難易度★

一般的に野菜を栽培する時には、日当たりの良い場所を好む品種が多い中、このミョウガは半日陰環境を好む植物。土も少し湿り気のあるような環境が大好きです。庭の片隅などに植えておくだけで、あまり手間もかからずに収穫ができ、とても便利です。
夏から秋にかけて花ミョウガを収穫、春の新芽の伸びだす時期に、ミョウガタケの収穫ができます。花ミョウガは花が咲いてしまう前に収穫する事で、しっかりしまった美味しいミョウガを収穫できます。収穫が遅れると蕾の中がブカブカして美味しくありません。もし収穫が遅れてしまったら花の鑑賞を楽しむのも１つの方法です。薄黄色の一日花で、花としても大変美しいのが特徴です。
日本の野山に見かける事もありますが、実際は東アジア原産の植物。日本へはショウガと一緒に大陸から持ち込まれたのが始まりと言われています。

早春にミョウガの地下茎や、新芽の出たポット苗が出回ります。もしくは育てている友人や知人に根株をお裾分けしてもらう方法もあります。基本的には２〜４月の春先に植え付けますが、凍結しない暖かい地域では秋植えも可能です。
あらかじめ準備しておいた場所を耕し、苦土石灰、腐葉土や堆肥、緩効性肥料をすき込んでおきます。畑に植える場合は、一箇所に２〜３個の株をまとめて植えます。株間は１５センチほど開けるようにします。プランター栽培をする場合は、地下茎をしっかり育てたいので深めの長角鉢に植えると良いでしょう。
新芽を上、根っこを下に向けて植えます。株を切り分けて植える場合、１つの根株に最低でも３〜４つの芽をつけて植えるようにします。植え込んだら土を５〜１０センチ程かぶせ、たっぷり水をやります。その後ワラなどのマルチング素材を厚めにかぶせて乾燥を防ぎます。地植えの場合は、腐葉土をマルチングとしてかぶせておいても良いでしょう。

植え付ける環境は半日陰がベストです。ただし、いくら木陰を好むと言っても暗すぎる場所ではうまく育ちません。木漏れ日が差すような半日陰や、朝日が当たり午後には木陰になるような環境がベストです。
日当たりの良い場所でも、実際栽培できないことはないのですが、ミョウガの株元に強い日差しが終日当たるような所では、乾燥しすぎて、風味の良いミョウガが収穫できません。日差しが強すぎるような環境では、遮光ネットをかけて、育てる方法もあります。
そして必ず株元が乾燥しないようマルチング素材を厚めにかけて、強く乾燥しないようにします。

植え付ける時にしっかりと土づくりをして緩行性肥料を混ぜ込んだ環境で育てます。その後、本葉が２〜３枚伸びた頃に１度追肥をします。その後葉が７〜８枚、もしくは１ヶ月を目安に２度目の追肥を行います。地植えで翌年も掘り上げしない場合は、冬に春先の成長に先駆けて堆肥と肥料を施します。
肥料をまいた後は、土を少し掻いて土と馴染ませるようにします。水やりは乾いたらたっぷりが基本です。庭植えの場合は、すごく乾燥するようだったら水やりが必要ですが、基本的には一旦根付いたら水やりは必要ありません。鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりの水を与えます。乾燥しすぎないよう注意します。

枝葉が混みすぎて風通しの悪いような環境にあったり、日差しが強く当たりすぎたり、土が乾燥しすぎたり、水はけが悪すぎたりすると、病気が発生しやすくなります。植えて数年経った時には、間引きをする事で風通しよく育てます。根茎腐敗病やいもち病、葉枯れ病などカビ菌が原因となって発生する病気にかかることがあります。
葉が黄色っぽく変色したり、葉に斑点状の模様が現れたり、カビが生えたようになったり、腐ったような症状が見られたら、それは株ごと除去して周りに広がらないように注意します。
またメイチュウやヨトウムシなどの食害を受けることもあります。見つけ次第補殺するか、幹部を見つけ次第、被害が少ないうちに除去します。

ミョウガタケは、あまり市場に出回らないだけに、貴重な香味野菜の１つです。しかし栽培農家のように日の当たらない室を用意するとなると、一般家庭で栽培するのは少し難易度が上がります。
大きなバケツの底を抜いたもので芽の周りを囲み、籾殻などを詰めて日差しが入らないような環境を作ってあげます。プロが栽培するような長さのものはできなくても、工夫次第で新芽の軟白栽培は可能です。新芽は普通に育てると、緑色にになってしまい、成長とともにだんだんとえぐみが出てしまいます。
ミョウガタケ栽培までしなくても、出始めの葉の出る前の若い新芽は、小さなうちに収穫すれば薬味として美味しくいただく事が可能です。それを茎ミョウガと呼んだりします。

地植えにすると数年は放置しても毎年ミョウガを収穫できます。ただし地下茎が混み合ってくると、収穫量も減ってきます。4〜５年くらいを目安に株分けをします。プランター栽培の場合は、2年に１回は植え替えて株をリフレッシュさせましょう。
植え替え、株分けは新芽が出る前の２〜３月に行います。株を切り分ける場合は、１０〜１５センチくらいの大きさを目安にします。

いくつか原因が考えられます。1つ目は乾燥しすぎ。2つ目は日が当たりすぎる環境で育てている。3つ目は肥料成分が足りない。極度な乾燥や、株元に強すぎる直射日光が当たると、ミョウガの収穫に影響が出ます。
まずは適した半日陰環境で育てる事、植え替えせずに対応する場合は遮光ネットなどを利用して程よい環境を作る事が大事です。それから追肥もたくさんのミョウガを収穫するためには大切です。後は植えてから４〜５年で、株が混み合ってくると花芽が減ってきます。定期的な植え替えも大事です。

ミョウガの収穫は夏から秋ですが、実際７〜8月半ばの夏に収穫できるミョウガは少し小ぶりで、8月半ば〜9月の秋の始めにかけて収穫できるのは、赤みの差した大きなミョウガです。それらを夏ミョウガ、秋ミョウガと呼び分けたりします。

自宅でミョウガを育てると、夏と秋の花ミョウガ、そして春のミョウガタケや茎ミョウガなど季節を通して、色々な楽しみ方ができるのも魅力です。薬味だけでなく天ぷらやお味噌汁、大量に収穫できたら甘酢漬けなど幅広い料理で楽しめます。また半日陰を好む事から、他の野菜との植え付け場所で競合もせず、さらに数年植えっぱなしで楽しめるので手間がかかりません。もし半日陰の庭の片隅が空いているなら、ミョウガ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか？