同系色のピンクのバラを2種類ミックスさせたアーチ。開花期が揃って爛漫に咲く姿は見応えがあります。花のサイズ、八重咲きの花姿が似ている品種を選び、青みがかったピンクと黄色みがかったピンクのバラの競演が、シックな組み合わせです。

アーチの右からは華やかなオレンジのバラ、左からは優美なパステルピンクのバラを仕立てた、2色づかいのアーチです。左下には、紫のクレマチスもあしらい、彩りを添えています。かわいらしいデザインのバードハウスをポイントごとにしつらえた、オリジナル性あふれるアーチが目を引きます。

ガーデンに続くエントランスに設けた、白でペイントした扉とアーチ。経年変化によってシャビーシックな味わいが生まれています。そこへ生命力を感じさせる情熱的な赤バラをはわせ、降るように咲かせて対比させています。ややうつむきがちに咲くバラは、見上げる位置に仕立てるのがコツです。

花のサイズが小さめのつるバラを仕立てた、野趣感漂うアーチ。次々と花を咲かせる多花性タイプを選ぶと、長く楽しめます。ステム（花茎）が強く、花がうなだれないタイプのバラは、正面向きに顔を上げて咲くので、視線の行き先にたっぷりと咲かせるのがおすすめです。

アーチは、土のない場所でも設置できる例です。しっかりと足元を固定できる環境であれば、ベランダなどでもアーチをしつらえることができます。アーチの足元にコンテナに植えたつるバラを配置し、つるを誘引して行けばOK。アーチは縦の空間を彩るので、平面的な空間に変化をもたらし、ダイナミックに演出できます。

まず材質に注目してみましょう。頑丈なアイアン製、防腐処理済みの木製、スチール製、樹脂製など。デザインもシンプルなものから、デコラティブなモチーフが施されたもの、下部にベンチがセットされているものなど多様に揃うので、庭の雰囲気に合うものを選ぶとよいでしょう。サイズもフォーカルポイントになる大型から、小さな庭向きの小型まで、さまざまです。設置方法も脚を地中深くに埋めるものや置き型などがあるので、庭の環境に合うものを選んでください。バラをはわせるなら、ある程度の重さに耐え、強風で倒伏しない頑強なタイプを選ぶとよいでしょう。

バラを仕立てる場合は、アーチに負荷がかかるので脚を地中に深くに埋めてしっかり固定させたいもの。塩ビパイプなどに脚を差し込んでモルタルを流し込み、地中深くに埋め込んで補強する方法もあります。ほかにもアーチの左右の足元に大鉢をセットして固定するものや、脚全体を穴に埋めて横に渡した棒をフックで固定するものなど、製品によって仕様が異なるので、環境に合うものを選びましょう。

アーチ仕立てに向くのは、基本的につる性のバラです。バラの中にはつる状にならず、立ち上がるタイプの木立性もあり、アーチ仕立てには向かないので品種選びには注意しましょう。

つるバラでも、樹勢が強くて8〜10mもつるを伸ばすものもあり、このような品種をアーチに仕立てると、暴れすぎて手に負えなくなるのでご注意を。アーチ仕立てに向くのは、つるを2〜3m伸ばす程度におさまる品種が向いています。つるバラには分類されないシュラブローズ（半つる性）も、樹高が2〜3mになるものならアーチに仕立ててもよいでしょう。

豪華なアーチに仕立てたい場合は、花つきがよいタイプを選ぶのがおすすめ。花のサイズによっても印象は異なってきますよ! 大輪種では華やかでダイナミックに、小輪種では野趣あふれる雰囲気に演出できます。

バラは、アーチの外側に植えつけます。アーチに均等にバラを咲かせたい場合は、左右の足元に、同じ品種を1株ずつ植えるとよいでしょう。ビギナーさんなら、この同じ品種でまとめる方法がおすすめ。開花期が揃い、成長具合もまとまりやすいからです。

狭いスペースや小型のアーチでは、片側に1株のみ植えるのも一案です。この場合、アーチにつるをそわせると、天井部まではよく咲きますが、もう片方の下部までは咲きづらくなります。そのため、片方からは、クレマチスなど開花期が揃う別のつる性植物を這わせると、省スペースできます。

左右に別のバラを咲かせると、楽しみ方も広がりますね。開花期が揃う品種同士を選べば華やかになりますし、あえて早咲きの品種と遅咲きの品種を組み合わせれば、長い期間バラが咲く姿を楽しめます。

配色も同系色にするのか、お互いを引き立て合う反対色にするのか……白と黒赤を組み合わせて色の明度に差をつけてもインパクトが出せます。小輪種×大輪種で花のサイズのメリハリをつけたり、一重咲き×八重咲きで花の咲き姿に変化をつけたり。バラは品種が多数揃うだけに、組み合わせの妙を楽しめます。

ただし、異なる品種を組み合わせる際に気をつけたいのは、樹勢の見極めです。一方が強く茂りすぎて、もう一方はやや弱いタイプの場合は、つるをミックスさせて誘引すると弱いタイプには日が当たらなくなって花つきが悪くなってしまうことも。その場合はしっかりつるを伸ばすエリアを分けてコントロールするとよいでしょう。

バラは品種が豊富に揃うため、花茎の性質も太くてしっかりと花を支えるもの、か弱くて花の重みでしなるものなどさまざま。ミニサイズ〜標準的なサイズのアーチなら、花茎が強くて花が正面を向いて咲く品種がおすすめです。大型で頂部のアーチの幅が広いタイプなら、花茎が柔らかくてうなだれて咲くタイプでも、上からのぞきこむように咲いてくれるので重宝します。

つるバラは、横方向へつるを伸ばすと花枝が立ち上がりやすく、たくさんの花が咲きます。そのため、アーチにつるを仕立てる場合は、縦方向に直線的に伸ばすのはNG。枝を曲げてS字状にうねらせながら、アーチにそわせていくとよいでしょう。

アーチ仕立てにして数年咲かせるうちに、高い場所でしか咲かなくなってくる場合があります。その際は、冬の剪定・誘引の際に、膝くらいまで切り戻す枝、腰回りくらいで、胸のあたりで……と、切る位置を変えてみてください。すると、開花する位置のバランスが取れるようになります。

この記事では、バラを優雅にアーチに仕立てるテクニックについて、ご紹介してきました。バラのアーチ仕立てをマスターしたら、フェンス仕立てやオベリスク仕立てなどにも応用できます。ぜひ庭に豪華にバラを仕立てたアーチを取り入れて、ゴージャスに咲く姿を堪能してください。