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専門家「風景」をつくるガーデニング術

水庭のランドスケープが美しい、滋賀県守山市にある「佐川美術館」

居場英則

前の記事で、今年の夏に訪れた滋賀県近江八幡の街並みや、洋菓子メーカー・たねやさんの商業施設、

ラ・コリーナ近江八幡のランドスケープや建物について、書かせていただきましたが、

今回は、その後で訪れた滋賀県守山市にある美術館、「佐川美術館」を紹介したいと思います。

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佐川美術館は、佐川急便の社業40周年記念事業の一環で建設された美術館らしく、

滋賀県守山市の琵琶湖湖畔に建っている、非常に美しい建物とランドスケープの施設です。

館内には、日本を代表する芸術家・日本画家の平山郁夫氏と彫刻家・佐藤忠良、陶芸家の樂直入氏の作品が

数多く収集され、展示されています。

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建築は、大手ゼネコンの竹中工務店の設計・施工で、床面積が約8,000㎡もある巨大な施設で、

これまでに、グッドデザイン賞や日本建築学会賞(作品賞)など、数多くの賞を受賞し、

その美しさが社会的に評価された建物・ランドスケープです。

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2棟の切妻屋根の建物(展示室)が、リニア(並行)に並ぶシンプルな構成です。

屋根は、伝統的な日本家屋のような「むくり」が表現されていて、新しいモダンなデザインながらも

どこか日本らしさを感じる建物となっています。

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2棟の建物は、並行に配置されながらも、わずかにずれているため、奥行き感があり、独特の美意識に満たされた

「風景」を構成しています。

そして、その2棟の建物に周囲には、滋賀県の母なる湖、「琵琶湖」をイメージした水盤が配置され、

シンプルながらもとても美しいランドスケープがデザインされています。

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建物はとても巨大で、広角レンズを使っても、なかなか全部が入りきらないほどです。

手前の建物に沿って、大きな水盤が作られています。

まるで湖の中に浮かんでいるかのような建物です。

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こちらが、手前の建物へのメインアプローチ。

写っている人物との比較で、この建物の大きさが分かっていただけると思います。

建物の妻側も、大きく庇が張り出して、その庇の軒裏に、水盤からの反射光が影を落とし、

なんとも美しいシーンをつくっています。

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メインアプローチから、奥の建物を見たアングルです。

水盤のあるランドスケープに、青い空が映り込んで、本当に美しい風景になっています。

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メインアプローチから、建物内部へと進んでいきます。

水に浮かんだ建物へ導かれるような演出です。

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この長い庇の下を奥へ進んでいくと、建物への出入り口に繋がります。

注目すべきは、水盤と建物(通路)の境目。

細い溝がつくってあって、そこに溢れた水が流れ落ちるように設計されています。

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この庇の下の通路から、水盤越しに対岸の緑を見たアングルです。

こちらの長辺の庇にも、水盤に反射した光がキラキラと波紋を描いていました。

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こちらは、建物に入って、2棟をつなぐ渡り廊下のようなところから、外部の水盤を見たところです。

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大きなガラス面とその周囲のアルミのフレームが、まさに額縁効果となって、

一枚の美しい絵を見ているような錯覚を覚える空間です。

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こちらは、手前の建物の地下から繋がっている別棟の展示空間で、陶芸家の樂吉左衛門館。

展示室は、撮影がNGなので紹介できませんが、この地下空間には、上部の水盤から取り込まれた光が

トップライト的に、コンクリート打ち放しの壁面に降り注いでいます。

美意識の粋を感じる、とても素晴らしい空間でした。


佐川美術館、建物もランドスケープも、そして美術品も全てが一級品の素晴らしい場所でした。

是非一度、見に行っていただきたい場所です。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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