難易度★

暖かさが安定してくる５月頃、枝いっぱいに花を咲かせるハナミズキ。白花の印象が強いですが、ピンクや濃いピンク色の花色品種、葉に斑の入る品種もあります。
花と言われる部分は実際は苞（ほう）と呼ばれる、葉が変化したものです。庭のシンボルツリーとしても多く使われ、株立ちもあるようですが、幹が１本立ち上がる１本立ちの樹形が多く流通します。
樹高は５〜１０m程にも成長するので、ある程度大きくなることを見越して植える場所を選ぶようにします。あまり西日が強い環境下では、葉が焼けたり、コンクリートの照り返して葉が痛む事もあるので、東から南に面した場所がベストです。
日当たりの良い、また水はけの良い場所を好みます。潮風にはやや弱いですが、比較的強健な樹木です。

成長速度は他の木に比べ、比較的ゆったりしており、さらに自然に樹形が整う樹木なので、シンボルツリーにとても向いています。
環境が良ければ樹高は１０m程になりますが、日本の住宅環境だと、剪定をして４〜５m程で管理することが多いです。秋になる実は人間には食べられませんが、真っ赤な実をつけます。
その実を目当てにたくさんの野鳥たちが好んでやってくるので、野鳥観察を楽しみたい人にもおすすめの樹木です。少し寒さに弱いので、寒冷地にお住まいの方は、庭に植える際には、北風が通り抜けるような場所を避け、植え替え、植え付けは4月がベストです。

庭に植える場合は、植え穴をしっかりと大きく掘って、腐葉土や堆肥を混ぜてから植え付けましょう。
植え穴に根鉢を入れたら、たっぷりの水を行き渡らせて、その水が引いたら土を埋め戻します。植え付けた直後、風などで揺さぶられると根の活着が遅くなり成長にも影響するので、必ず添木や支柱をして固定する事が大切です。
植え付けに適している時期は、落葉している秋から冬、春先までがベストです。寒冷地は春先がおすすめです。
花と紅葉を楽しむためにも、枝がのびのびと成長できるスペースの確保、日当たりの良い場所を選んで植えるのがとても重要です。

庭植えの場合、植え付け直後は乾燥しないよう水やりが必要な事もありますが、一旦根付いたら、特に水やりをしなくても大丈夫です。
もし鉢植えで栽培する時は土が乾いたらたっぷりと水を与え、特に夏場と春先に水が切れないように注意します。肥料は真冬に木の回り数カ所を少し掘って緩効性肥料を施します。場所は幹の周りに施すのではなく、伸びた枝先の真下くらいを目安に施します。

枝葉が混みあって、風通しが悪くなるとうどん粉病になる事があります。中枝が混み合うようであれば、剪定して風通し良く育てましょう。
また葉が萎縮してその後木全体が枯れてしまう白紋羽病は水はけの悪い場所に発生しやすいので、もし水はけのよくない場所であれば、土を盛って植えたり、土壌改良するなど植える時点で工夫します。
その他、少しでも葉が変形したり縮れた幹部があれば、取り除いて病変が蔓延しないように心がけます。

ハナミズキは白花の印象が強いですが、ピンク、赤花（濃いピンク）品種があり、斑入り品種（斑入り葉）もあります。チェロキー・チーフは、桃色の花が美しく花つきが良いのが特徴です。
それよりも色の濃い赤花品種のレッドジャイアントは、満開の頃は特に目をひきます。アップルブロッサムはピンクの花の中央が白い品種で、可愛らしい印象です。
また新品種には、枝があまり左右に広がらない直立性のホワイトラブがあります。植える場所が限られるような狭小地におすすめの品種です。
斑入り葉が美しい品種もいくつかあり、レインボーは、黄緑がかった斑入り葉が美しい品種。チェロキーデイブレークは白の斑入り模様が美しい品種です。
フェアリークラウンは、他とは少し違った雰囲気の花が特徴の品種。通常花が咲く直前はくるりと反り返った花びら（苞）が頂点でくっついています。その後、それが展開して開花しますが、この品種はその名の通り、苞がくっついて王冠のような状態のまま開花を迎える品種です。

基本的には自然樹形が美しい樹木なので、大きな剪定はせずに混み合った枝を取り除く程度が好ましいです。
自然樹形を生かすためにも、刈り込みのような剪定をせずに、混んだ枝を間引いて自然な樹形を生かした枝抜き剪定をすると、ハナミズキの良さが生きてきます。
また花後６〜７月に翌年の花芽が形成されるので、枝を切る場合、夏以降に大きく切り詰めると翌年花が楽しめないので気をつけます。
もし、大きく切り詰める場合は、葉っぱの落ちた冬に枝ぶりを見ながら行うのがおすすめです。（冬に強剪定した場合は、翌春の花は諦めます）
春に近づき休眠期が開けると、その漢字名「花水木」にもあるように、根から水をぐんぐん吸い上げはじめ、切り口から水分（樹液）が滴り落ちます。ですので、冬の終わり頃、春先に剪定をするのは避けるようにします。

紅葉が美しく出る条件として温度差と紫外線が挙げられます。日中と夜の温度差のある地域の方がより紅葉がきれいに出ます。
そして日陰環境だと、実は花つきも悪くなりさらに紅葉もあまりきれいに出ません。
植えるときに、この２つの事を念頭に植えるのがベストですが、もし周りの木々の枝葉を払う事で少し解決したりするようでしたら、チャレンジしてみて下さい。

ハナミズキの樹木を知らなくても、もしかしたら一青窈さんの代表作「ハナミズキ」でその名を知っている人もいるかも知れません。
英語名ではDogwoodドッグウッドという別名も持ちます。この木の皮を煎じた汁が犬の皮膚病に効果がある事からそのような名がついたとか。

そして、同じく春に花のさく花木「ヤマボウシ」に似ているという事から、アメリカヤマボウシの別名もあります。
ヤマボウシは葉が完全に展開してから花が咲きますが、このハナミズキは花が展開するタイミングで葉も展開し始めます。
ですので、花の時期は、より花色が強調されて美しい樹木です。中にはミニ盆栽として小さく仕立てて楽しむ人もいるようです。
育てやすく、紅葉もきれいで樹形も整いやすい花木のハナミズキ。人気のシンボルツリーであるのも、うなずけます。