難易度★

ルッコラはビニール温室などを利用すれば、一年中栽培が可能な野菜です。ですが、設備なしで露地栽培をするのであれば春もしくは秋から栽培を始めると、成功しやすくスムーズに育ちます。特に園芸初心者さんは、虫の少ない秋栽培がおすすめです。種から栽培する方法と、苗を購入して植える方法があります。種からの栽培は、他の野菜に比べて大変発芽率も高く、成功しやすいので、初心者さんでも気負わずに種から栽培にチャレンジしてみましょう。春栽培は３〜５月、秋栽培は９〜１０月がおすすめです。葉の小さなうちからベビーリーフとしていただき、随時必要な分の葉をちぎって収穫してもいいし、最終的には２０センチ程に成長して株ごと収穫します。すべてを収穫せずに、そのうちいくつかをそのまま育てれば、白い可愛らしい花を楽しめます。

多くの野菜はあらかじめ黒のポリポットや、育苗箱で育ててから植えた方が成長がうまく行きますが、このルッコラは、プランターに直接種をまいて間引きしながら育てる事ができる野菜です。好みの鉢と培養土もしくは野菜用の土を用意します。用意した鉢の鉢穴が大きいようだったら鉢底石を敷き、土が流れないようにします。鉢底石がいらない構造の細かいスリットがたくさん入った長方形プランターなども販売されているので、そういった鉢を利用する場合は、用土を直接鉢に入れます。土は鉢の縁ギリギリまで入れずに、指の１〜２関節ほど淵から下がったあたりまで土を入れて、ウオータースペースを確保します。それは、水やりした時に水や土があふれないようにするスペースです。土は軽く手で表面を押さえた後、長方形のプランターであれば、土の上に直線の筋を２本程引いて、そこへ種を播きます。丸い鉢であればタネをまんべんなくばらまきします。その後薄ら土をかけて、再度手で軽く押さえた後、ハス口をつけたジョーロ で、シャワー状の水をやります。（ハス口を使わないと、水の勢いで土が掘り返されて種が動いてしまいます。それを避けるため、ハス口を使って水やりします。）日の当たる場所に置いて、発芽するまで乾かさないように管理します。春栽培の場合、虫被害が出やすいので、この時点で防虫ネットをかけるのをおすすめします。

本葉が出始めたら、最初の間引きを行います。成長の良いものを残して、葉の形や色がおかしいもの、混み合った部分は芽をハサミでカットします。葉と葉が触れ合うか触れ合わないかくらいのスペースを確保します。茎がぐらつくといけないので、間引きをしたら株元に少し土を寄せてあげます。本葉が４〜５枚位に成長したら、５〜６センチくらいの株間を確保して間引きをします。この際、土寄せもしくはプランター栽培の場合は、少し土を株元に足して、株がぐらつかないようにします。葉の色合いを見て、黄色っぽくなったり少しあせてきたようであれば、土寄せと合わせて肥料をあげます。即効性のある液肥が良いでしょう。最終的には１５センチから２０センチで株ごと収穫できます。随時必要な葉だけ収穫する場合は、中央部分から新たな葉っぱがどんどん出てくるので、外葉と言い株の外側に生えている葉っぱから収穫するようにします。とう立ち（中央部分から蕾が上がってくる事）すると、葉も辛味を帯び、硬くなり美味しくなくなります。そうなる前の柔らかくて美味しい葉っぱを収穫します。

ルッコラを菜園など畑で栽培する場合は、あらかじめ堆肥や苦土石灰、肥料を畝に混ぜて準備しておきます。プランター栽培の場合も肥料入りの野菜用培養土を使うと簡単です。追肥は様子を見て葉色が少し黄色っぽくなってきたり、あせてくるようであれば２回目の間引きの時に土寄せと合わせて施肥します。特に春栽培の場合、肥料のあげすぎは虫を呼んでしまうことになるので、適量を心がけます。水は乾いたらたっぷりあげるのが基本の水やりです。菜園で栽培する場合、乾燥と雑草防止として黒マルチやわら、手に入るようだったらもみがらなどをマルチングとして株元に敷くと、泥はねも防止できるのでおすすめです。

春栽培は虫が活発に行動する時期と重なるので、青虫、アブラムシ、葉に白い筋模様ができる通称絵描き虫と呼ばれるハモグリバエの被害にとてもあいやすいです。タネを播いたら、鉢にアーチ状の支柱を立てて防虫ネットを張るのをおすすめします。これでかなりの害虫防除になります。また卵などを葉裏に見つけたら初期に取り除きます。風通しよく適度にお日様に当たる環境で育てることも大切です。蒸れるとうどん粉病や褐色の斑点がポツポツ現れ、それが広がると葉が黄色く変色して枯れてしまう炭疽病にかかることもあります。高温多湿で起こりやすいので、株間スペースをしっかり確保して風通しよく栽培するのも大事です。おかしな葉っぱを見つけたら、広がらないように早めに除去します。

実はルッコラは室内で水耕栽培も可能です。一番簡単な水耕栽培としてスプラウト栽培があげられます。同じくゴマのような独特な風味とピリッとした辛味の新芽を楽しむことができます。ただし、スプラウト栽培する場合は、スプラウト専用のタネを使うようにしましょう。他のスプラウト野菜同様の育て方なので、かいわれ大根などのスプラウト栽培を参考に育てます。土もプランターもいらないので簡単に始められ、ちょっとした窓辺やキッチンのカウンター、テーブルで栽培すれば、収穫も手軽にでき、インテリアグリーンとしても楽しめます。まずはスプラウト栽培からチャレンジしてみても良いかもしれません。

ルッコラは基本的には若い葉を収穫しますが、実は出始めの柔らかな蕾はお浸しなどに、花はエディブルフラワーとしてサラダに散らすなど美味しくいただけます。花はルッコラと似たような味がするので、サラダなどのアクセントとしても見た目も味も満足できます。蕾を伸ばし始めたルッコラは、辛味や苦味が増し、葉っぱも成長が進むにつれて硬くなるので、若葉の時期に収穫し収穫遅れにならなよう気をつけます。花や蕾はスーパーマーケットなど、なかなか多くは出回らない食材なので、育てた人が楽しめる特権として、是非色々な成長過程を楽しんでみて下さい。

基本的にはお日様が大好きな野菜です。ただ、実は強すぎても葉が硬くなったり辛味や苦味が増したりするので、西日がガンガン当たるような場所での栽培はあまりおすすめできません。その場合、少しだけ遮光ネットなどで日差し遮った方がより柔らかくて美味しい葉を収穫できます。でもかと言って日陰では、徒長したりヒョヒョロに育ったりしてしまうでしょう。室内の日当たりの良い場所でスプラウト栽培にチャレンジしてみるのも１つの方法です。

地中海沿岸を原産とするルッコラ。イタリア料理には欠かせない食材としても有名です。イタリア料理に合わせて認知が広がったためか、このルッコラはイタリア語からきた名前です。英語名ではロケットと言います。実は和名もありキバナスズシロと言います。スズシロとは大根の事。同じアブラナ科の植物で、大根の花とルッコラの花はよく似ています。

比較的簡単に短期間で収穫できるので、初心者さんにもおすすめの野菜ルッコラ。独特の風味が魅力ですが、収穫が遅れたり水やりを怠って乾燥しすぎたり、強すぎる日差しに晒されたりすると、その苦味や辛味が増してしまうという性質もあります。それらの状況にならないように、ちょっとだけ気を付けて栽培するのが、美味しいルッコラを収穫するコツです。