より快適な空間作りを実現可能です。L字リビングがもたらす5つのメリットを紹介しますので、参考にしてください。

L字リビングのメリット
・生活空間にメリハリが生まれやすい
・部屋に奥行きが出て広く感じられる
・二面に窓を設けられ部屋が明るくなる
・生活動線をシンプルに設計できる ・来客時に空間を使い分けやすい

L字リビングの間取りは、その形状が視覚的な仕切りとなるため、一つの空間内に異なる役割を持たせ、生活にメリハリを生み出します。I字型のリビングダイニングのように空間が直線的につながるレイアウトとは異なり、L字リビングはくつろぐ空間と食事をとるダイニングというように、エリアごとの役割が自然と定まります。

この特性は家具の配置にも影響を与え、リビングにはソファを、ダイニングにはテーブルセットを置くことで、それぞれの空間の目的がより明確になるのも特徴です。また、キッチンの配置を工夫すれば、調理中の匂いや作業音がリビングまで直接届きにくいレイアウトが生まれます。

L字リビングの間取りは、その特有の形状が視線を操作するため、実際の面積以上に部屋を広く見せる効果があります。

玄関から入った際に部屋全体を一望できないレイアウトは、その先に何があるのだろうという知的な好奇心を刺激し、心理的な奥行きを生み出すのが特徴です。さらに、立ち位置を変えるたびに光の入り方や見える背景が変化し、空間に豊かな表情を与えます。

L字リビングは建物の角に作られることが多い間取りのため、二方向の壁に窓を配置し、部屋全体に光を取り込みやすいという利点があります。一面採光の縦長リビングなどとは異なり、リビングとダイニングのそれぞれに窓を設けるレイアウトが、この間取りの強みです。

午前中はダイニング側の窓から朝日が差し込み、午後はリビング側の窓から柔らかな西日が入るというように、一日を通して自然光のある生活を送れます。さらに、二方向に窓を設けることで風の通り道が生まれ、効率良く換気できるのも大きなメリットです。

L字リビングはキッチンとダイニング、リビングの各エリアを近接して配置するため、生活動線を短く設計するのに適した間取りです。

特に、キッチンとダイニングを隣り合わせにするレイアウトは調理から配膳、食後の片付けまでの移動距離を最小限に抑え、家事の効率を大きく向上させます。この配置は、リビングを通過せずにキッチンとダイニングを行き来できるため、くつろぐ家族の邪魔をしない点もメリットです。

L字リビングは、その形状が自然な死角を生むため、来客時におもてなしの空間とプライベートな空間を分けやすい間取りです。ゲストをリビングに招いた際、L字の角を挟んだダイニングやキッチンは視界に入りにくくなります。このレイアウトのおかげで、生活感の出やすいキッチン周りを気にすることなく、おもてなしに集中できます。

開放的な空間を演出しやすいL字リビングは、人気の間取りです。一方で、独特な形状から家具のレイアウトが難しく、空間をうまく生かせないという声も聞かれます。キッチンやダイニングとの動線を考えた家具の配置や、収納の工夫が暮らしやすさを決める重要なポイントです。L字リビングがもたらす5つのデメリットを紹介します。

L字リビングのデメリット
・空間全体の一体感を出しにくい
・家具の配置が難しい
・空調が部屋全体に効きにくい場合がある
・テレビの置き場所に悩む
・角の部分がデッドスペースになりやすい

L字型のリビングは、リビング空間とダイニング空間が異なる方向を向く間取りのため、視線が交わりにくく空間全体の一体感を損なうのが欠点です。キッチンで調理をする際、ダイニングに背を向けるレイアウトは、リビングで過ごす子供の様子を見えにくくさせます。また、家族がそれぞれの空間で過ごすと会話が生まれにくく、孤立感を生む一因となります。

I字型の間取りに比べて、L字型リビングは壁面の使い方に制限があるため、家具の置き方に悩むことも少なくありません。ソファや壁面収納といった大型家具は長い壁に沿って配置するのが一般的ですが、L字リビングでは壁が途中で折れているため、希望のサイズの家具を置けない場合もあります。

