難易度★★

日当たりの良い、水はけの良い場所を好む多年草です。秋の印象が強いですが、お盆シーズンに咲く夏咲き、秋咲き、冬咲きがあります。園芸初心者や気軽に楽しみたい人は、秋に出回る花や蕾のついたポットマムやボサギク、ガーデンマムを購入するといいでしょう。自然風の庭や和風の寄せ植えを楽しみたい人は楚々とした雰囲気と持つ野生菊や、伝統古典菊。切り花として育てたい人は、スプレーマムがオススメです。

アメリカで鉢植え用として品種改良されたポットマムは、秋になると園芸店で多く出回る菊の１つです。秋の寄せ植え材料としても重宝します。また秋になるとこんもり茂ったボサギクと呼ばれる見事な大株も出回ります。これは小菊をこまめにピンチして半球状に仕立てた株です。その他自然にこんもり半円状に茂るガーデンマムと呼ばれる洋菊もあります。半球状に株一杯に咲く花は見事で、さらに花もちも良く比較的育てやすいので、菊初心者の最初の１鉢にオススメです。

１本の茎にたくさんの花が咲くスプレーマムは洋菊の１つです。花色のバリエーションが豊富で華やかな色が多いのが魅力です。本来背丈が高くなる性質がありますが、矮化剤によってコンパクトに作られポットマムの１つとして秋に出回る事もあります。その場合、翌年以降は本来の性質に戻り背が高くなります。

日本各地の山野に見ることができるノコンギク。他にも、シロヨメナや関東周辺でみられるカントウヨメナなど多くの野生菊があります。非常に育てやすい反面、根の生育も早いので、鉢植えの場合は毎年植え替えした方が良いでしょう。

苗から育てる場合は、４〜６月頃に植え付けをします。または植え替え作業もその時期がベストです。植え付ける前に堆肥と緩効性肥料を施して、その後も定期的に肥料をあげるようにします。秋に購入した株は、その時点で根がいっぱい回っていることが多いので、できれば一回り大きな鉢に植え替えます。つぼみがすでに付いているので、根は崩さずに培養土で植えます。

苗から育てる場合は、春から夏にかけて数回切り戻して枝数を増やしてあげるとよりたくさんの花を楽しめます。最低でも１回は切り戻しをしましょう。秋から購入した株は、花が終わったら地面から５〜１０センチくらいのところまで切り戻して翌年に備えます。春にまた新たな新芽が出てきます。ただし何年も植えっぱなしにしていると、連作障害を起こしてうまく育ちません。２年目以降植え替えたり、挿し芽を作って別の場所で育てる工夫をします。

春から夏ごろまで、定期的に緩効性肥料を施します。他の植物に比べて肥料が大好きな植物なので、肥料が切れないよう注意します。春に植え付ける場合は植え込む前にも堆肥や緩効性肥料を施してから植え込むようにします。

出来るだけ菊の花や葉に水が当たらないよう株元から水をあげるようにします。特にこんもりと茂ったボサギクやガーデンマムを購入した時は、上から水をあげると中が蒸れる事があるので、注意します。開花中はとてもたくさん水を吸うので水切れに注意します。

厚物、菅物などと呼ばれる大菊、小菊を仕立てた懸崖仕立てや盆栽仕立て、一株から数百の花を円形状に咲かせる大造りなどなど。これらの菊細工や仕立てられたや鑑賞菊は日本の伝統の技の集結。海外の植物園から視察が来たり、日本の技術者が指導に行くなど、日本の誇るべき園芸技術の１つです。そういった技術を身近に鑑賞できる菊花展は、足を運んで見る価値ありの展示です。

アブラムシや青虫、さび病、うどん粉病にかかることが多いです。特に成長初期のアブラムシは大量発生しないよう、よく観察しながら育てましょう。薬剤を利用するのも１つの方法です。中には天然成分からできた薬剤もあるので、そういったものを選んでもいいでしょう。風通しの悪い環境で育てるとより病害虫被害にあいやすいので、日当たり、風通し、水はけの良い環境で育てる事が大切です。

中国から奈良時代の終わりに、遣唐使によって日本にもたらされたと言われています。その後江戸時代に菊ブームが起こり多くの品種改良がされました。嵯峨菊、肥後菊、伊勢菊など今も古典菊として、日本各地で脈々と受け継がれている品種も多くあります。また品種によっては比較的簡単に苗を買うことができるので、菊栽培に少し慣れてきたら、そういった変わった品種を育ててみるもの楽しいですね。

菊の花芽が上がる条件に、短日があります。日が短くなって夜の時間が長くなると花芽をつける習性です。そこで菊の生産者さんは、出荷日に合わせて温室にカーテンをして長い夜の状況を作って調節したりします。もし、街灯や室内など常に明るい状況においていたとしたら、いつまでも花芽が付かない事になります。置き場はいかがですか？今一度確認してみて下さい。

食用としてちらし寿司の飾りや吸い物、おひたしとしても多く利用されている菊。お刺身のつまの黄色い菊は、きっと見たことがある人も多いかと思います。あれは単に彩りのためだけでなく、殺菌効果があると言われています。多くのビタミンを含み、もともと古代中国では薬用として食されていたそうです。

タネや小さな苗から無農薬で育てれば食用としてはもちろん、鉢植えで季節の寄せ植えを楽しむも良し、鑑賞菊栽培にチャレンジするも良し、色々楽しめる菊栽培。もちろん菊の伝統の技を見に行くも良し、秋のハイキングで野生菊に出会うも良し、菊の楽しみ方は無限大です。