難易度★

モロヘイヤは、クレオパトラのいた古代エジプト時代から食べられていたとされるほど、野菜としての歴史はとても古いのですが、日本へ入ってきたのは１９５０年代と言われ、実際に普及し始めたのは１９８０年以降の新しい野菜の１つです。しっかりと温度が上がった５〜６月に種をまき、８月に収穫の最盛期を迎えます。その後、日が短くなってくると同時に花をつけ始め、秋には種をつけて冬に入る前には枯れる一年草です。成長期には、茎を切り戻し脇芽を多く出す事で、より多くの葉を収穫します。栽培にはある程度の温度が必要なので、栽培開始は他春夏野菜の中でも遅めのスタートになります。葉物野菜の少ない真夏に収穫ができるので、大変重宝する野菜です。日当たりと風通しが良い環境を好みます。

タネから育てる方法と、苗から栽培する方法があります。タネの発芽温度は２５〜３５度と、他の野菜に比べて比較的高温です。種まきはしっかりと温度の上がった５〜６月に行います。黒のポリポットに培養土を入れ、そこへ種を４〜５粒播きます。タネの上には２cm程土をかけ、指で表面を抑えた後、たっぷり水をあげます。その際必ずハス口のついたジョーロ など、シャワー状の水で種が流されないようにたっぷり水をあげます。発芽後、本葉１〜２枚で最初の間引きをして、株元に少し土を足します。本葉３〜４枚で２回目の間引きを行い、液肥もしくは即効性の肥料を与え、ここでも茎がぐらつかないよう土を株元に寄せ、必要であれば土を足します。本葉５〜６枚になったら、１ポット１本に間引きをして、その後高さ１５センチ程に成長したら、最終的にプランターや畑に植え付けます。

畑に植える場合は、あらかじめ堆肥や苦土石灰、緩効性肥料を土に混ぜて畑を準備しておきます。畝は幅３０センチほどは確保して、株間は４０〜５０センチはあけます。プランター栽培する場合は、６０センチ幅の長方形プランターであれば２〜３ポット、１０号鉢（３０センチ）の丸鉢であれば１〜２本を目安に植え付けます。土は野菜用の土や培養土を利用し、もし肥料分が入っていない土であれば、緩効性肥料を混ぜて植え付けをします。畑やプランターに植え付ける際、泥はねと乾燥防止として、ワラなどのマルチング材を株元に敷き詰めるのがおすすめです。菜園であれば、植え付け前に黒マルチを張って畝を作っておくとより良いでしょう。

菜園など地植えの場合は、一旦根付いたらあまり水やりを気にしなくても良いですが、乾燥が続くようであれば、水をあげるようにします。プランター栽培の場合は、乾いたらたっぷりとあげるのが基本です。　肥料は、植え付け事に緩効性肥料をすき込みます。その後は植え付け１ヶ月毎を目安に追肥をします。切り戻しをして多くの葉を収穫したい場合は、肥料分も必要なので、成長期は肥料が効くように管理します。

株間が狭すぎたり、風通しが悪いような環境下では葉っぱに白い粉がついたようなうどん粉病や、葉っぱに黒いスポットが出る黒点病になりやすくなります。おかしな葉を見つけたら、病状が広がる前に早めに取り除きます。これらの症状は、雨が長く続いたり、蒸れたりすると出やすい病気です。特に梅雨時期はむれないように、枝葉が混み合いすぎるようだったら少し間引きをするなど風通しよく育てます。また、植え付け事に株間の間隔を確保して育てることがとても大切です。

畑やプランターに植えた後、高さが５０センチほどに成長したら、１回目の収穫を兼ねて半分くらいの丈に切り戻しをします。茎を切り詰める事で、１本の茎から２本の脇芽が伸びより多くの葉を収穫できるようになります。夏の間はどんどん新しい茎葉が伸びてくるので、放置せずに、こまめに収穫して、よりフレッシュな新しい葉っぱの収穫量を増やします。

モロヘイヤ栽培で一番注意が必要なのが、タネの扱いです。タネやタネの入っているサヤは毒成分が含まれているので、絶対に食べてはいけません。種になると完全に見分けがつくので、それをあえて収穫することはないかと思いますが、花が終わり小さなサヤができ始めた頃は、分かりにくいので注意が必要です。秋を感じ始めると黄色の花が咲き始めます。花が咲き、サヤができ始めると間違って収穫してしまう恐れもあるので、花の咲はじ始めには最善の注意を払うか、花が咲き始めたら収穫もそろそろ終わりのサインと捉えても良いでしょう。

茎が古くなり老化してくると赤っぽくなる事があります。ただ、必ずしもそうなるとは限らないので、それぞれ個体の個性があるかもしれません。より脇芽が出て真っ直ぐに育つ改良品種は出回っているようですが、葉も茎も緑なので、赤い茎の品種があるという可能性は低いでしょう。赤っぽくなった茎はおそらく硬く老化して食べられるような状況ではないはずです。少し大きく切り戻して、即効性の液肥で対応しつつ、まだ温度や時期的に収穫が望めそうならば、新しい脇芽を出させて、柔らかい茎葉を収穫してみては？

夏から秋の始めまで、長い期間収穫できるモロヘイヤ。より長くおいしい葉っぱを収穫するためにも、収穫を兼ねて摘芯、剪定をして側枝がたくさん成長するよう育てるのと同時に、肥料切れにならないようにするのもポイントです。

収穫期を逃さないようにするのも重要です。大体７月から収穫が始まり最盛期は８月です。９月を過ぎると花がちらほら咲き始めます。花がつくと、茎が硬くなり老化してくるので、花がつく前にどんどんこまめに収穫して新たな枝葉を、次から次へと出すようにすると、より長い間、美味しい葉の収穫ができるでしょう。