難易度★★

南米や西インド諸島を原産とする植物で、世界中の熱帯から亜熱帯地域で育てられています。バリなど東南アジアをはじめ、フィジーなど太平洋の島々で帰化して、寺院をはじめ墓地のまわりに植えられているのを見かけます。常緑〜半常緑〜落葉性で、冬低温にあたると葉が落葉します。日本で栽培する場合、冬は室内に取り込んだとしても低温環境となり落葉するので、冬は落葉する樹木として扱うと良いでしょう。日光がよく当たる場所で、水はけの良い土で育てます。初夏から秋までは屋外で管理し、晩秋の１０度を下回る頃には室内に移動して、冬越しさせます。ジメジメした環境を嫌うので、梅雨時期は長雨に当たらないよう、軒下に移動するのがおすすめです。また、台風が来る時もあらかじめ室内などに避難させてあげましょう。肉厚の葉と多肉質の枝が特徴で、成長と共に枝葉を大きく広げて育ちます。枝を切った時に出る白い液体は毒性があり、かぶれの原因になるので、触らないよう注意します。６〜１０月頃まで花を楽しめます。

初夏から夏にかけての暖かい時期に、ポットのプルメリアが出回ります。もしくはインターネットなどで苗木を購入することも可能です。植え替えは、できれば春先４〜７月頃がベストですが、根を大幅にいじらなければ、秋の始まりくらいまで可能です。ただし真夏の温度の高すぎる時期と、秋も深まって気温が下がってきたら、根をいじるのはやめましょう。鉢は２割ほど大きめのものを用意します。土は培養土にパーライトやピートモスを２割程度混ぜて、より水はけを良くします。プルメリアは順調に育つ度どんどん背丈を伸ばして、毎年室内に取り込むのも置き場所の確保が難しくなってきます。室内に取り込む少し手前の９月あたり、もしくはこれから新芽がどんどん動く４月に剪定してコンパクトに育てます。切った枝は挿し木として活用できます。切り口からは、白い液が出てきます。これはかぶれの原因になるので、素手では触らないよう、剪定する際は手袋をするなど注意します。

秋も深まり気温が落ちてくると、プルメリアの葉っぱは変色したり、少しだらんと萎れたようになったり、枯れたようになります。そうなると、いよいよ冬の準備をはじめたサインなので、室内に取り込みます。冬の屋外では凍結の恐れがあり、霜に当たったり、凍結すると腐って枯れてしまうので、必ず室内に取り込みます。室内では日のあたる窓辺で管理します。汚らしい葉っぱはみすぼらしく嫌かもしれませんが、軽く手で引っ張ると取れる、もしくは自然に取れるまで待ってあげた方が、木に負担がありません。ハサミでカットしたり、無理やり引っ張ると樹液が流れたり、木にもダメージになるので、無理やりには取らないようにします。葉っぱが痛んでも幹がしっかりみずみずしく張りがあって生きているようであれば、何の問題もありません。室内に取り込んだ後は、水やりを控えめにします。真夏のように乾いたらたっぷりではなく、完全に乾いたら鉢内に水が浸透する程度、鉢底から流れ出さない程度の水を与えます。月に１回程度で問題ありません。室内では５度を下回らないような環境に置きます。４月後半にもなると、屋外の気温も上がってくるので、暖かい日中屋外に出して、乾いたらたっぷりの水やりを再開します。夜間の温度が安定するゴールデンウイーク以降からは、完全に屋外栽培に切り替えます。

屋外で管理する成長期は、しっかり土が乾いたら、鉢底から水がしっかり出るまでたっぷりあげるのが基本です。常に湿った状態にならないよう、湿乾の差を与える事が重要です。逆に室内に取り込む冬の時期は、乾燥気味に育てます。水も月１回もしくは全くあげなくても大丈夫な程です。肥料は成長期に与えます。大体２５〜３０度がプルメリアの成長適温。その期間効くように固形肥料もしくは液体肥料を与えます。３０度を超える真夏の期間は、逆にプルメリアは暑さに耐えて成長を止めることも。暑すぎる時期は肥料が効かないよう、液肥をストップするか、固形肥料を取り除くなどの工夫も必要です。

