2026.1. 7 / 緑化建築物
2026年(令和8年)がスタートしました。
dinos さんのこちらの「ガーデンスタイリング」で、ブログコーナーで連載を持たせていただいて、
早いもので、丸10年が経ちました。
今年で11年目に入ります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
最初は、いちブロガーとして、コーナーを持たせていただいてましたが、
(※こちらが、記念すべき1本目のブログ記事です。よろしければご覧ください。)
途中からはガーデンデザイナー、ランドスケープアーキテクトとなり、専門家として、このブログコーナーで
記事を書かせていただけるようになりました。
今年も、皆さまに何かお役に立てる情報や、ガーデンの写真などをたくさん紹介できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年2026年の1本目のブログ記事は、昨年末12月に仕事で旅した台湾のガーデン紹介の続きから始めます。
仕事は、台湾の首都・台北だったのですが、台湾に来たのなら、どうしても見たい建築があったのです。
それが、こちら↑の建物。
台湾の首都・台北から約170㎞ほど離れた、台湾中部の都市・台中(台北に次ぐ台湾第2の都市)にある、
「臺中国家歌劇院」という劇場建築です。
この建物を設計したのは、建築界のノーベル賞とも称されるプリツカー賞を受賞した建築家で、世界的にも著名な
日本人建築家・伊東豊雄氏です。
国際設計コンペで最優秀賞に輝き、その独特のフォルム(意匠)や構造から「世界で最も建築が難しい」と言われ、
約6年もの歳月をかけて施工されたそうです。
「世界9大新ランドマーク」にも選ばれ、設計のコンセプトは、「音の洞窟」。
「芸術と心の音を聴く」という意味合いが込められているそうです。

「臺中国家歌劇院」の公式HPの解説によると、
設計者の伊東豊雄氏は、「劇場の外観をより自然に近い「いきもの」として構想し、
これまでの枠組みを飛び出し、幾何学的ではなく、自然な有機体らしいラインの
構造物にすることで、私たちが忘れていた活力と創意を取り戻そうとししている。
そこで、起伏が連なるカーブを描いた曲面壁を主な構造体とし、
様々な大きさの洞窟のような空間を生み出した。
ここに身を置くと、感覚が研ぎ澄まされ、自然の変化が感じられる。
大きなガラスのとばりと境界のない空間では内と外が融合し、
大自然に開かれた建築には、陽の光、空気、水、音が駆け抜け、
芸術が集まり、漂い、万物が生まれては消えていくように命の営みが
いつまでも続くことだろう。」と述べています。

広場側のメインファサードの外観は、ガラスのカーテンウォールや
コンクリートの壁面が、ワインボトルのようなフォルムを描いていますが、
設計者の伊東豊雄氏は、「壺中居」と名付け、美酒に酔いしれるように
舞台芸術に心酔することを象徴したデザインとなっています。
その中でも、特にこちら↑は、3次元曲面が外部にも表れ、異彩を放っています。
こちらが、「臺中国家歌劇院」(National Taichung Theater)のメインエントランス。
こちらが、メインエントランスを入った正面。
「臺中国家歌劇院」の公式HPの解説によると、
「カーブを描く曲面壁が建築物の構造体そのものになっていて、世界でも例を見ない画期的なもので、
末端を除き。ほとんど直線はありません。58の曲面壁と29の洞窟で、様々な大きさのスペースを生み出し、
それらのスペースはそれぞれ緩やかに繋がっています。
流れるような空間は、くっきりと分かれていた従来の建築物の枠組みを飛び出し、「いきもの」として作り上げる
というコンセプトが実践されています。」とのことで、まさに巨大な地下空間か洞窟の中にいるような感覚に
なりました。
ところどころに色のついた壁面があり、おそらくここが上下階をつなぐ何らかの設備的な役割を
果たしているのだと思います。
この建築の特徴である、「カテノイド」と呼ばれる三次元曲面の構造体が、床、壁、天井といった建築要素と
一体化し、広々とした空間の中に、いくつもの穴をあけて、照明やトップライトからの光が、
空間にグラデーションを与えています。
こちらの写真は、この建築空間の異彩さを見事に表していると思います。
側面(外壁)や天井にいくつもの穴が開き、光を拡散させながら、同時に陰影も作っている、
そんな摩訶不思議な空間でした。
こちらは、メインエントランスとは反対側の建物長辺の壁。
周囲の高層ビル群を切り取るような、開口部となっていました。
2階には、メインホールとサブのホールが設けられ、「ホワイエ」と呼ばれる劇場のロビーや休憩所は、
天井高が20m近くもあり、垂直方向の空間の広がりを感じさせてくれます。
写真だけを見ると、ここが劇場とは思えない、洞窟や大聖堂の内部空間を思わせるような空間でした。
梁や柱といった一般的な建築物にあるべきものがなく、どこを見渡しても不規則な曲線でデザインされています。
(中央の黒いガラスの箱のようなものが、エレベーターシャフト)
壁の丸い玉は、ガラスブロックのようなもので、外の自然光を感じることができ、
夜になれば、内側から灯される明かりが外へ漏れるようになっています。
天井に設けられたダウンライトの丸とが同化して、不思議な空間となっていました。
こちらは、面白い空間です。
少し引いて見ると、こんな感じ、
この小さな空間は、外部に出れるバルコニーとなっています。
臺中国家歌劇院では、演劇などのイベントを見に来られる人だけでなく、多くの観光客も訪れ、
ガイドツアーも行われていました。
この小さな外部に出れるバルコニーは、設計者・伊東豊雄氏がとても気に入っている場所のひとつと、
ガイドツアーの人が説明していました。
こちらは、外から見える小さなバルコニーのある壁面。
白い壺(神酒を注ぐを「瓶子(へいし)」のような壺)を縦に割ったような空間のくぼみに、
さりげなくガラスの手すりが設けられているのが分かりますでしょうか?
