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専門家「風景」をつくるガーデニング術

我が家のローズガーデン2017

居場英則

2017年、今年もあっと言う間にバラシーズンが到来し、そして、あっという間に過ぎ去ってしまいました。
今年は、全国的にバラの開花が遅かったようで、我が家のある奈良、関西地区でも昨年より1週間〜10日ほど
遅い開花だったという話をいろいろなところで耳にしました。

我が家では、ガーデン雑誌社さんの取材や地元テレビ局の取材対応、友人たちとのガーデンパーティや一般の
お客様をお迎えしたオープンガーデンなど、今年もバラ一色の一ヶ月でした。
慌ただしく日々のイベントをこなす中で、ガーデンのバラの様子を写真で収めてきましたが、多すぎて、
なかなか個人ブログの更新がおぼつかない状態です。

そんな中、こちらのブログの方で、我が家の今年のバラ風景を一足先に振り返ってみようと思います。
我が家のローズガーデンの信条は、一貫して「風景をつくるガーデニング」です。
2017年、今年の我が家の「バラのある風景」を、ダイジェストでご覧いただこうと思います。

● マジックアワーに浮かび上がるバルコニーガーデン

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まず、最初にご覧いただく画像は、こちらです。

我が家の2階のバルコニーガーデンです。
我が家は高台にあって、2階の眺望が良いので、リビング・ダイニングは2階にあります。
写真は、その2階ダイニング前にある、小さなバルコニーをガーデン化した空間です。

昨年から、バルコニーガーデンをつくり始めて2年目の今年は、バルコニーの手すりだけでなく、
軒へとつるバラを誘引して、「バラの花に囲われた感」を演出してみました。
バルコニーには、壁付け型の照明器具が設置してあり、夕暮れ時のマジックアワーを狙って、撮影をしてみました。
空が青く染まる中に照明に照らし出されたピンクのバラの花が浮かび上がり、美しい風景が出来上がりました。
今年イチオシの空間です。

● 朝日を浴びながら、バラと眺望を楽しむバルコニーガーデン

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こちらは、バルコニーガーデンの朝の景色です。

このバルコニーは、東を向いており、毎日朝食を食べる頃には、朝日が上がって来て、
このバルコニーガーデンを照らします。
ダイニングから窓越しにバルコニーガーデン、そして、その向こうに広がる奈良盆地を見下ろす風景を堪能できます。
休日には、バルコニーガーデンに置いたデッキチェア寝転んで、バルコニー中に立ちこめるバラの香りに
包まれながら、ぼーっと遠くを眺めるのが、まさに至福の時間です。

● オープンガーデンでゲストを迎えるサンルーム

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今年も5月の最終週の週末の2日間、オープンガーデンを開催しました。
ご近所だけでなく、遠方からもわざわざ我が家の庭を多くの方に見に来ていただきました。
できるだけ美しい状態で見ていただけるよう準備をするのは大変ですが、お越しいただいたゲストの方々と、
いろいろバラ談義をする時間は本当に楽しいですね。

こちらの画像は、我が家の中庭にあるサンルームです。
お越しいただいたゲストの方に、ここで記帳していただいています。
暑い時間帯には、少し日影になる快適な空間です。
昨年度に応募したガーデンコンテストのパネルを展示したり、心地良いボサノバの音楽をBGMで流したりして、
おもてなししています。

● 今年、「ランウェイ・スタイル」を導入した中庭花壇

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こちらは、我が家の中庭空間。
中庭の奥の方から、前庭方向を見た画像です。

一見、昨年と何ら変わりない風景に見えますが、実は、いろいろ変わっています。
画面右側、玄関ドア横の小壁に誘引しているつるバラは、今年我が家にやって来たつるバラで、
イングリッシュローズのテス・オブ・ダーバービルズ。
鮮やかなローズピンクの色がとても目を惹く美しいバラで、低い位置でカーブさせるように誘引した結果、
たくさんの花を咲かせてくれました。
中庭のシンボルローズ的なバラとなりました。

そして、一番変わったのが、中庭花壇の植栽方法です。
この写真でも分かる通り、我が家の中庭花壇は、2階が張り出した部分に位置している関係で、日当りが悪い上、
前庭との仕切りのガラス扉を普段は閉めていて風通しが悪く、植物の生育にとても制約の多い場所でした。
昨年は、この花壇に木立性のバラや宿根草を地植えしていましたが、日照不足で花が咲かず、枝も徒長する上、
軒下で乾燥しているため、ハダニの被害が多発しました。

今年は、この悪条件をリカバーする工夫として、「ランウェイ・スタイル」を導入しました。

● テラコッタ鉢を埋め込み、スリット鉢を入れ替えする「ランウェイ・スタイル」

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こちらは、昨年末に中庭花壇を改良した際の写真です。

この花壇に地植えしていた木立性のバラはすべて抜きとり、変わりにテラコッタ鉢を多数、地面の中に
埋め込みました。
小さなスペースを有効活用するため、3列にテラコッタ鉢を埋め込み、その埋め込み高さを変えています。
建物側の最後列は、埋め込んだテラコッタ鉢の底を抜き、レイズドベッド風にしてつるバラやクレマチスを
地植えしています。
花壇の手前2列にも少しの高低差を持たせ、植物の配置を立体的にするとともに、繁茂する葉や枝の蒸れを
低減する役目を持たせています。

● 旬な花を咲かせた鉢を次々に着せ替える「ランウェイ・方式」

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こちらの画像は、埋め込んだテラコッタ鉢に紫陽花を植え込んだスリット鉢を、試しに入れてみたものです。

