「段取り八分」という言葉がありますが、おしゃれな花壇づくりを目指すなら、あらかじめ計画を練っておくことが大切です。花壇のサイズから、株幅を予測して必要な花苗の数を割り出しておくとよいでしょう。 初心者さんの場合は、もうここで挫折しそうですね。その場合は、まずホームセンターや花苗店に出かけてみましょう。気に入った花苗をいくつか選んだら、ラベルに書いてある情報を参考にします。購入しようとしている苗は開花期が揃うか、最終的に草丈、株幅はどれくらいになるか、一年草・多年草・球根植物のどれに分類されるかを確認すると、花壇に必要な花苗の数が見えてくるはずです。

初心者卒業の方なら、育てたい草花の開花期、株幅、草丈を把握しておくことが大切なのはご存知ですね。花壇の形を紙に書いて、ラフでいいので植栽の配置図を書いてみましょう。まずは既存の樹木や多年草などを書いておきます。主役にしたい草花はどれか。花色や花形はどんな組み合わせにするのか。脇役としてシックなカラーリーフプランツを加えてみるとか、地面の際にはグラウンドカバーを取り入れてみるとか……花壇の景色をイメージしながら植物を書き入れていきます。「空いているところに植物を植える」のはおしゃれな花壇づくりにはNG。あらかじめ絵を描くように植栽計画をしておくことが、センスアップのポイントです。

ほとんどの植物は、水はけと水もちのよいフカフカの土を好みます。植えつけの約1カ月前、花壇に腐葉土や堆肥などの有機質資材を散布してよく耕し、土にすき込んでおきましょう。この作業は、ほとんど地上部に草花がなくなる2月頃に行っておくと、約1カ月かけて有機物が分解され、春の草花を植え付け始める3月頃にちょうどよく熟した状態になります。
ただし、冬の土づくりをしていなかったとしても、ガーデニングは「始めたい」と思い立ったタイミングでスタートできます。その時は、花壇に市販の培養土や土壌改良資材などを少し足して、よく耕して土づくりをするとよいでしょう。

草花の成長する株幅を見越して、適した間隔を取って定植します。購入した時は苗が小さくても、あっという間に大きく成長する草花もあるので、適した間隔を開けずに密に植えると窮屈に見える花壇になってしまうことも。風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすい状況にもなってしまいます。 まずは植えつける苗の草丈・株幅を確認しましょう。草丈が高くなる草花は後方に、手前に行くほど背丈の低い植物を配すのが基本です。まずはポット苗を花壇に仮置きして、配置を決めましょう。植えつけ直後は、間隔が空いて寂しい花壇のように見えますが、意外に植物の成長は早くたっぷりとよく茂ってくれます。

鉢植えの場合は成長期の水やりは欠かせませんが、花壇の場合は下から水が上がってくるので、それほど神経質に与えなくても構いません。何日も雨が降らずに乾燥する日が続いたら、ジョウロやホースで水やりしましょう。茎葉に勢いがなく、茎葉をしならせていたら水を欲しがっているサインです。
その際は、地際の株元を狙って与えることがポイント。上から雨を降らすように花や茎葉を濡らすと、蒸れやすくなるのでNG。地面に水を勢いよく与えたせいで茎葉に土が跳ね返ると、そこから病気が発生することもあります。流水の量は控えめに、やさしく与えましょう。

土づくりをしっかりしていれば、それほど頻繁に肥料を与える必要はありませんが、ビオラやペチュニアなどたくさんの花を咲かせる一年草は、開花中に追肥をすると繰り返しよく咲き、株の勢いを保つことができます。1〜2週間に1度を目安に、液肥を規定通りに水で希釈して与えると、効きめが早く現れます。球根植物や宿根草などは、その植物の性質に合わせたタイミングで与えるとよいでしょう。

終わった花をそのままにしておくと、見映えが悪いばかりか、病害虫が発生しやすい環境を作ってしまいます。また、開花後に種子を作ろうとして株が消耗する原因にも。植物のエネルギーが種子を作る方へ向かってしまい、花が次々と咲かなくなってしまうのです。花が終わったら早めに摘み取っておくと、種子を残そうとするので次々と花が上がってきます。その際に枯葉を見つけたら取り除き、株まわりを清潔に保っておきましょう。

花壇でたくさん花が咲いたら、切り取って室内に飾ってみてはいかがでしょうか。「とてもいい香りがする」「一日しか持たない花だった」「花瓶に飾っても下からつぼみをあげてどんどん咲いてくれる」「光がないところでは花が閉じてしまう」……身近なところに飾って観察していると、その花の特性がよくわかってきます。今後のガーデニングに向けて、草花への知識を積み上げるともっと楽しくなりますよ！

４月頃から病害虫が発生しやすくなります。害虫は見つけ次第捕殺し、発見初期に対策をして、花壇全体に広がるのを防ぎましょう。早めに薬剤を使って対策しておくのも一案。粒剤を土壌に混ぜたり、スプレータイプの薬液を散布したりすると、効果的です。病気にかかった株は、早めに抜き取って土ごと処分し、周囲に蔓延するのを防ぐとよいでしょう。

一年草は、開花が終わったら枯れてしまうので、抜き取って処分します。空いた所には、次のシーズンの一年草を新たに植えるといいでしょう。
球根植物は、開花後にお礼肥を与え、茎葉が茂っている間はそのままにしておきます。地上部が枯れたらその植物の性質に応じてそのまま放任するか、掘り上げて風通しのよい場所で保存するかします。
多年草は、毎年新芽を出して開花するライフサイクルの長い植物なので、植えっ放しにしておいてOK。樹木類も、基本的には一度植えつけた後はそのまま越年させ、必要に応じて枝の剪定をして管理します。

草花だけで構成する花壇は、草丈で変化をつけたとしても変化に乏しく感じてしまうこともありますね。その場合は、ガーデン資材やアクセサリーを取り入れてはいかがでしょう。アーチやオベリスクなどを配置してつる性植物を絡ませれると、縦のラインが強調されて変化がつけやすくなります。敷地が狭くても、ミニサイズのものもあるので、庭に合うサイズを選んでみましょう。また、バードバスやガーデンチェア、ガーデンプレートなどのガーデンアクセサリーを上手に取り入れるのも一案です。

草花の種類は多く、その性質や草丈、開花シーズンなどを一度に覚えるのは難しいですよね。草花は、その年の気候によっては早く咲いたり、随分大きく育ったりして、毎年データ通りに育ってくれないのが現実であり、そこが自然とつきあう面白みでもあります。ガーデニング上達の早道は、ガーデンダイアリーをつけるのがおすすめです。いつ苗を植えたか、いつ花が咲いたか、草丈や株幅はどれくらいになったか、病害虫の被害にあったか、対策はどうしたか……etc ガーデニングの作業やハプニング、気づいたことなどをメモしておくと、翌年の庭仕事の参考になって、知識がぐんと増えます。ガーデンダイアリー用の便利なアプリもあるので、利用してはいかがでしょうか。

ガーデニングの初心者さんに向けて、花壇づくりのスタート地点からご紹介してきました。ガーデニングの上達のためのポイントをまとめましたが、実は草花と触れ合って、「きれいだな、癒される」「さっそく部屋に飾ろう」と感動する気持ちが一番大切です。花がたくさん咲いてくれれば「もっと花のことを知りたい」「次はどんな花壇を作ろうかな」と、おのずと花を愛する気持ちが育っていくはず。ここで解説してきたことを参考に、ぜひ「花のある暮らし」を楽しんでください。