そこに出ることができるようになっています。
設計者の遊び心を感じる空間です。
さて、建築の話ばかりしていましたが、ここからは「臺中国家歌劇院」にあるガーデンのことも紹介しましょう。
臺中国家歌劇院の建物では、屋上庭園が設けられ、そこへ無料で立ち入りことができるようになっています。
「カテノイド」と呼ばれる独特の3次元曲面の構造体が、屋上にもいくつも立ち上がっていて、
その白い壁面に、匍匐性の植物が這い上がってきています。
もう少し時間が経てが、この壁面を覆いつくし、緑の煙突のようになるのではないかと思います。
臺中国家歌劇院は、台北市の中心部にあり、周囲にはオフィスやマンションなどの超高層ビル群があり、
取り囲まれたような公園のような空間となっています。
ルーフガーデンは美しく手入れされ、植栽にもカラーリーフが用いられるなど、多彩な植栽計画がされています。
少し分かりにくいですが、中央の白い煙突の上(中)には、受水槽らしきものが設置されています。
臺中国家歌劇院に公式HPには、上空から撮影した写真があり、それを見ると、この白い煙突状の上(内部)には
受水槽や空調の室外機など、設備的なものが格納されており、ガーデンから見えない様に配慮されています。
このルーフガーデンには、雲形のベンチなども設置され、来館者の憩いの場所となっています。
こちらでは、白い曲面を匍匐性の植物が這い上がり、トップまで到達しています。
数年後には、この壁面全体が緑で覆われていると思います。
そうなると、またこのルーフガーデンの景色も一変すると思います。
こちらは、もうかなり緑に覆われつつあります。
見る角度によって、ルーフバルコニーの風景も変わります。
こちらは、白い煙突状の壁が連続して立ち上がっています。
山のようでもありますし、切株の連続のようにも見えます
地面がびっしりと緑で覆われているのが良いですね。
こちらの正面奥は、建物外壁面の立ち上がりが見えています。
ここだけが、この空間が建築で出来た屋上庭園だということを感じさせる場所でした。
このグレーの建屋が、屋上庭園へのアプローチとなる塔屋的なエリアです。
緩やかにカーブする園路とのコントラストが美しいです。
その塔屋部分を正面から見たところ。
「臺中国家歌劇院」にもし行かれることがあったら、建物(外観や内部空間)に圧倒されると思いますが、
是非、この不思議な屋上庭園(ルーフガーデン)へも行ってみて下さい。
「臺中国家歌劇院」の内部空間、屋上庭園をひととおり堪能したあと、改めて外部から全景を眺めてみました。
写真は角の部分ですが、先ほど紹介した小さなバルコニーの上に、屋上庭園が少し見えています。
黒い箱のような部分は、おそらく大劇場の「フライロフト」と呼ばれる、幕などを収納する建屋だと思います。
こちらは、建物に隣接した屋外劇場。
階段状に半円形の座席が設けられていました。
ここも緑化され、周囲の高層ビル群との対比の中で、オアシスのような空間となっています。
こちらは、道路を隔てて「臺中国家歌劇院」に」隣接する建物。
おそらく集合住宅だと思いますが、相当高級なレジデンスかと思います。
このレジデンスのバルコニーの大木が、住まい手により緑化されていることも
とても印象的でした。
こちらは、「臺中国家歌劇院」の敷地の中で咲いていた花木。
訪れたのは12月も中旬、真冬ですが、この咲きっぷり。
さすが亜熱帯地域の台湾です。
花木の品種が分からなかったのが残念ですが、ソメイヨシノの開花期のように
葉が全くなく、花だけがこんもりと咲いていて、とても印象的でした。
いかがでしたでしょうか?、「臺中国家歌劇院」。
日本人建築家・伊東豊雄氏の代表作のひとつですが、とても素晴らしい空間でした。
こんな素晴らしい建築や空間を創造された伊東豊雄氏、日本人として大変誇らしく思いました。
台湾、台中へ行かれる方は、是非「臺中国家歌劇院」を訪れていただきたいと思います。
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