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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業の中庭「竪義の庭」冬のメンテナンス2026

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でデザインさせてもらった中庭「竪義の庭」ですが、

その後も、定期的なメンテナンス(年に3~4回)のお手伝いに行かせてもらっています。

今回は、先日(1月中旬)に冬のメンテナンスに行かせていただいた様子をレポートしてみようと思います。

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中庭のメンテナンスにうかがった日は平日でしたが、その週の週末に大学共通テストを控えていて、

学校には3年生は登校しておらず、寒かったこともあってか、1,2年生も屋外に出ることはほとんどなく、

校舎に囲われた中庭「竪義の庭」は、終始ひっそりとしていました。

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メンテナンス(雑草引きがメイン)の前に、ざっと中庭の様子をチェックしてみました。

奈良高校のシンボルでもある、「プラトン・アリストテレス立像」が鎮座する中庭「竪義の庭」です。

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すり鉢状に土手をつくった一角は、地元の石「生駒石」を景石として並べたロックガーデンとなっています。

その周辺に、四季折々に咲く宿根草を植えて、ナチュラリスティックな風景を演出しています。

初年度は、夏の暑さの影響で、宿根草のいくつかが溶けてなくなったり、高木が何本か枯れたりしましたが、

ざっと見た感じでは大きなダメージはなさそうです。

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外部階段から見下ろした中庭の土手の様子。

階段状のベンチを設けるため、周囲に土を盛っているのですが、その外側に雑草対策の宿根草を植えていますが、

なかなかうまく根付かず、まだほとんどのエリアで地面が露出しています。

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外部階段から見る中庭「竪義の庭」の全景です。

楕円形の中庭がよく分かる、このアングルがとても気に入っています。

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中庭の西端には、校舎を抜けて外部とつながる通用口がありますが、その部分に、高さ5mの巨大なアーチを

特注で製作しました。

正面(東側)から見ると、「プラトン・アリストテレス立像」の後方に、

この2人が描かれた、ラファエロの絵画「アテネの学堂」に出てくる

アーチを再現した演出となっています。

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このアーチの両側から、つるバラを2本、誘引しています。

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正面(プラトン・アリストテレス立像)側から見ると、こんな感じ。

2階の教室(図書館)とほぼ同じ高さまである巨大なアーチです。

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アーチに向かって左側には、オールドローズのアルベリック・バルビエという

白い花が咲くつるバラを誘引しています。

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アーチに向かって右側には、イングリッシュローズのつるバラ、モーヴァンヒル

という黄色い花がポンポン咲きになる品種を誘引しています。

「竪義の庭」のデザインしたコンセプトのひとつとして、「陰陽五行説」から

ヒントを得た植栽配置にしているのですが、中庭の西にあたるこの場所は、

「白・もしくは黄色」の花が咲く花を配置することになり、

白いつるバラのアルベリック・バルビエと、黄色い花のモーヴァンヒルを

セレクトしています。

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こちらは、「プラトン・アリストテレス立像」の後方を守る、コンクリートのRの壁面。

ここに当初予定していなかったのですが、施工段階でつるバラをR壁の両側に植栽することを思い付き、

つるバラ2本を、自宅ガーデンから供出して植え付けました。

R壁に向かって左側には、繰り返し咲きの赤い花が咲くバラ、フロレティーナを植えました。

ただ、初期生育が悪い品種なのか、まだほとんど大きさは変わっていませんでした。

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R壁の向かって右側にも、赤い花の咲くつるバラで、独特な花のフォルムを持つ、バロン・ジロー・ドゥ・ランを

植えています。

こちらも、まだ全然大きくなっていませんでした。

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中庭の造園工事をしていただいた業者さんの職人さん数人が来て下さり、

主に雑草引きを担当していただきました。

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僕は、その間に、つるバラ4本の剪定・誘引作業を行いました。

まずは、バロンから。

新しいシュートも出ていないため、ほぼそのまま誘引しなおしました。

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フロレンティーナも、同様にシュートが出ていなかったため、

不要枝を選定して、ほぼそのままの形で誘引し直しました。

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巨大アーチのつるバラの誘引・剪定に進みます。

まずは、既存の誘引を一旦解いて、枯れ葉をすべて落とします。

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アーチの最上部は、高い脚立の一番高い所に登らないと手が届かないため

さすがに怖くて、職人さんに手伝ってもらいました。

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アーチの2本のつるバラも、昨年の冬とさほど変わらない感じでした。

ほとんど新しいシュートも出ておらず、大きさもそのままでした。

今年は植えて3年目になるので、花後にたくさんのシュートが出て、

来年の冬には、このアーチ全体を埋め尽くすように誘引するのが目標です。

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アーチ右側のモーヴァンヒル。

まだ、アーチの半分くらいしか丈がありません。

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こちらは、アーチ右側のアルベリック・バルビエ。

こちらも細い枝が、何本かようやくアーチの最頂部に届いている程度です。

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巨大なアーチに対して、まだまだスカスカの状態。

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トップ部分への誘引は、誘引を解く時と同様、プロの職人さんに

お願いしました。

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下から見上げたところ。

まだお恥ずかしい限りの状態ですが、来年には、この倍ぐらいの密度感に

なっていて欲しいです。

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アーチを側面から見たところ。

近い将来には、このアーチの両側、頂部にも、白と黄色の小さな花が

満開に咲き誇る風景を見れることを夢想しています。

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つるバラの剪定・誘引が終わったあと、職人さん達の雑草引きの作業に合流しました。