ベランダなどの軒下や室内など、雨露の当たらない場所に置くと、ハダニの被害が出ることがあります。細かいクモの巣のようなもので葉や茎が覆われたり、葉っぱが茶色から黄色に変色したりします。おかしな葉を見つけたらすぐに取り除きます。ハダニ予防として、水やりの際に株全体をシャワーのような柔らかい水で洗い流すのも効果的です。また、葉に茶褐色の点々が現れるとサビ病の可能性があります。見つけ次第他に感染しないよう、葉を取り除きます。これは湿気の多い環境にあるとなりやすいので、風通しよく日当たりの良い場所で管理します。

多く育てられている代表的なプルメリアの種類として、プルメリア アルバ、プルメリア オブツーサ、プルメリア ルブラ（インドソケイ ）があげられます。その他多くの園芸改良品種があり、様々な花色を楽しめます。プルメリア アルバは中央部分が黄色く白い花を咲かせ、花はブーケのようにまとまって咲かせます。プエルトリコ、カリブ海原産で、ウエストインディアンジャスミンの別名もあります。原産地では冬季と乾季に葉を落とす落葉樹です。　プルメリア オブツーサは中央が黄色の白い花を咲かせます。メキシコ、グアテマラをはじめとする中央アメリカ、西インド諸島が原産地で現地では基本的には常緑ですが、寒いと落葉します。別名シンガポールプルメリア とも呼ばれます。　プルメリア ルブラはインドソケイ とも呼ばれ、赤やピンクの花を咲かせます。メキシコやパナマを原産地として、冬は落葉します。ルブラからは多くの交配種が作られ、様々な花色が作られています。

挿し木をする場合、春から夏の気温のある成長期がベストです。ですが、温度がある程度確保される秋前でも温度管理ができれば可能です。剪定した枝を挿し木として使えます。枝を切るときは、よくきれる剪定バサミ、樹液を拭き取る布や紙ナプキンを用意します。切り取った枝は、葉の先端部分の２０センチほどにカットして、ついている葉っぱも取り除き、先端のこれから伸びだす小さい葉っぱのみにします。切り口や葉をとった後から白い液が流れ出てくるので、それを布や紙ナプキンで拭き取ります。そして日陰の風通しの良い場所に転がして、１〜２週間程切り口がしっかり乾くまで乾かします。その後、切り口を少し水で湿らせた後、発根促進剤をつけ、それをピートモスや土に挿します。土はあらかじめ湿らせておいたものを使い、挿した後は土が乾かないように時々水をやって発根を待ちます。水をやりすぎると枝がブヨブヨになって腐る恐れがあるので、水をじゃぶじゃぶ与えるのではなく、土が湿った状態を維持できるくらいの湿り具合を維持します。芽が少し動きはじめた様子が見えたら、たっぷり水をやりますが、引き続き水のやりすぎにならないよう注意します。葉が成長しはじめたら、根がしっかり張ってきた証拠なので、乾いたらたっぷりの水やりをします。

生育適温が３０度くらいまでと言われていて、暑すぎる環境下だと自分自身を守るために仮眠状態になってしまう事があります。葉っぱを落としてしまうのはそのためです。この状況で肥料を与えると腐って枯れる原因になります。まずは肥料は絶って、強い西日を避けつつも日のあたる少し涼しい場所に移動してあげます。そのうち気温が下がってきたら、また新たな葉っぱを出すのを期待しましょう。そのタイミングで肥料を施します。また西日がずっと当たり続けるような場所よりは、午前中しっかり日が当たって西日を少し避けるくらいの東側の庭、もしくはベランダに移動できればよりベターです。

花色のバリエーションが豊富なプルメリアは、その種類によって香りも少しずつ違います。甘さの強いもの、少しスパイシーな香りのもの、バラのような香りを持つものなど様々です。購入する時にリサーチして、好みの色、香りで選ぶと良いでしょう。

ハワイやバリなど多くの観光地では、このプルメリアをモチーフにしたお土産品や、アート、ジュエリーを多く見かけます。そんな南国情緒あふれる植物を、日本で育てる事ができるって、とても嬉しいですね。咲いたお花は、水盤やガラスの器に浮かべれば、それはまるで異国のコテージヴィラのおもてなしのようです。１鉢置くだけで、トロピカルなリゾートのような雰囲気が演出できるプルメリア。冬越しなどちょっとした栽培のコツを覚えれば、そこまで難解な植物ではありません。是非チャレンジしてみては？