お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

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Chatsworth House Gardens チャッツワース・ハウス&ガーデンズ は1553 年にエリザベス・ハードウイックにより建てられ、現在の建物はその子孫、初代デヴォンシャー公ウィリアム・カヴェンダッシュ時代の設計、建築家ウィリアム・タルマン。カヴェンダッシュといえば、イギリスのインテリアの様式でも有名なスタイルです。

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邸宅は1686 年から1707 年の間に大規模改築、1820 年代にも増築され、さらに豪壮になり、スコットランド女王メアリー、岩倉使節団など過去に訪れたメンバーは多彩。

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現在デヴォンンシャー侯爵夫妻が戻り、屋敷の運営等はチャッツワース・ハウス・トラストによって管理。

時折入れ替わる屋敷のインテリアに取り入れられたコンテンポラリィアートやエキシビションも見どころです。

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今回は、「The Gorgeous Nothings」チャッツワースのフラワー展。花にちなんだ家宝や現代美術をご開帳!で、見応えたっぷり、庭を見たいものの、室内をゆっくり見たいのも、全部押し寄せてしまい、1日の訪問では足りません。

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この敷地内のアコモデーションに泊まって数日を過ごしたい。このタイトル、ゴージャス・ナシングス。華麗な..無意味?と直訳?でしょうか。なんかつまらない。私は英語力はまるでないのですが、言葉からイメージを膨らませるのが好きです。

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ノースイングランドだと野山に野生化しているジギタリスの銅像!?

この表現は、アメリカのエミリー・ディキンソン(Emily Dickinson)の詩やメモの断片を集めた書籍
『The Gorgeous Nothings』(2013年刊) でも有名になった言葉からの引用だとしたら、素敵な言葉です。

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穂状花序、総状花序の花好きには堪らないオブジェ。自分でも作ろか!と思いました。

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「gorgeous nothings」気になる言葉

「かすかで儚いけれど、美しい言葉の断片」

「小さな思考や感情のかけらに宿る美」

つまり、「何でもないような言葉や瞬間に、深い美がある」という詩的な感性を表す言葉。それはまさに花の刹那の美しさというようなところでしょうか。

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まわりの茎に蛇が絡み付いたデザインの置き時計。一体いつの時代のものか。

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現在の当主 デボンシャー公爵夫妻 の若き日のポートレートを長い回廊の角に発見。私がしばらくこの絵を眺めていると、スタッフの方が寄ってきて、ご夫妻が結婚したばかりの1960年代のポートレイトで二重の寓話的要素と公爵のハンサムぶりに見惚れるわよね。などと話す。

第12代デボンシャー公爵ペレグリン・アンドリュー・モーン・キャヴェンディッシュ(Peregrine Andrew Morn Cavendish, 12th Duke of Devonshire)

公爵(Duke)は1944年生で現在は80歳を超えられた。アリストクラティックはかくあらんと私の想像する限りのエレガンスを備えたお方。現在もチャッツワース・ハウスの管理・運営に関与され、文化・芸術支援や地域振興活動にも積極的だそう。また 公爵夫人(Duchess:アマンダ・キャヴェンディッシュ(旧姓ヘイウッド=レイサム、Amanda Cavendish, née Heywood-Lonsdale, 1944年生)公爵とともにチャッツワースの慈善活動や庭園の整備などに携わっておられる、 現在もチャッツワース・ハウスは公爵家の私邸でありながら、一般公開されており、イギリスを代表する観光名所としても超一級!イギリスに来たらここを見なくては!という(観光名所的にはほかにもさまざま貴族の公開館はあるけれど私としてはここが超一級だと思うのでした。

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さて、庭園は、というか、庭園も、とにかく広大です。

庭園のもっとも有名な300 年前の180m の長さのカスケードと、エンペラーファウンテンはジョセフ・パクストン設計。迷路、ロッカリー...

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ロッカリー。基本は、18世紀ジョセフ・パクストンの設計で。現在はトム・スチュワート-スミス先生が宿根草の植栽で再構築。

植栽のデザイン上、もっとも興味深いエリア、さらにローズコテージ、キッチンガーデン、珍しい木々、低木、小川、池がある5 マイル以上の散歩道など45.5ヘクタールの庭(東京ドーム9個分)は現在、20 人の庭師、3人の研修生、50人のボランティアのチームによって管理されています。

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今回は3回目のチャッツワース。ひとりでキッチンガーデンを見学しました。

屋敷のなかでアレンジに使う切花用の花の植栽エリアも充実。

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今回はゆっくり、温室でも時間を。ああ、またここに行きたい!

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18 世紀のケイパビリティ・ブラウン、J・パクストンら、過去の超一流ガーデンデザイナーの造園から、現在も超一流デザイナーの手による大きな変革に2023年の訪問以来、目が離せないチャッツ・ワース。まだまだ先の時代にも訪ねてみたい場所です。

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特に、この200年間で最大の庭園の再開発となるアルカディアプロジェクト(GUCCI の支援)はトム・スチュアート-スミス、ダン・ピアソン、ジェームズ・ヒチマーシュが協力。向こうに見えるのが メイズ 迷路

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ダン・ピアソンのデザインしたトラウト・ストリーム

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メンテナンスの美しさもありますが、花の季節以外でも風景の絶大な美に触れることのできる場所、RHS の総合ガーデンを除き、イギリス最大のイングリッシュ・ガーデンといえるかもしれません。山を登る感じで目的のエリアに近づいたときに、ブランコ発見。ここでしばらく休憩しました。たくさんの景色を見て回るだけでなく気持ちの良い場所で15分でも20分でもゆったりと過ごせる時間もこうした素晴らしいガーデンの楽しみ方の1つです。

ゲートを抜けても、敷地内、しばらくバスで走ります。

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そしてもうひとつ、チャッツワースの所在地は、イギリス北部ダービーシャー

の自然が素晴らしい地域なのですが、ピークディストリクト国立公園の景色が素晴らしい。

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私たちのバスが通過するエリアは、次の行き先によって毎回少しづつ違うのですが 今回は、ManchesterからSheffieldに向かう道がまた美しくて。

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9月でしたので、ヘザー(エリカ)の群落の中を走りました。以前(といっても30年前)やはり、8月〜9月にこのエリアを車で走ったことがありました。ヘザーの花が満開でシックなピンク色が何とも言えない景色で感動しましたが、

この地方で生まれ育ったバスの運転手さんが言うには、今年の夏が厳しすぎて半分枯れたような景色になってしまったとのこと。

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こういった自然の景色の中にも気象変動の影響が大きく出ていることにも心配の種...温暖化だからといって..このエリアの自生品種を変えることもできないのだし、庭の対策は進めることができますが、自然界の変更は厳しく荒廃していく一方なのでしょうか。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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