湿地性★ 畑地性★★★

一般にカラーと言って思い浮かべる白の花は、川や池など湿った環境を好む湿地性品種です。たまに野生化したものを見かける事もあり、基本的にとても丈夫な球根植物です。半常緑性で極端に乾燥したり低温に当たると休眠状態になり地上部が枯れますが、再度暖かくなると葉を出し始めます。こちらのカラーは葉が大きく、白花が特徴です。畑地性は、乾燥した水はけの良い環境を好みます。春から夏にかけて生育し、真夏以降葉が枯れてきて冬は休眠します。湿地性に比べて葉も花もシュッと細い印象で、葉に点模様の入るものが多いです。園芸店で初夏に多く出回る様々な色のカラーは畑地性で、花数の多く上がるミニカラー系と、花の大きなハイブリッド系があります。

カラーの花に見える部分は苞と呼ばれる葉が変化した部分なので、かなり長期間長持ちします。咲き始めから終わる頃は、それぞれの花によって多少の色変化があります。特に１日の温度差があるうような場所や紫外線のより多い場所の方がより濃い色の花を楽しめます。逆に紫外線量が少ない場所だと、購入した時のラベルの写真よりも色が薄くなる事もあります。花が終わってきたら、清潔なハサミで下の方からカットするか、しっかり枯れてから手で引き抜くようにすると取れます。そのまま花がらを放置すると、種をつける事もあります。種をつけると球根が疲弊するので、翌年もまた楽しみたい場合は種をつけないようにします。その後、葉が枯れてきますが、そのままカットせずに自然に枯れていくのを待ちましょう。完全に枯れたら地上部をカットして、それ以降は水やりは控えます。

畑地性のカラーは球根から育てる方法と、初夏に出回る花鉢を購入する方法があります。球根は暖かくなってくる３月後半から４月に植えます。水はけの良い環境を好むので、鉢植えの場合は観葉植物用の用土もしくは草花用土に、ピートモスを２割ほど混ぜてさらに水はけをよくしておくと良いでしょう。鉢植えの場合は球根の大きさにもよりますが、６号〜８号に１個の球根を植え付けます。庭植えの場合、あらかじめ腐葉土や堆肥をすき込んで水はけをよくしておき、程良い日当たりの場所を選びます。球根ごとの間隔は３０センチほど開けます。球根はボコボコした凹凸のある方を上に向けて、球根１〜２個分の深さ（１０センチほど土をかぶせる）に植え込み、その後たっぷりと水をやります。花苗を購入した場合、花が枯れ始めたら新しい土に植え替えて夏越しする方法と、開花中に根をあまりいじらずに庭植えにする方法もあります。環境が合えば、庭植えが一番元気に育ち管理も楽です。

鉢は土の表面が乾いたら鉢底から出るくらいたっぷりの水をやるのが基本です。株元の茎の部分に水がたまった状態になると腐りやすいので、水やりの際、花や葉に水がかからないよう土部分に水をあげます。肥料は植え込みする際、そして４月〜開花する６月頃まで効くように緩効性肥料を施します。真夏、気温が上がってジメジメした環境が大の苦手。その時期に肥料が効いていると病気にかかりやすくなるので、必ず真夏には肥料が切れるようにコントロールします。夏の終わりから秋には葉が枯れ始めます。おおよそ枯れたら特に水やりは必要ないので、屋外で乾燥させた状態で春を迎えるようにします。少し冷え込む地域では腐葉土などでマルチングをして寒さよけをすると良いでしょう。完全な寒冷地は球根を掘り上げて管理します。

カラーの最大の敵は軟腐病です。高温多湿の環境になると、この病気にかかりやすく、球根や茎などが徐々に腐っていって株が枯れてしまいます。この病気を見つけたら、伝染性が強いので株ごと引き抜いてすぐに処分します。鉢花を購入する際も、株元が腐っていないか確認して良い株を購入します。

寒冷地にお住まいの場合は、冬球根を掘り上げて春まで管理するのがおすすめです。地上部分が枯れてくるので、球根を掘り上げます。白く太った球根であれば来年も期待できますが、この時点で茶色かったり貧弱だと翌年はあまり期待できません。余分な土を落とし、日陰でしっかり乾かします。乾きが足りないと腐る原因になるので、ここはしっかり乾かすことが大切です。その後茎の部分を短く切り戻し根っこも取り除き、凍らない環境で段ボールにおがくずや新聞紙に包むなど、球根を乾燥させないようにして保管します。段ボールは幾つかの空気穴を開けておきましょう。凍らない場所で管理します。

湿地性と畑地性で育てる環境がかなり違うので、どちらの品種かをしっかり把握することが大事です。基本的にカラーはお日様が好きですが、日本の高温多湿が大嫌い。そのため置き場所は、明るいけれども少し他の植物で木陰になるような環境が適しています。午前中の日が当たり午後は日陰になる、庭の東側に置くのも良いでしょう。真夏の直射日光に長時間当たるような環境は、必ず避けましょう。畑地性は湿った環境を嫌うので、鉢植えの場合は梅雨時期は雨のかからない軒下環境で管理するのをおすすめします。冬は、関東以南の暖かい地域では、水やりをせずに鉢植えのまま屋外越冬できますが、寒い地域にお住まいの場合は、球根を掘り上げるなどして冬越ししましょう。湿地性は少し水に浸かったような環境を好みます。腐葉土でマルチングするなどして、土が乾燥しないようにします。畑地性同様、半日陰、明るい木陰環境がベストです。湿地性は関東以南など暖かい地域では庭で植えっぱなしでも、環境さえ合えばあまり手間も入らずに育ちます。寒い地域にお住まいの場合は、秋に鉢上げして室内や温室など凍らない場所に取り込みます。

確かに、カラーは日本の蒸し暑い夏の直射日光はあまり得意ではありません。ただし、基本的にはお日様が好きな植物。室内栽培では少し日光が足りません。お庭があるようでしたら、花が咲いている状態でもそのまま庭に植えた方が、元気に育ったりします。ただし午後木陰になるような水はけの良い環境を選びます。鉢のまま花を楽しんだ場合でも、その後花が終わったら新しい土で新たに鉢に植え替えして、蒸れを防いであげると良いでしょう。

カラーの花言葉はその花色ごとに様々あるようですが、白花は「乙女のしなやかさ」「清純」で、花嫁の結婚式のブーケなどにもよく使われています。鉢花は、ギフトとしてもとても人気があります。

球根を植えてからわずか２ヶ月ほどでたくさんの可憐な花が楽しめるカラー。秋植え球根のように植えてから半年後まで待たなくても、すぐに結果が出るのはこの球根の良いところと言えるでしょう。夏越しと冬越しに少しコツが必要ですが、可憐で豪華な花を比較的長い期間楽しめるのは、やはり栽培をしてこそのご褒美です。