2025.9.29
前の記事で、今年の夏に訪れた滋賀県近江八幡の街並みや、洋菓子メーカー・たねやさんの商業施設、
ラ・コリーナ近江八幡のランドスケープや建物について、書かせていただきましたが、
今回は、その後で訪れた滋賀県守山市にある美術館、「佐川美術館」を紹介したいと思います。
佐川美術館は、佐川急便の社業40周年記念事業の一環で建設された美術館らしく、
滋賀県守山市の琵琶湖湖畔に建っている、非常に美しい建物とランドスケープの施設です。
館内には、日本を代表する芸術家・日本画家の平山郁夫氏と彫刻家・佐藤忠良、陶芸家の樂直入氏の作品が
数多く収集され、展示されています。
建築は、大手ゼネコンの竹中工務店の設計・施工で、床面積が約8,000㎡もある巨大な施設で、
これまでに、グッドデザイン賞や日本建築学会賞(作品賞)など、数多くの賞を受賞し、
その美しさが社会的に評価された建物・ランドスケープです。
2棟の切妻屋根の建物(展示室)が、リニア(並行)に並ぶシンプルな構成です。
屋根は、伝統的な日本家屋のような「むくり」が表現されていて、新しいモダンなデザインながらも
どこか日本らしさを感じる建物となっています。
2棟の建物は、並行に配置されながらも、わずかにずれているため、奥行き感があり、独特の美意識に満たされた
「風景」を構成しています。
そして、その2棟の建物に周囲には、滋賀県の母なる湖、「琵琶湖」をイメージした水盤が配置され、
シンプルながらもとても美しいランドスケープがデザインされています。
建物はとても巨大で、広角レンズを使っても、なかなか全部が入りきらないほどです。
手前の建物に沿って、大きな水盤が作られています。
まるで湖の中に浮かんでいるかのような建物です。
こちらが、手前の建物へのメインアプローチ。
写っている人物との比較で、この建物の大きさが分かっていただけると思います。
建物の妻側も、大きく庇が張り出して、その庇の軒裏に、水盤からの反射光が影を落とし、
なんとも美しいシーンをつくっています。
メインアプローチから、奥の建物を見たアングルです。
水盤のあるランドスケープに、青い空が映り込んで、本当に美しい風景になっています。
メインアプローチから、建物内部へと進んでいきます。
水に浮かんだ建物へ導かれるような演出です。
この長い庇の下を奥へ進んでいくと、建物への出入り口に繋がります。
注目すべきは、水盤と建物(通路)の境目。
細い溝がつくってあって、そこに溢れた水が流れ落ちるように設計されています。
この庇の下の通路から、水盤越しに対岸の緑を見たアングルです。
こちらの長辺の庇にも、水盤に反射した光がキラキラと波紋を描いていました。
こちらは、建物に入って、2棟をつなぐ渡り廊下のようなところから、外部の水盤を見たところです。
大きなガラス面とその周囲のアルミのフレームが、まさに額縁効果となって、
一枚の美しい絵を見ているような錯覚を覚える空間です。
こちらは、手前の建物の地下から繋がっている別棟の展示空間で、陶芸家の樂吉左衛門館。
展示室は、撮影がNGなので紹介できませんが、この地下空間には、上部の水盤から取り込まれた光が
トップライト的に、コンクリート打ち放しの壁面に降り注いでいます。
美意識の粋を感じる、とても素晴らしい空間でした。
佐川美術館、建物もランドスケープも、そして美術品も全てが一級品の素晴らしい場所でした。
是非一度、見に行っていただきたい場所です。
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