無理なレイアウトを試みると、リビングとダイニングを結ぶ通路が狭くなり、生活動線を妨げてしまうおそれがあります。特にキッチンからダイニングへの配膳やリビングへの移動をスムーズに行えない状態は、日々の暮らしで不便を感じる原因です。

L字リビングは、空間が折れ曲がった間取りが空気の流れを妨げるため、エアコンの風が隅々まで行き渡らず空調効率が低下します。

リビングかダイニングのどちらか一方にしかエアコンを設置できないレイアウトでは、もう片方の空間に冷気や暖気が届きにくく、室内に不快な温度差が生じるのです。結果としてエアコンを過剰に運転させることになり、電気代の上昇という新たな問題も発生します。

L字リビングは空間が折れ曲がる内側の角部分が家具の配置に適さず、人の動線からも外れるため、有効に使いにくいデッドスペースが生まれがちです。この角部分に一般的な四角い家具を置くと、不自然な隙間ができ、レイアウトがまとまりにくくなります。

そのため、何も置かれずに放置されたり、一時的な物の置き場所になったりして、その一角だけが雑然とした印象を与えかねません。また、人の出入りが少ない場所のためホコリが溜まりやすく、掃除がしにくいという衛生面での課題もあります。

L字リビングはリビングとダイニングを自然に分けて配置できる独特な間取りですが、この形状を最大限に活かすためには、基本的なレイアウトのポイントを押さえることが大切です。快適で機能的なL字リビングのレイアウトを実現するための3つのポイントを紹介します。

L字リビングの基本的なレイアウトのポイント
・空間の役割分担を考える
・リビングとダイニングの配置を決める
・人がスムーズに通れる動線を確保する

リビングとダイニングの機能を分けると生活にメリハリが生まれるため、L字の間取りの角を境界線として、くつろぐリビングと食事をとるダイニングに分けましょう。役割が決まれば、それぞれの空間に必要な家具の大きさや、収納の最適な配置もおのずと見えてきます。

L字リビングのレイアウトでは、キッチンとの位置や窓からの光が部屋の雰囲気を大きく左右するため、リビングとダイニングの配置が大切なポイントです。

L字の間取りを上手に生かすには、ダイニングをキッチンの近くに置くのが一般的なレイアウトです。この配置にすると、料理の準備から片付けまでの動きがスムーズになり、家事の負担が軽くなります。一方、リビングを日当たりの良い窓際に配置すれば、明るい光の中でくつろげます。テレビを置く際は、光の反射を考えた配置を心がけましょう。

L字リビングのレイアウトでは、人がスムーズに移動できる動線を確保することが、暮らしやすい空間をつくるうえで大切です。家具の配置で通路が狭いと、毎日の生活が不便になるだけでなく、物にぶつかる危険も伴います。

人が一人で通る場所は、最低でも60cmの幅を確保しましょう。料理を運ぶダイニング周辺や、人がすれ違う場所は70cm以上の幅があると安心です。ソファやテーブルを置く際は、壁との距離を測りながらレイアウトを決めると失敗を防げます。収納家具の扉が開くスペースも忘れずに考慮し、動きやすい配置を心がけましょう。

L字型のリビングは、独特な間取りのため、家具の配置やインテリア選びにも工夫が必要です。しかし、いくつかのポイントを押さえて空間を有効に使えば、おしゃれで快適なリビングになります。家具の配置やインテリア選びで失敗しないための具体的なコツを紹介します。

L字リビングの家具配置やインテリアの選び方のポイント
・部屋の広さにあったサイズの家具を選ぶ
・圧迫感のないデザインの家具を選ぶ
・最初にソファの位置と向きを決める
・テレビが見やすい位置を探す

L字リビングのレイアウトを考える際、間取りに対して家具が大きすぎると圧迫感が出て通路を狭くしてしまうため、部屋の広さに合ったサイズ選びが基本です。

12畳のL字リビングに大きな4人掛けソファを置いた場合、ダイニングやキッチンへ向かう動線が窮屈になることがあります。人が不便なく通るには、最低でも60cmの通路幅が必要です。ソファやダイニングテーブルは、配置した後でもこの幅を確保できるサイズを選びましょう。

L字リビングを広く見せるためには、背が低い脚付きの家具を選ぶのがポイントです。高さが70cm以下のローソファや、脚の高さが10cm以上あるダイニングテーブルを選ぶと、部屋の奥まで見通しやすくなり開放的な雰囲気になります。

