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専門家「風景」をつくるガーデニング術

実験集合住宅・NEXT21のつるバラ誘引2026冬

居場英則

大阪市内の上町台地と呼ばれる一角にほど近い場所に建てられた、大阪ガスさんの実験集合住宅・NEXT21。

約30年前に竣工し、それ以降、大阪ガスの写真さんが入れ替わり住み、様々な実験データを取ることを主目的に

建設されました。

一昨年、居住実験が始まって30周年を迎えるにあたり、様々な周年イベントの開催やあらたな企画の立案など

NEXT21・30周年記念事業に、関わらせていただきました。

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一昨年、居住実験が始まって30周年を迎えるにあたり、様々な周年イベントの開催やあらたな企画の立案など

NEXT21・30周年記念事業に、関わらせていただきました。

そのご縁もあって、ガーデンデザイナーとして、またバラの専門家として、3年ほど前に、NEXT21の共用部分に

住民の方々の日々の暮らしを彩るための植栽として、つるバラを5本植栽させていただきました。

30周年記念事業は、昨年無事終結したのですが、その後も、NEXT21の植栽・緑化に関して、他の専門家の方々と

共に、メンテナンス等で継続して関わらせていただいています。

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こちら↑は、NEXT21の南側、コの字型の住棟配置の真ん中、1階と地下1階に亘って斜面上に設けられた

「エコロジカルガーデン」と呼ばれる共用の庭空間です。

住棟の南側に配置された共用廊下に面して、様々な緑化空間が多層に亘って設けられています。

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エコロジカルガーデンから、住棟を見上げたアングルです。

鉄筋コンクリート造の建物は、「ラーメン構造」と呼ばれる柱・梁で構成された「スケルトン(S)」(躯体)と、

「インフィル(I)」と呼ばれる内部空間とが明確に区分される「SI工法」でつくられています。

「インフィル」と呼ばれる住戸部分は、ライフスタイルやライフステージによって変えることができるように

なっています。

「スケルトン」(躯体)の一部の共用廊下部分には、人工土壌が設けられ、様々な植物が植えられています。

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これまでは、NEXT21では、あまり園芸品種を植栽してこなかったのですが、

一部、園芸品種を植えても良いとのことになり、数年前につるバラ5本を、このエコロジカルガーデンに面した

各階の共用部分に分散して植えさせていただいたのですが、今回、そのつるバラ5本のメンテナンスとして、

冬剪定および誘引をするために、NEXT21にやってきました。

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NEXT21には、3階と5階の2か所に「空中回廊」(ブリッジ)が設けられています。

こちら↑の写真は、3階の空中ブリッジから、住戸側(共用廊下側)を見たアングルです。

一般的な集合住宅では、通常、南側には住戸の日当たりを重視して、住戸と専用のバルコニーを設けます。

NEXT21では、コの字型住棟配置の中央部分は、南側に共用廊下を設けるという、珍しい住棟配置となっています。

その共用廊下の隅に、人工土壌を抱えた植栽枡が設けられ、そこに植物が植えられています。

中央の柱部分に青々と茂っているのは、つる性の植物ですが、人為的に植えたものではなく、勝手に生えてきた

(鳥のフンに混じって種が飛んできたとか)らしく、アニメの「天空の城・ラピュタ」のような、建物が植物に

覆いつくされて行くような雰囲気を醸し出しています。

その両側3ヵ所(3階と4階)に、つるバラを3本植えています。

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同じ場所を斜め横から見たアングル。

4階(写真の上の階)には、つるバラらしく植物の新しいシュートがいくつも暴れているのが見えるでしょうか?

