難易度★
球根植え１０〜１１月　開花４〜５月　掘り上げ６月　７〜９月休眠

スイセンの多くは地中海沿岸を原産として、現在まで数多くの園芸種が作られています。花色は、白や黄色、オレンジがかったものからピンクがかったものまで、中央の副花冠（ふくかかん）と花びらの色合い、大きさバランスのバリエーションもとても豊富です。花の大きさも２〜３センチの小型のものから、12センチほどもある大型のものまであり、咲き方もラッパ咲きから、八重咲き、房咲きなど咲き方も様々です。鉢植え、地植え、水耕栽培も可能なので、小さな環境から公園のような大きな環境までいろいろな楽しみ方ができるのも、スイセンの魅力の１つになっています。品種によってはなんとも言えない甘い芳香を漂わせる品種もあり、切り花としても人気です。開花する冬から春にかけて日当たりが良く、水はけの良い場所を好みます。その後休眠する夏から秋にかけて木陰になるような環境を好むので、落葉樹の足元など夏に葉を茂らせて木陰を作り、冬に葉を落とし日光を届けてくれるような環境がとても合っています。公園など大きな場所でたくさんのスイセンが群生して咲く姿はとても見事で、世界各地、日本国内でも春の名所となっています。

スイセンは、９月頃になるとチューリップなどその他の秋植え球根と同様、ガーデンセンターや園芸店、インターネットなどでの販売が始まります。実際に球根を選ぶ場合は、大きくてずっしり重みのある大きな球根を選びます。小さくて軽いものは花がさかなかったり、カビが生えているものは腐ってしまったり病気の原因になっていたりするので、良い球根選びをする事がとても大切です。インターネットなどで購入する場合は、信頼のおけるところから買うのがベストです。実際９月には購入できますが、少し暑さの落ち着いた１０〜１１月に植え込みます。一定期間の寒さを感じさせる事で花を咲かせるため、植える時期が遅くなりすぎないように注意します。早めに購入した場合は、風通しの良い暗い倉庫などで保管しましょう。

スイセンは様々な種類があります。球根を買う場合は、まずはお気に入りの品種探しから始めましょう。草丈や咲く時期なども書いてあるので、それを見ながら計画します。お庭で植える場合はある程度のまとまった数を植えた方が見栄えが良いです。何種類かの品種を混ぜ植えることで、自分なりの色合いコーディネートをすると楽しいでしょう。チューリップなどの秋植え球根と組み合わせたり、パンジーやビオラ などの秋冬に花を楽しめる一年草を組み合わせて植える事で、植えた直後から寂しくならずに楽しめます。植える場所は必ず水はけの良い場所を選びます。球根はその大きさの２〜３倍の深さに植え付けます。天地があるので、芽の出る尖った方を上に向けて植えましょう。寒冷地にお住まいの場合は、浅く植えると凍結の可能性があるので、しっかり掘って植えましょう。

スイセンはその球根の中にすでに養分をしっかり蓄えているので、良い球根を選んでさえいれば、植え付け事にあまり肥料は必要ありません。ただし、一年草などと組み合わせて植える場合は、植える場所に堆肥や腐葉土などをすき込んで土づくりをしてから植えるようにします。土から少し芽が出てくる頃に、少し肥料を施す事で芽出しを促進させます。その後は花を楽しみ、完全に花が終わったら、球根をしっかり太らせて来年の花芽を作るために肥料をあげましょう。水やりは地植えに関してはあまり気にしなくても大丈夫です。ただし鉢植えの場合は、乾いたらたっぷりの水をあげましょう。

スイセンの病気で一番厄介なのがウイルス病です。葉にモザイクやスポット状の黄色の斑点が出ます。葉がちじれて変形する事もあります。伝染するので、ウイルス病にかかった花を見つけたら球根ごと掘り上げて処分します。他にもアブラムシが葉や花芽につくことがあります。これは見つけ次第、テープなどを使って取り除くか、状況に応じて薬剤を利用します。放置するとアブラムシのフンなどによってすす病を併発したり被害が拡大するので、早めの対処がとても重要です。

日本で昔から知名度のある品種と言えば、日本スイセン。一番身近で馴染みのある房咲きスイセンの１つです。一般的にスイセンと言って思い浮かべるのは、幅花冠が杯状に広がったカップ咲きスイセンではないでしょうか？これらは副花冠が花びらよりも小さいのが特徴です。代表的な品種では、コーラル色の副花冠が美しいピンクパラソルが人気です。この副花冠が逆に長く突き出しているのは、ラッパスイセンと呼ばれます。他に変わったものでは、ペチコートスイセンとも呼ばれる品種で、副花冠が大きく、花びらやがくが細くほとんどめだないとても不思議な形をしたスイセンです。代表的な品種に、小型で原種のバルボコディウムが挙げられます。これはさらに真っ白の品種もありとても可愛く魅力的です。他には副花冠が折り重なるようになっている八重咲きもあり、その見た目はとてもゴージャスです。

チューリップなどと違って、スイセンは植えっぱなしにしても翌年も咲いてくれ、徐々に球根が増えてより見事になっていきます。ただし、３〜４年程経って花付きが悪くなってきたら掘り上げて、植え付けし直しましょう。完全に地上部分の枯れた５〜６月に掘り上げます。手で簡単に切り離せる子株を切り離して日陰でしっかり乾かします。この作業は梅雨前までに終えましょう。その後ネットなどに入れて涼しく暗い倉庫などの環境で夏を越して、また秋に植え付けをします。

球根が咲き終わった後は、葉が枯れるまで光合成をさせてしっかり球根に栄養がいくように管理する事が大切です。葉っぱがだらんとしなだれたようになったり、黄色っぽく色が変わったりするので、確かに見た目はあまり良くありません。もしどうしてもそのままにするのが嫌な場合は、葉をまとめてくるりと結んでしまうと見た目は少しスッキリします。お試しを。

スイセン栽培で１つ抑えておきたい重要な事、それは全草毒があるという事。花が咲いていないと香味野菜のニラと似ているために、間違えて誤食する事件は毎年どこかで起こっています。間違いのないように、スイセンを畑やその近辺に植えるのはやめましょう。

球根を植えようと思った時は、すでに春になっていた、そんな人に朗報です。来年まで待たなくても、芽出し球根と言って、芽の出始めたポット苗や、花が咲いた開花ポットが初春に市場に出回ります。秋に植え忘れた人や、より簡単に楽しみたい人にはそれらの苗を買うのをおすすめします。開花ポットの土を取り除いて水洗いし、それをビー玉や玉石などで球根を固定すると、水耕栽培にする事もできます。もちろん、室内と屋外両方で楽しむのもまた楽しいですね。