2026.1.22 / 緑化建築物
今年2026年の2本目のブログ記事ですが、昨年末より書いている「2025年12月・台湾への旅レポート」の続編で、
ひとつ前の記事で書きました「臺中国家歌劇院」を設計された日本人建築家・伊東豊雄氏の設計による
もう一つの有名な建築物、「台湾大学・社会学部図書館と学部棟」について紹介したいと思います。
台湾に行くなら、是非見てみたいと思っていた建物が、こちら↑の「台湾大学・社会学部図書館」です。
ネットの画像で、よくこの写真を見かけるのですが、「一体この建物はなんだ!」を思うような、唯一無二の
デザインのルーフが印象的でした。
是非、この建物を間近で見てみたいと思って、台湾大学へ行ってみました。
ちなみに、国立台湾大学は、日本統治時代の1928年に設立された台北帝国大学を起源とする国立大学。
日本でいうところの東京大学にあたる、台湾の最高学府です。
現地に到着し、図書館の受付で、内部を見たいと伝えると、パスポート提示(見学中、パスポートを受付に預ける)
で、図書館内部の見学が許されました。
写真撮影もOKのようですが、図書館の中では学生が勉強もしていましたので、一眼レフカメラのシャッター音が
気になるため、スマホのマナーモードで撮影したので、いつもの写真と画角が少し異なりますが、ご容赦ください。
四角いガラスの箱の中に、無数の白い柱がランダムに立ち上がり、天井ではその一つ一つが傘のように広がって
その円(実際には円形ではなく、おむすび型)がいくつも接するに配置されています。
こちらは、受付のある学部棟から、この図書館に入ってすぐの場所。
天井の曲面に呼応するかのように置かれた展示テーブル。
おススメの図書などが陳列されていました。
それぞれの柱は、蓮の葉のような小さなおむすび型の天井へつながっています。
というより、蓮の葉(おむすび型)の天井から、液体が流れ落ちてくるようなイメージを持ちました。
ジブリ映画の「風の谷のナウシカ」に出てくる「桴海(ふかい)の森」の中にいるようにも感じました。
天井のおむすび型の円と円の隙間から、太陽光が中に降り注ぎます。
まるで樹の下から見上げた時の木漏れ日のようにも感じます。
また、天井のところどころに吊り下げられたゴールドに塗装された円盤状のものは、照明器具で、
そこから人工的な光を天井にバウンド(反射)させることで、空間全体を柔らかく照らしています。
蓮の葉(おむすび型)の天井の間から差し込む自然光と、天井にバウンドさせる間接照明とがとても良いバランスで
優しい光の天井がデザインされています。
この特徴的な天井は、設計者の伊東豊雄氏が、台湾ではよくみられる「蓮の葉」が集まったようなイメージから
着想を得たと言われています。
こんなに美しい天井はなかなかお目に掛かることができません。
この図書館の見どころは、天井だけではありません。
書架も本当に美しくデザインされています。
書架(本棚)や椅子のデザインは、伊東豊雄氏の建築ではお馴染みの、家具デザイナー・藤江和子さんのデザイン。
藤江和子さんのデザイン事務所のホームページに、この図書館の家具デザインのコンセプトの記述がありました。
「この図書館は、約50m四方の平屋棟で、外部の中庭と一体感がある。
できるだけ背の低い書架に蔵書可能とするための書架配置を提案し、部分的に7段書架を挿入することで、
竹林のように柱が林立する空間にダイナミックなエネルギーを発生させることを意図した。」
と、紹介されています。
内部空間の柱は、規則正しいグリッドではなく、ランダムに配置されています。
建物中央ほど柱の間隔が狭く(密に配置され)、外側に行くにしたがって広くなっています。
一見すると、こんなにたくさんの柱があると、邪魔になるのではないかと思いますが、
歩いていても柱が邪魔になることはありませんでした。
というのも、細い柱は本棚の間に配置されているのです。
つまり、書架の配置も設計時に同時に計画されていたことが分かります。
こちら↑は、図書館内に掲げられていた書架の配置図。
書架は、いくつかの波紋が影響しあいながら、ぐるぐると渦巻くデザインとなっています。
このよう渦巻き型の書架レイアウトとすることで、まるで複雑な迷路の中を歩いている
ようなに不思議な感覚に陥りました。
もう一度、特徴的な天井を見てみます。
人工的な照明器具(ダウンライトなど)はどこにも見えないのに、自然光と間接照明のバウンド光により
美しい陰影が生まれています。
次は、これを外から(上から)見てみることにします。