こちらはすり鉢状の築山(土手)の外側。

斜面の雑草対策に植えたグレゴマやツワブキ、ハランなどが、なかなか大きく育ってくれません。

なので、雑草との戦いが続きます。

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斜面に植えたグレゴマは、ほとんど分からないくらいに減ってしまいました。

常緑性のツワブキは、根付いた株はひと廻り大きくなっているようです。

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巨大アーチの両側の宿根草ゾーンの雑草引きを行っているところです。

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アーチの側面の台形のコンクリートの壁面は、盛り上げた土(築山)を支える壁面です。

そのコンクリートの壁面に垂れ下がるように植えたのが、常緑性のローズマリーです。

枝垂れるタイプのローズマリーを植栽しているのですが、だいぶ枝垂れて、無粋なコンクリートの壁面を

カバーし始めています。

ローズマリーを触ると、爽やかな香りがして、疲労回復にも役立ちます。

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ひととおり、中庭のメンテナンスが終わったので、改めて「竪義の庭」の冬に風景を眺めてみます。

ロックガーデンから、「プラトン・アリストテレス立像」、そしてその後方の巨大なアーチ。

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こちらは、北側の校舎(本館)側のガーデン。

日当たりが良いエリアになります。

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中庭に植えている宿根草は、「ナチュラリスティック・ガーデン」をイメージして、花が咲く時だけでなく、

冬枯れの時にも、情緒を感じれる品種を選んでいます。

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このあたりにも、赤い花柄を残した宿根草が群生しています。

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こちらは、樹形の美しい斑入りのヤマボウシ。

初年度の夏に枯れこんだように見えましたが、何とか復活してくれました。

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こちらは、植栽予算が厳しくて、ホームセンターで幼苗を買ってきて植えた

オーストラリアの常緑樹で、メラレウカ・ティーツリー。

寒さの中でも枯れることなく頑張っていて、だいぶ大きく育ってきました。

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こちらは、中央広場に植えているクラピア。

メンテナンスの難しい芝生の代わりに植えた品種で、冬季には赤紫色に変色していますが、

また暖かくなれば、緑の密な葉を茂らせてくれます。

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このあたりは、花木ゾーン。

ハナモモ、ハナカイドウ、ハナズオウ、ヤマザクラ、サンシュユ、コブシなど、春に花を咲かせる木を植えています。

ここも、植栽予算が厳しかったため、当初計画のサイズよりふた回りほど小さな木をなってしまいました。

徐々に大きくなってくれるといいなと思っています。

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このあたりは、大株のユキヤナギと、自宅ガーデンから供出した、夏に青い花を咲かせるセイヨウニンジンボクを

植栽しています。

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校舎から中庭へアプローチする東側の出入り口付近。

ここには、高木の足元にシャガなどの美しい花を咲かせる宿根草を植えています。

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こちらが、校舎東館から中庭へのアプローチ。

正面に、「プラトン・アリストテレス立像」を、楕円形の2つの「焦点」の位置に置いています。

もう一つの焦点(手前)側には、学生と一緒にワークショップをしてデザインした「羅針盤」と呼んでいる

モニュメント(噴水にもなる)を配置しています。

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中庭の中央広場での様々なパフォーマンスを鑑賞するための楕円形のスタンドベンチ。

その後方にも、サルスベリ、エゴノキ、ハイノキなどを配置しています。

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中庭に植えた樹々は、葉の美しい落葉樹が多いですが、一部、常緑樹も植栽しています。

こちらは、常緑樹のハイノキです。

その足元には、赤い葉が印象的な宿根草のアジュがを群生させています。

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こちらは、生駒石を散りばめたロックガーデン。

景石の間に、多彩な宿根草を植えています。

適合せず、暑さで溶けて消えてしまったりしたもののありますが、生き残った品種は、徐々に株が大きくなり

今後、風景を作ってくれると期待しています。

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ロックガーデンのアップです。

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こちらは、生駒石を磨いてベンチにしたエリア。

その周辺に、株立ち樹形のアオダモとヒメシャラを植えています。

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構造上、自動潅水装置をつくれない離れ小島的な場所で、初年度アオダモが枯れてしまいましたが、

昨年春に植え直したアオダモは、昨年の夏を何とか乗り越えてくれました。

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ひとつ残念なことがあります。

中庭の中央に、将来のクリスマスツリーとなるように植栽した、

こちらのプンゲンス・トウヒ・ホプシーです。

青白い葉が特徴のこの美しい木が枯れてしまったのです。

昨年秋のメンテナンスの時に、すでに枯れ始めていて、

様子を見ていましたが、やはりダメでした。

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枯れたまま残しておくのもどかと思って、学校にも相談して

伐採することにしました。

こちらが、その伐採後の様子。何とも残念。

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こちらが、枯れてしまったプンゲンス・トウヒ・ホプシー。

職人さんが、ズバッと伐採してくれました。

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そんなことで、良いことも残念なこともあった今年の冬の中庭のメンテナンス。

すっかり綺麗になって、この春に新しい新入生を迎える準備ができました。

また、春の様子もレポートしたいと思います。

乞うご期待!


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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