難易度★★★

きゅうりやかぼちゃと同様、ウリ科の一年生草木植物です。分類上は野菜ですが、実際はフルーツ、つまり果実として扱われる植物です。つるを伸ばしながら成長します。種からと苗から育てる方法があります。種を発芽させるのは、そこまで難しくはありませんが、初心者は苗からの栽培が、手間も省けておすすめです。
根が浅い位置に張るので、乾燥や過湿、地温の変化に弱い性質があります。種類はたくさんありますが、大別すると、網目模様のあるネット系、網目模様のないノーネット系があり、果肉も赤系、青系、白系があります。贈呈用として出回るネット系メロンは、ハウスや温室栽培が主流で家庭菜園栽培では少し難易度が高いのが特徴です。屋外で育てる場合はノーネット系メロンがおすすめです。
その中でもプリンスメロンは、甘い果実を収穫でき、大変人気の品種です。また昔から栽培されている皮の黄色いマクワウリは、他のメロンに比べると甘みは劣りますが、大変育てやすく丈夫な品種です。

種から育てる場合は、暖かくなってきた３〜４月にタネを蒔きます。畑に直に蒔かずに、黒のポリポットに培養土を入れ２〜３粒ずつ蒔き、本葉が１枚出た頃に一番成長の良い１本を残します。本葉３〜４枚まで育てた後、畑や鉢に植えます。苗を購入する場合、葉がキレイで虫食いや変色がなく、しっかり節感の詰まった苗を選びます。苗を植えるのは夜間の温度が安定してくる4月下旬〜5月上旬に行います。植え付け前に黒マルチを土に張るか、植え付け後に苗の周りにワラなどのマルチングをするなどの工夫をして地温を高く保ちます。
夜間最低温度が１８度を下回るようであれば、植え付け当初はトンネル支柱にビニールマルチをかけたり、ホットキャップをかけるなどの工夫も必要です。プランター栽培の場合は、ミニ品種を選び、朝顔などを育てる行灯型の支柱やフェンスに誘引しながら育てていくと良いでしょう。
また、１つの鉢にたくさん欲張らず、１０号（３０センチ）の大鉢に１苗を植えます。畑で栽培する場合、つるが伸びることを考慮して株間は１００センチほど確保します。

美味しく大きな実を収穫するためには伸ばし放題にせず、つるを適宜カットしながら育てる、摘心作業がとても重要です。初めに苗で植えたときに伸び出したつるを親づる、その親から出てくる脇芽は子づる、子づるからさらに出てくる脇芽を孫づると言います。孫づるに雌花が付きやすいので、最終的に孫づるに実をならせるよう摘心していきます。
親づるは本葉が４〜５枚出たところで成長点（成長している先端）を摘心します。すると葉の付け根から子づるが伸び出してきます。子づるの中でも生育の良いもの２〜３本を残して、その他はカットします。（プランター栽培の子づるは１〜２本にとどめます。）子づるは２５節で先端を摘心します。（プランター栽培は９番目以降の子づる、そこから出る孫づるは、そのまま伸ばします）。子づるのおおよそ１２〜１５番目の節から出た孫づるだけを残し、そこへ着果させます。それより手前、もしくは以降に出てくる孫づるは、なるべく早く芽を摘み取ります。ただし、子づるの摘心した近辺から出る孫づる数本は、株の勢いを維持するためにも摘心せずに伸ばしておきます。
孫づるに花が咲いたら、その節からさらに１枚葉を残して先端はカットします。１本の子づるに対して幾つかの孫づるを伸ばしますが、実をならせるのは１本の子づるに対して2個ほどに数を制限しましょう。

メロン栽培に肥料は欠かせません。植え付け２週間前に苦土石灰、１週間前には元肥をすき込んでおきます。鉢植え栽培は肥料入りの培養土を使います。この時、適量をきちんと守るようにします。肥料のあげ過ぎは病害虫の発生、つるボケ（実がならず葉ばかり繁る）の原因になります。最初の実がなり始めた頃、追肥を行います。この際も規定量を守りましょう。その後の実割れ（果実が割れてしまう）の原因になります。
プランター栽培の場合は、肥料が流れやすいので、最初の追肥から様子を見て２週間後に必要であれば追肥を行います。水やりは乾いたらたっぷりが基本です。水のあげすぎは、実が割れたり、甘みが落ちたりします。ただし、実の出来初めは、水切れしないように注意します。収穫間近になったら、水をあげすぎると糖度が落ちるので、様子を見ながら制限します。

