難易度★

小さな苗木が主に観葉植物として出回ります。艶感のある濃い緑の葉が美しく、人気のある観葉植物の１つです。
株が成長すると、初夏の５〜６月に、白いジャスミンのような形、香りの花を咲かせます。
ただし、その花は長持ちはせず1〜2日で散ってしまいます。コーヒーの木は、自家受粉と言い、同じ株の花の雄しべと雌しべで受粉をします。
あえて人工的に受粉しなくても実はなりますが、コーヒー栽培をしている農園では、受粉率を高めるためにハチの手を借りていたりします。コーヒー豆として収穫、利用するには赤く熟した実を収穫した後、中身の種を取り出し、しっかり２週間ほど乾燥させます。
それを焙煎すると、私たちのよく知っているコーヒー豆の状態になります。ある程度の日当たりは好みますが、かなり直射日光には弱いので、午後の西日が強くあたる時間には木陰になるような環境で育てるのがベストです。

基本的にお日様が好きな植物ですが、直射日光に長時間さらされると、葉焼けを起こします。できれば午前中によく日が当たる窓辺で、午後は少し木陰になるようなレースのカーテン越しの環境がベストです。
若い苗木のうちは、比較的耐陰性があり、半日陰環境でも成長します。ですが、大きく成長させて花や実を楽しみたい場合は、やはりある程度の日向が必要です。暖かい時期に屋外で育てる場合は、遮光ネットで午後の強い西日を避けた環境を作ってあげると良いでしょう。
冬の寒さに弱く、最低５度くらいまでは耐えられますが、できれば１０度を下回らない環境に置くようにしましょう。寒さに比べると、暑さには強い植物です。
ですが、日本の強烈な蒸し暑い環境は少し苦手です。３５度を超えるような猛暑日には、少し涼しい風通しの良い場所に移動してあげるとより良いでしょう。

木が大きく成長してきたら、混み合った枝を剪定して風通しよく育てます。風通しよく育てると、病害虫予防にもなります。春先４〜５月が剪定のベストシーズンです。
暑さに耐えている真夏と、寒さに耐えている真冬に大きく剪定する事は避けましょう。伸ばし放題にするよりは、定期的に剪定する事で、株姿もコンパクトにまとまります。

ジメジメした状況を嫌うので、水やりは土がしっかり乾いてからたっぷりが基本です。
冬は生育が緩慢になるので、秋から徐々に水やりを控えて、真冬は極力水を控えめにします。冬に水をあげすぎると、根腐れの恐れがあるので、気をつけます。
肥料は緩効性肥料を春に１度、夏の終わりに再度あげます。真夏は暑さに耐えている時期、そして真冬は寒さに耐えている時期なので、真夏と真冬に肥料が効かないよう調整してあげましょう。

風通しが悪かったり、ジメジメした環境にあると病害虫の被害に遭いやすくなります。
特に枝葉が混み合うとカイガラムシの被害に遭う事があるので、剪定をしたり、置き場に注意して風通しよく育てます。
もし枝などに白いロウの塊のようなカイガラムシを発見したら、手に負えなくなる前にブラシなどで擦り落とします。春と秋の雨の多い時期に、葉裏を中心に茶褐色のサビのような症状が出る、サビ病は見つけ次第葉を取り除き、初期には殺菌剤散布などを行うことで蔓延するのを防ぎます。
室内栽培で乾燥が続くとハダニの被害が出る事もあるので、時々シャワー状の葉水をかけて、ハダニの被害を防ぎます。

主に観葉植物として出回るのはアラビカ種が主です。コーヒー豆として世界に出回る６０％も、このアラビカ種とも言われています。
アラビカ種はエチオピアの高山帯が原産で、現在エチオピアをはじめブラジル、グアテマラ、インド、コロンビアなどで生産されています。高山地域原産という事もあり、高温多湿、そして霜には少し弱い性質があります。
カネフォーラ種の変種として作られたロブスタ種も、アラビカ種についで名のしれた品種です。こちらは標高が低い東南アジアやアフリカの一部で作られていて、病害虫に強く、厳しい気候条件にも比較的強い品種です。苗はインターネットなどで出回る事があります。
他にもアフリカのリベリア原産のリベリカ種があります。現在はフィリピンやマレーシアで栽培されている品種です。アラビカ種やロブスタ種に比べて、生産量もかなり少なく、苗としてもかなり希少な品種です。これら3つの種は世界三大品種とも呼ばれています。

植え替え適期は、５〜７月の初夏です。購入したコーヒー苗、もしくは今あるコーヒー株の１〜２まわり大きな鉢を用意し、観葉植物用の用土で植え付けます。
土に肥料が入っていないようであれば、適量の緩効性肥料を混ぜ込んでおきます。鉢から抜いた根っこは少しほぐしてから植え替えます。
根がいっぱいになりすぎると、極度に乾燥しやすくなり、生育にも影響が出るので、１〜２年に１回は必ず植え替えして、リフレッシュさせましょう。

苗木から最低でも３年〜５年は必要です。実を成らすためには、花の開花が必要です。そして、たくさんの果実を収穫するためにはある程度の日照も重要です。
暖かい時期は屋外で栽培し、午前中は日に当てて、午後は強い西日を避けられる木陰になるような環境で育てます。成長期にしっかり肥料をやり、まずは大きく成長させるところから初めてみましょう。

単に緑を楽しむ観葉植物として栽培するには比較的育てやすい植物ですが、たくさん果実を収穫しようと思ったら、大きく育てて花を咲かせないといけないので、ちょっとコツがいる、そんな植物ではないでしょうか？

もし果実がなったら、ぜひマイコーヒー作りにチャレンジしてみましょう。収穫、乾燥、焙煎と手間はかかりますが、楽しめる事間違いありません。
熟した実の中身を割るとほぼ種ですが、うっすらついている果肉は、食べる事ができ、ほんのり甘いのが特徴です。もし収穫できたら、少し味見してみても楽しいですね。
きっと、話のネタになる事でしょう。コーヒー好きのお友達に、美味しいコーヒーと合わせて、コーヒー苗をプレゼントしても、洒落ていて喜ばれそうですね！！