難易度★

トムヤムクンやカレーなどの料理のスパイス、ハーブティーやエッセンシャルオイル、虫除けとしても使われるレモングラス。病害虫被害もあまりなく、大変育てやすい植物ですが、熱帯地域原産の植物なので、冬の寒さにはとても弱いです。基本的に氷点下になり霜が深く降りるような地域で育てる場合は、秋に掘り上げて、霜の被害のない場所で越冬させるか、最初から鉢植えで育てて冬に霜の当たらない場所に移動して越冬させます。
春にその他のハーブ植物と並んで小さなポット苗で出回る事が多いです。ハーブや野菜食材としては、専門店に行かないとなかなか手に入らないので、１株あると大変重宝します。

日当たりがよく、水はけの良い場所に植えます。葉っぱを素手で掴むと、ススキなど他のグラス同様手を切ることもあります。園路の近くなど人が頻繁に通るエリアは避けて、葉がふわりと広がるスペースも見越した植栽計画をしましょう。
植える場所を決めたら、その付近３０センチくらいをよく耕し、腐葉土、堆肥、苦土石灰を混ぜた所に植え付けます。もしポットの中で根がグルグル回ってしまっているようなら、ほぐすか必要ならば部分的にカットして植え付けます。根をもし大きく切り詰めるような事があれば、葉っぱ部分も５センチくらいに切り詰めて植え付けます。少し根元を残しておけば、葉っぱがなくなってもすぐにまた葉が生えてきます。鉢植えにする場合は、１０号鉢（３０センチ）に１株を目安に植えます。
植え付けは春と秋にできますが、苗が出回るのが大抵春なので、春の植え付けになると思います。レモングラスは根っこの成長がとても早いので、ポット苗を購入したら、できるだけ早く植えましょう。

レモングラスはお日様が大好きな植物です。よく日の当たる場所で育てますが、株元は乾きすぎないよう、成長期もわらや腐葉土、堆肥などを利用してマルチングしておくのがおすすめです。株が成長して茂ってきたら、葉っぱを収穫し始めましょう。根元を１０センチほど残してハサミでカットします。
株元近くの柔らかく少し膨らんでいる部分を料理に使う場合は、ある程度株が大きく成長してから、必要分だけもぎ取るように収穫しましょう。根元部分は香り高く柔らかいので、すり下ろして薬味のように使ったり、ネギのように刻んだりして利用できます。

一旦根付いたら地植えの場合、特に水やりは必要ありません。鉢植え栽培の場合は、乾いたらたっぷりを心がけます。肥料も多くは必要ありませんが、地植えは春先に１回油かすや緩効性肥料を、鉢植えは肥料が流れやすいので成長期の５〜１０月の期間効くように定期的に緩効性肥料をあげます。

病害虫の被害はほとんどありません。ただし、ジメジメとして水はけが悪く風通しの悪い場所で栽培すると、根腐れを起こしたり、他の植物同様カビやなめくじなどの被害が出ます。風通しよく、水はけの良い環境で育てます。
時々茎に穴を開けて侵入するアワノメイガイネヨトウの被害に遭うことがあります。気づかずにいると根元を食べられて枯れてしまう事もあるので、株元にふんがあったり、黒い斑点のようなものあるなど、おかしな部分を見つけたらすぐにその部分を切り取って処分します。

耐寒温度は５度と言われています。冬氷点下になり霜の降りる地域では、秋に掘り上げて春まで霜の当たらない場所で管理します。株周りをぐるりとスコップで刺して、株全部を掘り上げます。次にスコップやナイフで根を数等分に切り分けて、葉っぱ部分も地際１０〜１５センチに切り詰めます。大きめの鉢を用意し、株分けしたレモングラスを培養土で植えれば完了です。小さな株に小分けしたら、小さなポットに植えますが、大きめに株分けしたものを大きな鉢に植えたり、また数株を大きな１鉢にまとめて植えても良いです。土で埋め戻したら寒さに備えてわらや堆肥、腐葉土などでマルチングをしておきます。
置き場所は、お住まいの地域によりますが、霜の降りない軒下や室内が良いでしょう。掘り上げ作業は、できれば秋も早めに行っておくと、冬が来る前に多少根が成長できるので、枯れるリスクも少ないです。地域によっては、厚めのマルチングで株元を覆うと越冬したという話も聞きます。その場合は、草の刈り取りは春の芽吹き直前にして、秋は地上部はそのまま残しておきます。

真冬を除いた季節であれば株分けが可能です。ベストシーズンは、春と秋です。
秋に株分けをする場合は、移植後に少し根が成長するくらいの温度が残っている時期に行います。株分けする際は、葉っぱを地際から１５センチ程で刈り取ってから行います。根っこを切ることになるので、水の吸い上げ量が減りますが、葉っぱを切り詰めておく事で、吸収と蒸散バランスを保たれます。毎年冬越しのために掘り上げる方は、その時に合わせて株分けをします。

確かにとても寒い地域でも越冬したと聞いたことがあります。色々な条件が揃っての事かとは思いますが、失敗しても良い覚悟でチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
まず秋に株元に厚めに有機資材でマルチングをします（腐葉土や堆肥など）。そして茂った葉を切らずに束ねて株元も合わせてビニールのシートなどで覆いをし、風で飛ばないよう重しをしておきます。春温度が上がってきたら覆いを外して枯れた草を切り詰めます。うまく行けばそれで越冬するでしょう。ただし、小さな苗は寒さにより弱いので、しっかり育てた株で試してみてください。

暖かく一年通して植えっぱなしにできるような地域では、根が強く張る性質を生かして、土留めに使われる事もあります。

シトラールという香りの成分を多く含むハーブなので、生の葉をホワイトリカーにつけて作る虫除けチンキ、それを精製水と混ぜて作る虫除けスプレーなど、自作アロマアイテムも作ることができます。冬越しだけ少し気を使ってあげれば、ほぼ手間いらずのハーブです。