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もう少し寄ってみたとたところ。

手前の緑は、ツツジの群生。

その上の階に枝垂れるように枝と葉を伸ばしているのが、早咲き品種の白モッコウバラ。

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その白モッコウバラを3階の共用廊下から見上げたアングルです。

古い枝はクセを付けて枝垂れるようにしていますが、昨年の花後に伸びた

新しいシュート(枝)は、勢いよく上を向いて枝を伸ばしていますが、

暴れていて、このままでは春の開花時の風景もイマイチ美しくないので、

剪定後、クセを付けて、全体的に寝かせる(枝垂れさせる)ように仕立てます。

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こちら↑は、5階の空中ブリッジから見下ろしたアングル。

太陽光パネルが設置されているのが5階、その下の4階の共用廊下の両脇につるバラ2本、下の3階の共用廊下中央に

もう1本、合計3本をここに植栽しています。

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こちらは、4階の共用廊下ですが、ここは左側の住戸のバルコニーとして

活用されているのですが、その写真手前に植えているのが、白モッコウバラ。

新しく伸びたシュートが上方を目掛けて伸びているため、住戸の方から

南側の景色が見えにくい、バルコニーが日陰になってしまうといったご意見を

頂きました。

今回の冬剪定では、少しボリューム感を落とし、下方にクセを付けて

圧迫感を軽減するようにすう予定です。

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こちらは、3階の共用廊下から見たアングルですが、3階と4階の間の梁の奥に

上層階から枝垂れ落ちてきたつるバラの枝が見えています。

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こちらがそのつるバラを植栽している5階の共用廊下に面したアルコーブ状の

広場に植えたつるバラで、フランソワ・ジュランビル。

ここに植えて丸3年経ちますが、すでに5m以上はツルを伸ばしています。

ゆくゆくは10m近くまで伸びるのではないかと思っています。

このフランソワ・ジュランビルは、枝垂れても花を咲かせるタイプのつるバラで、

ここでは、敢えて枝垂れるように誘引し、春には滝のようにピンクの花を

咲かせるような演出としています。

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こちら↑は、5階の空中ブリッジから、共用廊下および、少しアルコーブ状に広がった専用庭のような空間を

見たアングルです。

ブリッジの先の、住戸の壁面にも大型のつるバラを誘引しています。

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近寄って、アルコーブ状の広場(専用庭)スペースを見たところ。

土が見えていますが、ここは集合住宅の5階部分です。

付加さ50㎝ほどの植栽枡が設けられ、そこに人工土壌があって、そこに住民の方が植えられた植物の他に、

僕が植えさせてもらったつるバラ2本が植わっています。

そのうちの1本が、手すりから階下へと枝垂れるように誘引しているつるバラ、フランソワ・ジュランビルです。

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その植栽枡から、もう一本、建物側の壁面に誘引しているのが、大型のつるバラで、パレードという品種です。

SI(スケルトン・インフィル)構造の建物の、I(インフィル)にあたる住戸の壁面は、取り外しが可能です。

その壁面を使って、ステンレスワイヤーを張り、そこにつるバラ・パレードを誘引しています。

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真正面から見たところ。

最初植えた時は、長尺苗でしたが、1mほどの小さな株でしたが、3年が経ち、ほぼ壁面を覆うほどに育ちました。

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斜めから見たアングル。

壁面はさらに奥まで続いているので、さらにシュートが伸びれば、壁面を大きく使って、雄大なつるバラの風景を

デザインしたいと思っています。

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今年は一人で誘引作業を始めました。

このパレードには、オレンジ色のローズヒップ(種)がいくつも付いていました。

秋バラの花がそのまま2月まで残っていましたが、こちらはパレードではなく、住民の方が植えられた木立性のバラ

ですが、品種名は不明でした。

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昨年の花後はあまりシュートが出なかったようで、サイドシュートが少しあるだけでした。

枝の老化もさほど進んでいなかったため、今年は敢えて誘引を解かず、そのままにして

新しく伸びた枝だけをステンレスワイヤーに留めるだけにしました。

上部に軒があることで、直接雨も当たりにくいためか、昨年に誘引した際の麻ひものさほど劣化せず、

そのまま使えそうでした。

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枯れ葉をすべて落とし、強制休眠させるとともに、不要枝の剪定を行い、伸びた枝をステンレスワイヤーに留めます。

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真正面から見たところ。

ほぼ前年の姿と変わりありません。

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手すりから枝垂れるように誘引しているフランソワ・ジュランビルも、

