難易度★

アロエの中でも最もよく知られているキダチアロエ。葉の内部の果肉部分は肌の炎症を抑えたり、保湿効果があるなど、古くから民間薬として馴染みがあります。その名の通り木のように幹が立ち上がって成長し、高さが２m程にも大きく成長するものもあります。食用として利用されているのはアロエ・ベラです。葉がキダチアロエに比べて大きく、８０センチほどにも成長するその葉は果肉質が多いため、冬の寒さには弱く、屋外での越冬が難しい品種です。たまに屋外で野生化しているアロエを見かけますが、多くはキダチアロエです。実際アロエの原種は５００種類もあると言われ、手のヒラに収まる程の小さな品種から、高さ２０mにも成長するツリーアロエまでたくさんの種類があります。斑入り種をはじめ多くの個性豊かな園芸種があり、美しい花を咲かせるのも特徴です。肉厚の葉にはトゲトゲとした突起があるのが特徴で、多くの品種は春から秋にかけて生長し、冬の時期に花を咲かせます。

温暖地で霜の心配のないような地域では屋外越冬も可能ですが、５度を下回ると、葉が傷んだり、株自体がダメージを受ける事があります。霜の心配がある地域では、鉢植え栽培がおすすめです。植え付けは、成長期で季節の穏やかな春と秋に行います。お日様が大好きで、湿った環境は苦手です。常に日当たりの悪い場所や、梅雨時期や秋の長雨にさらされる環境にあると、株姿が乱れてヒョロヒョロとした姿になります。しっかりと詰まった美しい姿に育てたい場合は、たっぷりのお日様に当てましょう。ただし、普段室内管理しているアロエを、真夏の屋外に急に出したりすると、葉焼けを起こします。室内から屋外管理に移す場合は徐々に環境に慣らします。真夏の急激な暑さや真冬の寒さに当たるとストレスを感じて葉が赤くなる事があります。多少は問題ありませんが、それは植物からのサインなので、もし真夏であれば、遮光ネットを利用してみたり、少し木陰に移動して様子を見たり、真冬であればもう少し暖かい環境に移動するなど、対処をしてあげましょう。

アロエの増やし方は株分け、もしくは挿し木です。初心者におすすめなのは、失敗の少ない株分けです。株元に小さな子株が出てくるので。植え替えの時に、子株を手で引っ張ると案外きれいに取り外せます。子株は、すぐに多肉植物用の土に植えつけます。切り傷などができたりもするので、念のため数日経ってから水やりを再開すると、間違いないでしょう。挿し木は葉をナイフやカッターで切り離し、切り口が完全に乾いてから土に挿します。土は多肉植物用の用土を使用するか、もしくは培養土に鹿沼土や粗い砂、赤玉土などをブレンドして少し乾燥しやすい用土を作って植えつけます。花が咲いた後にできた種から育てる事も可能です。

鉢植えの場合、春と秋の成長期には、土が乾いてからもう数日待つくらいしっかり乾燥してからたっぷりの水をあげるのがコツです。肥料は植え替え時に混ぜ込む程度で十分だったりもしますが、成長期の春と秋には様子を見ながら適量をあげます。あげすぎは株の姿が乱れる原因になるので、気をつけます。暑さには強いアロエですが、日本のような熱帯夜が続くような環境はあまり得意ではありません。真夏はいつもより少し意識してより乾燥した状況を作り、肥料は経ちます。冬は休眠期。月１回、もしくは全くあげないくらいの水やりがおすすめ。あげる場合もたっぷりではなく湿る程度に控え、肥料はあげません。寒冷地にお住まいの方は室内での管理、温暖な地域にお住まいの方は、霜の当たらない軒下などに移動してあげます。

アブラムシやカイガラムシ、ハダニがつく事があります。これらは見つけ次第、広がる前に取り除きましょう。風通しの悪いような場所では、病害虫が発生しやすくなります。室内で観葉植物として育てる場合には、窓を開けて屋外の風を通してあげたり、サーキュレーターや扇風機などで人工的に風を起こしてあげ、空気の循環を良くしてあげるのがおすすめです。

一般的にアロエというとキダチアロエ、アロエベラのイメージが強いですが、たくさんの種類があります。品種によっては姿、サイズ、花色が違い、種類も豊富です。小型で可愛らしい不夜城は、その見た目の可愛らしさもそうですが、育てやすいので人気の園芸品種です。タイガーアロエとも呼ばれる千代田錦は、葉に美しい斑入り模様が入ります。少し珍しい品種ですが、アロエ ポリフィラは、螺旋状に成長するその姿がとても美しく、別名スパイラルアロエとも呼ばれています。他にもたくさんの園芸品種があり、珍しい品種も多くありますが、ネット販売などでそのような希少品種も手に入りやすくなっています。

大きくなりすぎたり、株姿が乱れてきた時には、春に切り戻し作業をしましょう。一番下の葉から１５センチほど茎を残して、その下をナイフやカッターでバッサリ切り落とします。切り口を木陰で数日完全に乾かします。その後、多肉植物用の土に茎を土に埋め戻します。ぐらつかないよう支柱を立てるなど工夫します。１ヶ月もすると根がしっかり張ってきます。また元の株も脇から新しい新芽が出てきます。

切り戻しの作業をおすすめします。（アロエの切り戻しを参考にして下さい）その際に、元の残った株も植え替えをします。不要な根などを取り除き、また同じサイズの鉢に植えつけ、サイズアップをせずに鉢の大きさを維持します。

鎌倉時代には日本に渡来していたとされているキダチアロエ。現在伊豆や房総半島、九州や瀬戸内海など暖かい地域では自生している姿を見ることができます。

よく知られて身近な多肉植物というイメージも強いですが、知れば知るほどその品種は多く、姿形もサイズも、花色も様々です。とても育てやすい植物なので、すでに育てている人は、また別のお気に入りを探したり、初めて育てる人も、気に入った姿のアロエを見つけるところから初めてみたら、楽しいですね。