また、ガラス天板のテーブルやアクリル製の椅子は光を通すため、軽やかな印象を与えます。さらに、ダイニングやリビングに置く収納家具の色は、壁紙に近い白やベージュといった明るい色を選んで圧迫感を和らげましょう。

L字リビングのレイアウトは、間取りの特性を活かした家具の配置が大切です。また、インテリアの選び方や光の使い方を意識することで、収納まで含めたレイアウト全体がより洗練されます。L字リビングをおしゃれに見せるための3つのポイントを紹介しますので、参考にしてください。

L字リビングをおしゃれに見せるためのポイント
・色使いで空間に統一感を出す
・ラグを敷いて空間にメリハリをつける
・照明を活用して奥行きを演出する

リビングやダイニングなどのエリアで色を揃えると一体感が生まれ、洗練された印象になるため、空間全体の色使いに統一感を持たせることが重要です。ソファカバーやクッションといった布製品を同系色でまとめましょう。

床や壁の色を基準に、家具や小物の色を選ぶと失敗しにくくなります。L字の間取りは視線が分散しやすいため、空間で使う色を3色程度に絞ると、落ち着きのあるレイアウトが生まれます。

リビングやダイニングなどのエリアの役割が明確になるため、L字リビングのレイアウトにはラグを敷いて空間にメリハリをつけるのがおすすめです。リビングスペースにソファと合わせてラグを敷けば、そこがくつろぎの空間だと視覚的に示せます。キッチンに近いダイニングエリアにも別のラグを敷くと、食事のスペースとして独立した印象になります。

複数の照明で光に濃淡を生むと、L字の間取りが持つ立体感を強調できるため、おしゃれなL字リビングのレイアウトには照明で奥行きを演出することが大切です。

天井の主照明だけでなく、ダイニングテーブルの上にはペンダントライトを、リビングのソファ横やL字の角にはフロアランプを配置しましょう。間接照明を壁や天井に当てると光が反射し、空間に柔らかい雰囲気をもたらします。

10畳から14畳のL字リビングは、独特な間取りを生かした家具の配置が、心地良い空間を生む鍵です。10畳から14畳までの広さ別に、キッチンからの動線も考慮した5つのレイアウト実例を紹介します。

10畳の狭い一人暮らしのL字リビングでは、家具の高さを腰より下に揃えるレイアウトが、部屋を広く見せる鍵です。視線が低い位置で水平に広がるため、天井が高く感じられ、L字の間取り特有の圧迫感が和らぎます。リビングには温かみのあるファブリック製ローソファを、ダイニングには座面が低いアッシュ材の椅子を配置しましょう。

テレビボードやサイドボードといった収納家具も同じ高さで揃え、脚が先細りになったデザインを選ぶと、床が見える面積が増えて軽やかな印象になります。

11畳のL字リビングでは、ダイニングに円形テーブルを置くレイアウトが、流れるような動線を生み出します。テーブルの角がないため、キッチンから料理を運ぶ際も体の向きを変えずに回り込め、安全でスムーズです。

L字の間取りで手狭になりがちなダイニング空間に、直径90cmほどの明るい木目の円形テーブルを配置しましょう。壁側には背もたれのないダイニングベンチを置けば、使わない際にテーブル下へ完全に収納でき、リビング側の空間を広く保てます。

12畳のL字の一方の壁に沿ってソファを置き、高さを合わせたウォールナット材のテーブルを組み合わせると、食事のダイニングとくつろぎのリビングの機能を一つにまとめられます。

また、このキッチンに近い家具配置は、配膳や後片付けの動線がスムーズになって便利です。もう一方の広い空間は、ヨガマットを敷くフリースペースにしたり、オープンシェルフで趣味の収納コーナーにしたりと自由なレイアウトを楽しめます。

13畳のL字リビングを明るく見せるなら、白を7割、木目を3割で構成するコーディネートが有効です。壁や天井、リネン素材のカーテンといった広い面積を白にすると、窓からの光を部屋の隅々まで拡散させ、L字の間取りを明るくします。