こちらは、図書館棟に隣接する学部棟のバルコニーから、図書館の屋根を見下した写真。
奥には、台湾大学の茶色いレンガタイルの外壁の建物群が見えています。
台湾の街では、このような茶色いタイルを貼った建物が多くみられました。
亜熱帯気候の台湾は、雨も多く、外壁が汚れやすいため、汚れの目立ちにくい、茶色やグレーの外壁が多いのでは
ないかと思いました。
学部棟の別のバルコニーへ移動して、図書館棟の屋根に近づいてみました。
内部から「蓮の葉」(おむすび型)に見えていた白い天井面は、外部では緑の「蓮の葉」のようになっています。
残念ながら、この緑の部分は植物ではなく、人工芝で出来ていました。
内部へ光を導いていた天井の小窓は、屋上では雨仕舞のため少し浮きあがったようなトップライトになっています。
この屋根の端部は、「蓮の葉」が突き出すようなランダムなデザインとなっています。
この広大なフラットな屋根の排水が気になりました。
一方に勾配を取るのではなく、ところどころに集水の穴(ドレーン)が設けられ、
それが、細い柱の中を通って、外に排水されているようです。
確かに、この特徴的なデザインに、変な軒樋がついていると興醒めになってしまいますからね。
ディノスさんのガーデンブログなので、ちゃんと緑化されているところも紹介しておきます。
図書館棟に隣接している、こちらの建物の設計も、伊東豊雄氏です。
コンクリート打ち放しのグリッド状の柱・梁の構造の一部が屋外空間となっていて、
高木を含めた植栽スペースが設けられ、学生の憩いの場となっているようです。
この空間、どこかで見たことがあるなぁと思ってましたら、
伊東豊雄氏が設計された、東京都江東区にある、URの団地「キャナルコート」で、
伊東豊雄氏が設計された集合住宅にも、同様の空中庭園が設けられていましたが、
それに似た空間となっていました。
二層分の吹き抜け空間には高木が植えられ、ベンチなども設けられています。
その植栽スペースも、これまた蓮の葉のような「おむすび型」のデザインとなっています。
こちら↑は、図書館棟(下)と、学部棟(上)を同時に描いた配置図。
一直線に横に長い学部棟の3階の中央に、図書館棟の屋根を見下せる屋外空間(空中庭園)が設けられています。
その花壇のおむすび型(蓮の葉)と、図書館棟の屋根のおむすび型(蓮の葉)が、呼応しているようで面白いです。
学部棟を出て、今度は図書館棟を外から見てみました。
学部棟とは渡り廊下のようなものでつながっています。
図書館棟の周りには水盤が設けられています。
亜熱帯気候帯の台湾では水があると、視覚的にも涼し気に見えます。
やはり特徴的なのは、蓮型の庇でしょう。
四角いガラスの箱の外側に、ランダムに飛び出しているのが面白いです。
ガラスの外壁の外に設けられた、細い白い柱の中に屋根からの雨水排水管が内包されて、
この水盤に排水しているのではないかと思います。
ランドスケープにも特徴が出ています。
図書館の外の広場(通路)空間に、いくつものおむすび型(蓮の葉)の植栽スペースが設けられています。
築山というほどではありませんが、少しコンタ(盛り上がり)がついています。
こちら↑は、ベンチを兼ねた植栽マス。
こちらも、同様のおむすび型(蓮の葉)のデザインとなっています。
これだけ同じデザインが反復されると、逆に小気味いいですね。
図書館棟(手前)と、奥の学部棟。
学部棟の3階部分に大きなピロティ空間が見えています。
ここが先ほど紹介した空中庭園的な場所になります。
さらに引いて撮影して一枚です。
奥の学部棟の中間階にも大きな吹き抜け(2層~3層分)の屋外空間(空中庭園)がいくつも設けられています。
このあたりは、前述したように、東京都江東区にある、多数の建築家が参加したURの「キャナルシティ」の中の
伊東豊雄氏が設計した集合住宅に通じるデザインかと思います。
こちらが、最後の一枚。
国立台湾大学の正面入口から伸びるメインストリート。
両側にヤシの木が続く風景は、さすが亜熱帯気候の国、台湾といった印象。
いかがでしたでしょうか?、台湾大学・社会学部図書館。
建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞も受賞されている日本人建築家・伊東豊雄氏の素晴らしい建築空間。
建築に興味のある方は、ひとつ前の記事で紹介した台中にある「臺中国家歌劇院」とともに、
この伊東建築を堪能されてはいかがでしょうか?
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