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専門家「風景」をつくるガーデニング術

滋賀県近江八幡市・八幡堀2025夏

居場英則

前2つの記事で、滋賀県近江八幡市にある、洋菓子製造の「たねや」さんの旗艦店、「ラ コリーナ近江八幡」の

ランドスケープについて書かせていただきました。

今回は、その「ラ コリーナ近江八幡」がある街、滋賀県近江八幡市の中心部の「八幡堀」を紹介したいと思います。

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実は、この「八幡堀」は、こちらのディノスさんのブログでも、以前に紹介させていただいたのですが、

5年以上も前で、なおかつ黄色いカキツバタが水辺に咲いていた5月でした。

今回は、夏の盛りの8月上旬でした。

5年前と街の様子が変わったのか、変わらないのかも含めて、紹介していきたいと思います。

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近江八幡市のシンボルである「八幡掘」は、安土桃山時代に豊臣英次が八幡山城を築城した際、

市街地と琵琶湖を連結するため造られたそうで、城を防御するための軍事的な役割と、

当時の物流の要であった琵琶湖の水運を利用する商業的な役割を備えていたと伝わります。

一方、この美しい八幡掘も、戦後の高度経済成長期の頃になると、生活排水が流れ込み、

川底にはヘドロが堆積し、悪臭を放つようになっていたようです。

堀を埋め立てて公園と駐車場にする計画が持ち上がったようですが、地元の青年会議所が中心となり、

近江八幡の誇りとして「八幡堀」を蘇らせようと活動をスタートし、

やがて堀の保存・修景運動は市民全体の運動へと広がっていったそうです。

昭和57年(1982年)、国土庁の「水緑都市モデル地区整備事業」に指定され、堀の石垣が復元され、

堀沿いに遊歩道や親水広場が作られていきました。

そして、平成4年(1992年)、付近一帯が国の「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されたそうです。

地域住民の熱い思いが形になって、美しい風景が後世に受け継がれていくことができた素晴らしい事例と言えます。

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八幡堀では、掘の水面に近い歩道まで下りることができます。

堀には、観光客を乗せた船が往来しています。

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堀の両側にある建物の庭木が大きく成長して、掘にせり出すように枝を伸ばしています。

その枝葉が、夏の強い日差しを遮って、心地よい木陰を作っています。

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観光船は、掘の途中で折り返しします。

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なぜなら、掘の両側の街をつなぐ橋が架けられているからです。

この橋は、二艘の船を橋の橋脚替わりにした「浮き橋」になっています。

これも風情のある仕掛けです。

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その「浮き橋」の上から、今歩いて来た方向を見たところです。

白い漆喰壁と木でできた堀側の景観と、大きく堀に張り出した樹木の緑がとても美しいコントラストを

つくっています。

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浮き橋を渡ったところには、建築家・出江寛氏が設計した「瓦ミュージアム」が建っています。

瓦を屋根材だけでなく、意匠材(仕上げ材)として、床や枠など様々な部位で使われています。

伝統とモダンが混在した、とても魅力的な建築です。

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堀沿いには、かつての裕福な豪商たちが暮らした白壁の土蔵や旧家が立ち並んでいます。

以前に来た時よりも、堀に張り出した樹木のボリュームが大きくなっているような気がします。

春(5月)には、水辺の際に、黄色いカキツバタの花が咲き揃って、さらに美しく見えます。

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このあたりは、建物の土台となる石垣に、ツタのようなつる性の植物がびっしり生え広がっていました。

大きな緑の壁が出現していました。

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堀を行き交う観光船が、橋の下をくぐって行きます。

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橋の向こうにも、堀が続き、両側から伸びた樹木が、緑のトンネルを構成しています。

まさに、日本人の感性を揺さぶる美しい風景です。

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その橋の上から、八幡堀を見渡してみました。

5年以上前に、ここを初めて訪れた時と、全く変わらない風景です。

この美しい風景がいつまでも受け継がれていくことを望みます。

奥の青い空には入道雲が現れて、まさに夏真っ盛りの一日でした。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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