難易度★★

沖縄などの温暖な地域では、庭をはじめ、街路樹や公園など色々な場所で植えられ親しまれているハイビスカス。世界各地の熱帯や温帯地域で自生しています。起源は歴史上はっきりしていませんが、中国をはじめ、日本、ハワイなどの太平洋諸島で昔から栽培されている花木です。基本的には日当たりの良い環境を好みますが、真夏の直射日光下では日焼けする事があります。真夏の期間は、寒冷紗などで直射日光を避けるか、午後木陰になるような環境におくと良いでしょう。冬は室内に取り込み、日当たりの良い窓辺で管理します。花は真夏にたくさん咲くと思われがちですが、実際は真夏の期間は花つきが少し悪くなります。逆に暑さの落ち着いた秋からの方が花が次々に上がってきて楽しめ、秋の遅くまで花を楽しむ事ができます。

ハイビスカスは生育旺盛なので、すぐに鉢いっぱいに根っこが張ってしまいます。根詰まりしないように1年に1回は植え替えをします。植え替えに適した時期は、暖かさの落ち着いた4〜6月がおすすめです。根は必ず少しほぐしてから、ひとまわり大きな鉢を用意して、新しい培養土に植え替えます。サイズアップしたくない場合は、根っこを1/3程切り詰めて同じもしくは同じサイズの鉢に新しい培養土で植え替えます。オススメは春ですが、秋でも植え替え可能です。その場合は、秋の早いうちに植え替えを済ませて冬に備えます。植え替え直後は、たっぷり水をやり、直射日光を避けた木陰のような環境で1週間ほど管理した後、日当たりの良い場所に移動します。

ハイビスカスは小さな鉢にコンパクトに開花した状況で販売されていることが多いですが、実際には、矮化剤によって小さくコンパクトな状態になっていたりします。そのため購入した時に小さいと思っていた品種が、翌年からぐんぐん大きくなり驚く人もいるでしょう。剪定はサイズを小さく維持するための強剪定と、混み合った枝葉を剪定して風通しを良くする弱剪定があります。強剪定は花の終わった秋。室内に取り込む前に株全体の半分から3分の2ほどをバッサリを切り詰めます。このの時必ず葉っぱは少し残るようにします。ただし、大きく育てたい場合は、特に強剪定しなくても構いません。弱剪定は生育時期であればいつでも可能なのですが、春はその年の花芽を切ってしまう可能性があるので、秋に行うのがベストです。

水やりの基本は、乾いたらたっぷりが基本です。水の量は鉢底から出るくらいしっかり上げるようにします。肥料は成長期の春から秋まで定期的に施します。冬は室内で管理します。冬の室内の気温が高く花を咲かせるようだったら、引き続き肥料と水やりは同じように行いますが、気温の比較的低めのところで管理する場合、成長が緩慢になるので、肥料はやらずに水やりも真夏ほどは必要なく、完全に乾いたらあげるようにします。

風通しが悪く、蒸れるような環境にあると、病害虫が発生しやすくなります。新芽にアブラムシがついたり、葉が小さな茶色い点が現れたり蜘蛛の巣が張ったようになるとハダニの仕業です。また小さな白いワタのような虫が発生したら、コナラジラミによる被害です。時々シャワーのような細かい水で葉水を与えてあげると、ハダニやコナラジラミの被害を軽減できます。また枝が混み合っても虫が発生しやすいので、風通し良く秋のうちに剪定しておくのも1つの方法です。見つけ次第取り除く、もしくは薬剤の力を借りる方法もあります。病害虫は放っておくと、ものすごいスピードで増殖するので、早めの対処が重要です。

一般に出回る園芸品種は大別すると、ハワイアン系、オールド系、そしてコーラル系に分けられます。
ハワイアン系：その名にあるように、ハワイで品種改良が進んで作られた品種です。花が大きく、花弁が重なって全体的に丸く見えるのが特徴です。花色バリエーションが豊富ですが、暑さや寒さに少し弱い性質があります。
オールド系：古くからある系統で花は小さめです。暑さや寒さに強く、花つきが良く育てやすいので、初心者にはおすすめの品種です。
コーラル系：フーリンブッソウゲを掛け合わせて作られた品種です。花は小さめで、花弁に切れ込みが入り、花、しべ共に少し垂れ下がったようになるのが特徴です。暑さに強いですが、寒さには少し弱い性質があります。

ハイビスカスは比較的簡単に挿し木ができます。清潔で切れ味の良いハサミで、葉を2〜3枚つけた枝を斜めに切り取ります。数時間水につけた後に、発根促進剤をつけて、小さなポットに土を入れたものに挿します。ポットごとビニールにかぶせておくと、乾燥せずに発根しやすいでしょう。2週間ほどそのような環境で育てて、その後根がしっかりでてきたら葉が成長してくるので、肥料をあげて、成長に合わせて鉢のサイズを大きくして育てていきます。ただし、ハワイアン系は挿し木が難しいので、それ以外の系統でチャレンジしてみましょう。

いくつかの原因が考えられます。まずはハイビスカスは肥料が大好きです。春から秋までの期間、緩効性肥料を定期的に施します。そしてもう１つ考えらるのが根詰まりです。根の成長も旺盛なので、案外鉢がパンパンになっているかもしれません。鉢裏を覗いてみて下さい。根っこはでていませんか？ひとまわり大きな鉢に新しい土で植え替えしてあげましょう。そして、夏の花のイメージですが、日本の真夏の猛暑は苦手です。コンクリートの照り返しで弱っているかもしれません。鉢スタンドなどで少し高さを出してあげる、午後木陰になるような場所に移動する事でだいぶ変わってくるでしょう。試してみて下さい。

真夏の象徴ハイビスカス。単独で鉢植え栽培してもいいし、夏〜秋に楽しむ寄せ植えの花材として、下草と組み合わせて寄せ植えにしてもステキです。

4〜5月頃に様々な品種の鉢花が出回るので、実際に花を見て好きな色合いの品種を選ぶと良いでしょう。初心者の人は、暑さと寒さに強く、花つきの良いオールド系統の比較的育てやすい品種からトライして、品種を増やしていくのがオススメです。花は一日花と言われていますが、最近では花が2〜3日持つ品種もあります。また、葉色の変わった斑入り品種や、ピンク色の葉の品種など、花がない時期も十分楽しめる品種も出回っているので、色々な品種を集めて育てるのもまた楽しいですね。