横に伸びた枝を下に向けて誘引し直し、枯れこんだ不要枝を剪定する程度で、

こちらも、ほぼ昨年と同じような仕立てとなりました。

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5階の空中ブリッジから見たところ。

枝垂れさせているフランソワ・ジュランビルは、枝がなるべく絡まないように

振り分けるようにしました。

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同じところを、3階の空中ブリッジから見上げたアングルです。

枝垂れるフランソワ・ジュランビルの長いツルが、風を受けてたなびいています。

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6階へ上る屋外階段から、5階のアルコーブ状の広場(専用庭)を見下したアングル。

5月になれば、この空間は、きっと花盛りになるでしょう。

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少し遠景から、望遠レンズを使って撮影してみました。

共用部のいろんなところから、このスペースは見えるため、春にたくさんのバラの花が咲くと、

住民の皆さんにも喜んでもらえるのではないかと思います。

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こちら↑は、4階の共用廊下(現在は、住戸のバルコニーとして利用)の植栽枡に植えた白モッコウバラ。

剪定、クセ付け後の様子です。

暴れていたツルも、枝抜きしてボリュームを減らし、残したつるも下方へ枝垂れるようにクセを付けたので、

ずいぶんスッキリしたと思います。

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同じ部分を、住戸のバルコニー(共用廊下)から見たアングル。

暴れて上を向いていた白モッコウバラも、ボリュームを落とし、枝と枝を結びつけることで、

下方に枝垂れさせました。

これで、つるバラによる圧迫感も日陰感もだいぶ軽減されたのではないでしょうか?

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こちら↑は、同じく4階の共用廊下(バルコニー)の植栽枡に植えたつるバラで、ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンデ。

淡い黄色の花を咲かせるつるバラです。

こちらも、新しいシュートを下方に枝垂れるようにクセを付けた誘引をしています。

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こちら↑は、3階の共用廊下の植栽枡に植えたつるバラで、赤紫色の小花を咲かせる品種の、

マニントン・マウブ・ランブラーです。

周囲に他の植栽(ニシキギやユキヤナギ)が密集していることと、植栽枡の大きさが他の場所より小さいという

ハンデと、初期生育が遅い品種ということもあり、5本植えたつるバラの中では一番生育が遅いです。

こちらも、枝垂れて咲く性質を使って、2階へ枝垂れるように誘引しています。

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内側から見るとこんな感じ。

株元にテラコッタ鉢を埋め込んでいるように見えていますが、実は鉢底を割っています。

植栽枡の深さが小さいため、少しでも土の量を確保するために、上げ底(レイズドベッド)的な植え方をしています。

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こちらは、3階の共用廊下部分。

上の4階から、白モッコウバラが滝のように枝垂れているのが分かります。

春、ここに白い花が満開になると、共用廊下からは滝の裏側を見ているような

感じになるはずです。

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こちら↑は、3階の空中ブリッジから4階の白モッコウバラを見たアングル。

まだ枝が少し暴れている感じですが、花が咲けば、その重みで少し枝垂れるはずです。

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この日は、NEXT21の住民の方々の定期清掃の日でした。

朝から共用部分の掃除をされたあと、有志の方に集まっていただいて、6階の共用廊下の庇部分に張られたネットに

誘引されたフジの冬剪定作業を、ワークショップ形式で行いました。

フジは専門外ではありますが、僕の地元の自治会のグリーンサポート会で、近所の公園のフジ棚の管理を

サポート会のメンバーと、ここ数年やっていますので、そこで実践しているノウハウを共有し、

住民の皆さんに、フジの冬剪定作業をやっていただきました。

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ここは、集合住宅の6階共用部分です。

おそらく建設当初から植えられているフジは、これまであまり手を入れてこなかったためか、生育が悪く、

数年前から定期的なメンテナンス(冬剪定、施肥、夏剪定など)行っていますが、

なかなかうまく育ってくれていません。

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こちらが、冬剪定後の6階共用部のフジ棚です。

この共用廊下にフジのトンネルができることを目標に、引き続き手を入れていきたいと思っています。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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