メインのテラコッタ鉢は、8号ロングスリット鉢がピタッと入るサイズに統一し、木立性のバラの他、
シャクヤクや紫陽花、クリスマスローズなども、同じ8号ロングスリット鉢に植え替え、
この「ランウェイ・スタイル」に適応するようにしています。
こうすることで、たっぷりと陽の光があたる場所で花を咲かせた鉢を、この中庭花壇に持って来て、埋め込んだ
テラコッタ鉢にセットすることで、日影でも咲いた花を楽しむことができるようになる、というアイディアです。

また、5月にシャクヤクやバラが咲いた後、6月には紫陽花の鉢に入れ替え、冬にはクリスマスローズ、春には
チューリップというように、季節毎の花を次々とこの場所で咲かせることができる、
まさに着せ替えしたモデルさんが歩く「ランウェイ」になるのです。

8号ロングスリット鉢にメインの植物を植え、その足元を補完するように、5号や6号ロングスリット鉢を
入れられる小さなテラコッタ鉢も地面の中に埋め込んでいます。
5号や6号ロングスリット鉢には、サルビアやヒューケラなどの宿根根草も植えて用意しておくことで、
バラや紫陽花とコラボさせることができ、より多用な植栽演出ができるようになります。

一般的な花壇では、一緒に地植えした宿根草が、メインの植物の足元に追いやられ、光を求めて徒長することも
しばしばありますが、この「ランウェイ・スタイル」では、宿根草も、日当りの良い場所で真っ直ぐ上を向かせて
咲かせてから、この日影花壇に移動せるので、きれいに共存させで咲かせることが可能です。

● 「ランウェイ・スタイル」で咲かせた、今年の中庭花壇のバラと宿根草

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これまでなかなかうまく咲かせることができなかった我が家の中庭花壇のバラですが、
今年は、この「ランウェイ・スタイル」を採用して、かなり改善されました。
まだ、花壇に植えた木立性のバラが大きく育っていませんが、きれいに花を咲かせた状態で、
この中庭花壇に並んでいます。
一緒に植えている宿根草の青いサルビアも、真っ直ぐ上に穂を立てて咲いてくれています。
スリット鉢の木立性のバラをランウェイ前列、中列で高低差を付けた剪定を行えば、咲かせた時に、
さらに立体感を出せるのではないかと考えています。

● カラフルな配色の中庭のバラ、今年は香りを重視

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こちらは、我が家の中庭を前庭方向から見た写真です。

ほぼ毎年、同様の景観がつくれるように安定してきましたが、細かいところでは
毎年のようにつるバラの配置を変えています。
今年は、フォーカルポイントになる赤いバラを多用し、いつになく華やかな風景になりました。

また、今年は、「バラの香り」にも着目し、イングリッシュローズをはじめとして、
良く香るバラを中庭に集めました。
我が家の中庭は、コの字形の建物に囲まれた閉ざされた空間なので、朝方、気温の上昇とともにバラの香りが
この中庭に漂って、素晴らしい香り空間に身を置くことができます。
朝の水遣りの時間が、最も癒される時間帯です。

● 今年もこの風景に出会うことができた幸せ

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そして、こちらが、我が家のシンボル的な風景。
前庭から中庭方向を見た写真です。

ガラス扉の両側の白い壁面に誘引した赤やピンクのつるバラが、ガラス扉の上でつながり、
まるでバラのアーチのような風景を作っています。
奥の方を見ると、中庭の正面にデッキチェアが並び、フォーカルポイントになっています。

このゲート部分を囲むつるバラは、ほぼ固定化し、毎年同じような風景を作り出すことができるように
なってきました。
今年もこの風景に出会うことができて、とても幸せです。
寒空の中、つるバラの誘引を頑張ったご褒美かもしれません。

● 白い壁面を覆う、赤、ピンクの小花のつるバラ

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この風景を構成しているつるバラは、ガラス扉の向かって右側、サンルームの壁面側が、キングローズ、
レッド・キャスケード、そしてアントニオ・ガウディ。
ガラス扉の向かって左側に、大型のつるバラで地植えしているジャスミーナ、その下のテラコッタ鉢で
育てているのが、シュラブ樹形のレッド・レオナルド・ダ・ヴィンチです。
ガラス扉の奥には、サンルームのブルーグリーンの板張りの壁が透けて見えていて、
少しリゾート感を感じるような設えとなっています。

今年のオープンガーデンにお越しいただいたゲストの方々からも、ここのつるバラと建物が織りなす風景が
とても良かったと、お褒めの言葉をいただき、本当に嬉しく思いました。

● 街のオアシス、花と緑の前庭空間

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最後に、もう一枚。
こちらが、今年2017年の我が家の前庭の全景です。
細かい部分の変更はありますが、概ね昨年同様の風景がつくれました。

年々、高木が茂り、つるバラも大きくなりますが、限られた空間の中で、
バランス良く美しい風景を作り出せるよう、日々のメンテナンスを心がけています。

我が家の前庭は、前面道路に開かれたオープン外構となっています。
周囲の街並の中に出現した、緑と花のオアシス的空間です。
いつまでもこの風景がつくれるよう、頑張ってきたいと思っています。

次回6月は、バラに変わって我が家の庭の主役になる紫陽花がテーマです。
今回のレポートでも書きました中庭花壇の「ランウェイ」、そこにたくさんの鉢植えの紫陽花を並べて、
紫陽花が咲き乱れる中庭空間を作り出せたらと思っています。
紫陽花は、我が家の前庭の定番風景でしたが、今年は中庭でも咲かせてみます。
うまく行くか、乞うご期待。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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