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ツツジは学術的にはツツジ科ツツジ属の総称として呼ばれています。同じツツジ属に含まれ、その他のツツジより花が咲くのが１ヶ月ほど遅いサツキツツジ（5月開花）やシャクナゲは、日本国内では違う種類として分類しています。ツツジやサツキツツジがヨーロッパに渡り品種改良された品種は、西洋ツツジ、オランダツツジなどと呼ばれ、それを総称してアザレアと呼んでいます。花も大輪のものや八重咲きの豪華なものが多いのが特徴です。台湾ツツジがベルギーに渡り品種改良された品種は、大別してベルギーアザレアと呼びます。海外ではツツジ類全般をアザレアと呼びます。交配元は日本やアジア原産のツツジという事もあり、とても育てやすい特徴があります。花の咲く時期は一面が花に包まれ、とても華やかです。日本では古いお屋敷や公園、公共の庭で多く見かけます。多くの自生種と交配品種があり、メジャーなものから珍しいものまで、多くの品種があります。

日当たりを好む樹木です。日陰で栽培すると、徒長したり、花つきが悪くなります。そして、排水が良く、Ph4.5から5.5程度の酸性土壌を好みます。とても育てやすい樹木なので、日当たりの良い場所で育てれば、まず失敗はありません。根っこが浅く張る性質があるので、少し乾燥に弱い性質があります。特に鉢植え栽培をする際は、真夏はマルチングをしたり、真夏だけ少し木陰に移動するなど、水切れしないように工夫すると良いでしょう。冬も同様乾燥には注意します。

ツツジは他の植物に比べて酸性土を好みます。大抵の日本の庭土では弱酸性になっているので、そこまで土質を心配しなくても良いですが、もし育てていて成長が悪い場合には土壌のアルカリ性が影響している可能性もあります。植え付ける際に、同じく酸性土を好むブルーベリーなどを植え付けるとき同様、ピートモスを混ぜ込んであげるのも１つの方法です。また鉢植えにする場合は、ブルーベリー専用の土を使ったり、酸性土に少し傾けるために鹿沼土をミックスしても良いでしょう。植え付ける際、ポットから出した根鉢の１〜２周りをよくほぐすか、根巻きものの場合はそのまま植え穴に入れ、少し土を埋め戻した後、たっぷりの水を入れ、水が引いたのちにきれいに土を埋め戻します。

花を楽しむためには肥料も必要です。冬の寒肥として１２〜２月に１度、そして花の終わった後５〜６月に油かすや緩効性肥料を施します。鉢植えは肥料成分が流れやすいので、9月に再度肥料を施します。地植えにした場合は、根付いた後はそこまで水切れを気にしなくても大丈夫ですが、雨が長く降らない時は様子を見て水をやるようにします。鉢植えは、特に夏場は水切れしないよう、水やりが必要です。鉢植え栽培の場合、他の植物同様、乾いたらたっぷりが基本です。

ツツジによく付く害虫にツツジグンバイムシとツツジコナラジラミがあげられます。葉っぱが白くかすれた感じになるのが特徴です。そのまま放っておくと、すす病を併発したりもします。風通しの良い環境、剪定を心がけ、水やりの際に時々強い水圧のシャワーで葉裏から洗い流すようにするのも病害虫防除に効果的です。被害が少ないうちは、被害のある葉を取り除けば良いですが、広がりはじめたら薬剤散布が効果的です。また、若芽や蕾を食べてしまうシンクイムシが発生する事があります。防除ために薬剤散布をしたり、根から薬剤を浸透させる粒状の薬剤をまくのも効果的です。

日本には自生しているヤマツツジをはじめ、江戸時代から数多くの品種が改良され、多くの品種が作られました。日本の山野に自生するマツツジは半落葉性で、北海道から本土、四国、九州、沖縄に様々な品種があります。大島半島に自生するオオシマツツジや、九州に自生するミヤマキリシマ、沖縄に自生するタイワンヤマツツジ、ケラマツツジ、北海道に自生するエゾムラサキなど数多くの品種があります。
ヒラドツツジはツツジの中でも大型の品種で、常緑です。古くは長崎県平戸藩で栽培され、その後全国に広まりました。オオムラサキツツジは、街路や公園など公共エリアでよく使われるツツジで、ヒラドツツジの代表格。リュウキュウツツジも、オオムラサキツツジの交配元の１種とされています。
キリシマツツジは、鹿児島県霧島に自生するヤマツツジとミヤマキリシマから選抜して江戸時代に多く作られた品種で、花と葉は小さく開花時は花が溢れるように咲くツツジの代表的品種。これをもとに、江戸末期から明治時代に久留米で作られたのが久留米ツツジです。花つきがよく、やはり花が溢れるようにびっしり咲きます。実に数多くの品種があり、バリエーション豊かです。アザレアと呼ばれる品種は、元は東アジアや日本の自生種を元に海外で品種改良され、逆輸入されたものを言います。比較的花が大きく、八重咲きの豪華な品種も多いです。他のツツジに比べて寒さに弱い傾向があります。

ツツジは春に花を咲かせた後、梅雨以降初秋までに翌年の花芽を形成します。よく花が咲かないという人の多くが、夏以降の花芽形成後に剪定をしている事が多いです。刈り込みは花後１ヶ月中、最低でも6月いっぱいには済ませれば間違いないでしょう。もちろん刈り込みをしなくても、問題ないのですが、好みの形を維持したい場合や、サイズを留めておきたい場合は必ず毎年花後に剪定をします。刈り込み剪定が主ですが、枯れた枝や込んだ枝など中枝も少し剪定してあげると、より風通しもよくなり病害虫予防に繋がります。

刈り込みの時期はいつされていますか？翌年の花芽を作るのが、梅雨時期以降初秋までになります。大きく刈り込むのであれば、できれば花後１ヶ月以内に済ませ、それ以降は飛び出た枝を切るくらいの手入れにしたらいかがでしょうか？それから肥料も忘れずに！きっと来年は咲くはずですよ。ツツジの剪定の項目を参考にして下さいね。

ツツジを漢字で書くと「躑躅」。躑はためらう、躅はたたずむという意味を持ち、2つの漢字は足踏みして進めない状況を意味します。花が木全体に溢れるように咲く姿は、大変美しく、見惚れてつい足を止めてしまうと言う意味の漢字が使われているのも、なるほど納得します。

ツツジは古く万葉集にも詠われた植物。江戸時代ツツジはとても流行した植物で、多くの園芸品種が作られました。真っ赤な紅色に代表される霧島系統や白や絞り咲きが美しい琉球系統、花弁が細い変わり咲きのモチツツジ系統など、いまだに愛される美しい品種がたくさんあります。ツツジというと、少し古い印象を持つ方もいるかもしれませんが、実はとても奥の深い、日本が誇る園芸文化の１つです。