難易度★

インドや中国南部、マレー半島など熱帯地域原産の植物です。そのため、日本の気候で育ちやすく、夏の期間中カラフルな花を楽しむ事ができます。
草丈３０センチ程度の背の低い矮性種から、草丈８０センチほどにも成長する高性種があります。花も一重咲きをはじめ、花びらが折り重なる八重咲きもあります。
八重咲きの中には椿のように豪華な花を楽しめる事から、カメリア咲きと呼ばれるものもあります。矮性種は、花壇の手前の彩りとして楽しめます。
高性種は、花壇の中間エリアに植えて楽しんだり、切花として楽しむ事もできます。

発芽適温が２０度前後なので、桜が満開を過ぎ葉桜になった頃を目安に種まきをします。種はとても発芽しやすく、播き時期を間違えなければ、育苗ポットで育てても、直に種を蒔いても育てられます。
ただし、育苗ポットに蒔いた方が、確実に苗を育成できるメリットがあります。育苗する場合は、９センチの黒ポットに培養土を入れて種を２〜３粒播きます。
暖かい、よく日のあたる場所で管理をします。本葉が３枚に育ったところで、一番よく成長している苗を残して、間引きします。本葉４〜５枚程度に育ったら、お庭や用意している鉢植えに植え替えます。

ホウセンカは日当たりの良い環境で、さらには水持ちの良い土を好みます。花壇に植える場合、あらかじめ植える場所に堆肥と腐葉土、緩効性肥料をすき込んで準備をしておきます。
鉢植えの場合、培養土に緩効性肥料を混ぜたものに、植え付けます。植え付けは、その後の成長を踏まえて株間を取ります。おおよそ２０〜３０センチほど間をあけて植えるのがおすすめです。
高性種は高さ５０〜８０センチ程に背が高くなるので、転倒防止としてある程度育ってきた段階で、支柱を立ててあげると良いでしょう。
それから、ホウセンカは毎年同じ場所で育て続けると連作障害が起きます。昨年と同じ場所では栽培せず、翌年は他の植物を植えるなど、土壌環境が偏らないようにします。

ホウセンカは水が大好きなので、生育期には水切れしないよう気を付けます。庭植えした花は一旦根づけば、水やりをあえてしなくても自然の雨水で十分です。
ですが、晴天が長く続いて極度に乾燥する時には、様子を見て水やりしてあげましょう。鉢植えは乾いたらたっぷりの水を与えます。特に真夏の期間、乾燥しすぎないように注意します。
肥料は植え込む際に、緩効性肥料を施しておけばその後の追肥は特に必要ありませんが、様子をみて葉の色が少しあせて黄色くなったりするようであれば、即効性の液肥を施します。

風通しが悪かったり水はけがとても悪いと病害虫の被害が出やすいです。葉が蒸れると、葉が白い粉がかかったようになるうどん粉病、そして高温と乾燥が続くと、ハダニの被害も出やすくなります。
まずは、植え付けの株間をしっかりとって風通しよく育てる事が大切です。そして、少し症状のおかしな葉を見かけたら、広がりすぎる前に幹部を取り除いて蔓延しないよう心かげます。
ハダニ防止として、特にベランダなど雨露の当たらない場所で育てている場合は、時々シャワー状の水を葉にかけて、ハダニ対策をしておくと良いでしょう。また病害虫予防も兼ねて、定期的な殺虫剤などのスプレーも効果的です。

ホウセンカを増やす方法は、種をとってまた来年播く方法と、それから切った枝を挿し木として育てる方法があります。
ホウセンカの実は熟すと、少し触っただけでパンと弾けて、なかなか他の植物のように種を採取するのが難しい植物です。
もし種を取りたい場合は、実が少し黄色く色づいてきたら、小さなティーバックの袋を種周りにかけてテープやホチキスで袋を止めて固定します。
そうする事で、実が弾けても種を逃さないようにします。　挿し木をする場合、５月末〜７月くらいまでに行います。枝先を１０〜１５センチほどの長さで切り取り、下の方の葉を取り除き、水につけます。数日で根っこが生えてくるので、それを土に植えれば、簡単に株を増やせます。
枝を切る時は、切れ味の良いハサミもしくはカッターで行い、切り口がギザギザにならず、すっぱりきれいに切れるようにするのがポイントです。

「鳳仙花」は中国名をそのまま音読みしたもので、花を鳳凰が羽を広げて飛んでいる姿に見立てて、この名前がつけられたとされています。
そして、中国やインド、韓国などでは、この葉を染料として爪に色をつけて利用していました。この爪を染める風習は、沖縄にも残っています。
有名な沖縄民謡の「てぃんぐさぬ花」のてぃんぐさぬとはホウセンカの事。この爪に塗った染料が深く染まり落ちにくい事にかけて、親の教えを深く心に染めなさいと言った意味合いの歌詞が歌われています。
それを踏まえて、つまべに、つまくれない（爪紅）という別名があるのを聞くと、納得します。他にも、熟した実を少しでも触ると、たちまちに種をあたり一面に弾けとばす様子から、英語名で「タッチミーノット（触らないで）」という別名もあります。
ちなみに、花言葉も「せっかち」「私に触らないで」「短気」です。種をずっと持っていられない性質が、ここにも反映されています。何に注目するかによって、様々な呼び名があって、なかなか面白い植物です。

ホウセンカは日当たりが大好きな植物です。日当たりの悪いところでは花つきも悪くなります。
置き場所はどうですか？あとはホウセンカの特徴として、短日性があげられます。日中の時間が短くなるのを察知して花を咲かせる植物です。
大体夏至を過ぎて花を咲かせ始めるのですが、外灯が夜中の間当たっているような環境では、この短日を察知せずに蕾がつきにくい事もあるようです。
後は窒素分が多過ぎて葉ばかり茂ってしまっているかもしれません。どれかに当てはまりますか？

以前は小学校や花壇などでもよく植えられていたホウセンカですが、ここ最近は同じ仲間のインパチェンスに人気を奪われ、少し目立たない存在になってきてはいます。
ですが、大変育てやすく夏の間カラフルな花を楽しめる植物として、今も十分鑑賞価値のある植物です。

さらに、ホウセンカは、独特の花の形、種を飛ばす習性、色水につけておくと葉や花の色が染まる様子も確認できる、とても面白い植物。熟した実を見つけたら、パチンと弾けとばしてみて下さい。
子供はもちろん、案外大人も楽しくて夢中になってしまうかもしれません？！真夏の花壇で花として楽しむのはもちろん、子供の夏休みの自由研究素材としてもおすすめの植物です。