メロン栽培の最大の敵は、うどん粉病です。葉っぱや茎が白く粉を吹いたような状態になり、放っておくとどんどん広がり、株の成長にも影響します。特に日本のジメジメした梅雨時期には注意が必要です。発生初期に薬剤散布も効果的です。またうどん粉病が広がらないよう、白くなった葉っぱは取り除きます。
そしてウリ科の野菜につくウリハムシも厄介です。あらかじめ防虫ネットで防いだり、見つけ次第取り除き増えないようにします。

メロンは１つの株から雌花と雄花が咲き、それが受粉して実をならせます。雄花の多くは基本的に親づる、子づるに付きます。そして雌花は孫づるに付きます。花の茎の部分がぷっくり膨らんでいれば、それが雌花です。受粉は暖かく晴れた日の午前中に行います。雄花を摘み取り、花びらを取って、中央についている花粉を雌花に擦り付けます。受粉は少し多めにして成長を見ながら摘果して数を制限します。
受粉後、実がピンポン玉状に膨らみ始めたら、摘果作業をします。選抜した孫づる以外にも自然に受粉して実をならせることがあるので、それらは実が小さいうちに早めに摘果します。美味しい実を収穫するためには、果実の量は欲張らないのがポイントです。
地植えで育てた場合は、１株に３〜４個、鉢植えであれば2個くらいに留めます。ただし品種によって、特にミニ品種は地植えでは８個ほど、鉢植えでも２〜４個ほど鳴らせても大丈夫です。品種に適した収穫量を調べておくと良いでしょう。

実が大きくなるのに、受粉してから約４０〜５０日ほどかかります。行灯仕立てやネットで空中栽培をしている場合、実がりんごくらいの大きさになったら、落下を防ぐためにネットなどを利用して玉吊りをします。
地這い栽培の場合は、実の下にわらを敷くなどして直接土につかないようにします。専用のフルーツマットも売られていたりしますので、それを利用しても良いでしょう。実がハンモックに乗っているような状況を作り、茎が折れたり、実が落ちないようサポートしてあげます。サポートは茎ではなく、支柱などに固定します。また最終的に実が大きくなり、完熟に近づくと茎と実の接続部分近くに、離層と呼ばれる白っぽいしわのようなものが現れ始めます。収穫適期のサインを見逃さないように観察しておきましょう。さらに完熟すると、茎から実が自然に離れます。

肥料でも花や実に栄養を活かすにはリン酸の働きが重要です。肥料は定期的にはもちろん必要ですが、必要以上の肥料分は問題となります。メロンの場合、特に土壌の窒素分が多すぎると甘くならないと言われています。
窒素とはNという文字で肥料の配合のところに書いてあります。油かすは窒素量が多めなので、追肥はリン酸分の多いものを使い、実がピンポン球くらいになった時に一度だけ追肥を行います。

メロン栽培の少しややこしい箇所は、やはり摘心作業ではないでしょうか？親づる、子づる、孫づると頭がこんがらがりそうになりますが、伸ばし放題にせず、整枝作業をきちんとして孫づるに実をならせるように育てましょう。

孫づるに雌花が咲きやすいという理由から、孫づるに着果させる栽培方法が定着しているメロンですが、ではなぜ１２〜１５番目に出た孫づるに実を鳴らせるのでしょうか？その理由は、株がしっかりと成長して実に十分な栄養を送れるようになるまで育てるのが、美味しいメロン収穫のために欠かせないからです。
生育初期にうどん粉病や虫にやられて生育が悪くなるのも、その後の生育に大きく影響していきます。メロン栽培の最大のキモは、しっかり温度の上がった頃に栽培をスタートする事。整枝を行って、効率的につるを育てる事。
そして、何より日当たりよく、水はけの良い環境で株を健全にしっかり育てる事で、病害虫被害を避け、兆候があっても手遅れにならないよう最小限で抑える事がとても大切です。