床やダイニングテーブル、収納家具は、温かみのあるオーク材で統一感を出す配置にしましょう。アクセントとして観葉植物の深い緑や、クッションにスモーキーブルーを取り入れると、空間が引き締まり洗練された印象になります。

15〜18畳の広さを持つL字リビングは、リビングとダイニングの役割を意識した家具の配置が、暮らしやすいレイアウトをつくる鍵です。おしゃれな15〜18畳のL字リビングのレイアウト実例を紹介します。

15畳のL字リビングの間取りでは、キッチンをダイニングと向かい合うように配置するレイアウトにすると、家族との一体感をもたらします。対面式のキッチン配置は、調理中もリビングで遊ぶ子供の様子がわかるため、安心して家事ができるのが特長です。

次に、キッチンの背面に床から天井まで届く壁面収納を設置しましょう。木目調のフラットな扉を選ぶと、壁と一体化して見えます。その収納に食器や調理家電を収めれば、ダイニングキッチンが常に整頓された印象になります。

16畳のL字リビングの間取りでは、リビング側にアイボリーなど明るい色のシャギーラグを敷いて、空間を緩やかに区切りましょう。このラグの配置により、ダイニングとの境界を自然につくり、リビングを読書や映画鑑賞に没頭できる落ち着いた空間になります。

また、使いにくいL字の角には、子供の玩具を収められる木製の収納ベンチを配置します。座面にファブリックのクッションを添えるのも、温かみを加える工夫の一つです。

17畳のL字リビングの間取りでは、日当たりの良い窓際に無垢材のダイニングテーブルを配置するレイアウトにすると、心地良い食事空間が生まれます。窓際にダイニングを配置すると朝は光を浴び、夜は夜景を眺めながら食事ができ、リビングがカフェのような特別な場所へと変わります。

さらに、キッチンからダイニングテーブルの上へ、真鍮製のペンダントライトを吊るしましょう。ダイニングチェアと照明の色味を合わせると、L字リビングのインテリアに統一感が生まれます。

18畳のL字リビングの角にソファを置く配置は、空間の無駄をなくし、リビングにホテルのラウンジのような落ち着きと一体感をもたらします。ソファの背面に、リビングとダイニングを緩やかに仕切る腰高の木製オープンシェルフを置きましょう。視線を遮らずに空間を区切る役割を果たし、間取りのアクセントとしてリビングに温かみを加えてくれます。

20畳を超えるL字リビングは開放感がある一方、家具の配置によっては間延びして見えることもある空間です。しかし、その広さを活かしたレイアウトにより、機能的でおしゃれな間取りが実現します。20畳以上のL字リビングのレイアウト実例を紹介します。

L字の間取りで短い辺の壁にスクリーンを設けるレイアウトは、家族団らんの中心となる特別な空間になるのが特長です。

対面には包み込むような座り心地のチャコールグレーのカウチソファを配置すると、映像への没入感が高まります。AV機器はウォールナット材のロータイプ収納ボードにまとめ、配線を見せないようにするのが、キッチンからの動線を整え洗練された印象にするポイントです。

L字の間取りを活かし、リビングから少し離れた窓際にデスクを置くレイアウトは、キッチンやダイニングから直接視界に入らない、仕事と私生活を両立させる書斎空間になります。

デスクには温かみのあるオーク材を選び、横にスチールフレームのオープンシェルフを配置して、書類などの収納場所を確保します。このシェルフはリビングとの緩やかな間仕切りとしても働き、空間にメリハリが生まれるのが特長です

24畳の広いL字リビングでは視線を心地良く誘導するために、フィカスウンベラータを素焼きの鉢で飾り、その周りに高さの異なるモンステラを白い陶器鉢で配置しましょう。さらに、キッチンのカウンターやダイニング横の収納棚の上に小さなグリーンを置くと、L字の間取りに自然な区切りと生命感が生まれます。

L字の間取りを活かし、キッチンから目が届くダイニング横へキッズスペースを設けるレイアウトは、家事をしながら子供を見守れる安心感を生み出します。床に淡いベージュとグレーのジョイントマットを敷くと、転倒時の衝撃を和らげ、防音対策にもつながります。壁際に子供の背丈に合った木製の低い収納棚を配置すると、自分で片付ける習慣が身につくでしょう。

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