難易度★

南米原産の落花生。日本へ入ってきたのは江戸時代と言われています。暖かい地域出身の植物なので、発芽適温は２０〜３０度と言われています。５〜６月上旬に種を播き、その後収穫は９月中旬以降１０月、地域によっては１１月上旬になります。栽培方法は種から育てる方法か、苗を購入して育てる方法どちらかになります。
種から育てる場合、菜園に直に蒔くか、鳥害を防ぐためにあらかじめ小さな黒のポリポットに蒔いて、少し大きく育ててから畑に移植する方法があります。連作障害があるので、1度育てたことのある場所は、２〜３年は開けてから育てるようにします。

菜園など植える場所は、あらかじめ耕して堆肥と肥料、苦土石灰を混ぜて用意しておきます。肥料は多すぎないよう、特に窒素（N）のあげすぎに注意します。種の間隔は３０センチ、畝の幅は７０〜８０センチ確保します。一箇所に２〜３粒の種を蒔きます。地温を暖かく維持するため、できれば黒マルチを張る事をおすすめします。
種まき後、一番警戒しないといけないのが、鳥の食害です。種まきをした畝は、不織布をベタがけして種を鳥に食べられるのを防ぎます。芽が出てくると、不織布がその部分が少しこんもりと盛り上がってきます。発芽がおおよそ揃ったら、不織布を外します。本葉が２〜３枚に育ったら、３本のうちの一番成長の良いものを残し、その他は取り除きます。ポリポットに種を播く場合、黒のポリポットに培養土を入れて、種を３つ播きます。
もしポットの置き場も鳥の食害が心配な場合は、不織布をかけておくと安心です。あらかじめポットで育てるメリットは、鳥の食害を避ける事ができ、また広範囲に渡って不織布をかける必要がないので、資材や手間を省くことができます。ですが、できれば直播の方が、移植で根をいじる事もなく順調に育つので、おすすめです。ポットで育てた場合も、本葉２〜３枚の時点で菜園、もしくはプランターに植え付けます。

落花生はプランターでも栽培できます。ただし、土の中でさやが大きく成長していくので、できるだけ大きな鉢を用意した方が良いでしょう。長角プランターを使う場合は、６０センチくらいある大きなものを選び、株間は３０センチ、１鉢に２株を植えます。できれば３０センチ以上の深さがある深鉢を選びます。
通常の植木鉢の場合は、最低でも８号鉢（２４センチ）、できれば大きな１０号鉢（３０センチ）に１株を目安にします。土は培養土もしくは野菜用の用土を使用します。途中で土寄せ作業をするので、ウオータースペース（鉢の淵から土の高さまで）を多めに確保します。植え付けたらたっぷりと水をやり、よく日の当たる場所で育てます。

豆科の植物は、根の中に根粒菌というバクテリアの一種が共存する事で、空気中の窒素化合物を効率的に変換、取り込む性質があります。ですので、肥料のあげすぎは、逆に草ばかり茂る「つるぼけ」という現象を引き起こします。肥料のあげすぎにならないよう、注意します。
まずは元肥として、肥料成分を畝に漉き込んでおきます。２回目は花が咲き始めて１回目の土寄せのタイミングとなります。肥料の袋には大抵N（窒素）：P（リン酸）：K（カリウム）の配合が書いてあります。特に窒素分が多いものは選ばず、窒素が少なめの配合肥料を選びます。水やりは、地植えの場合、乾燥がひどい時は灌水が必要です。特にさやができ始める７〜8月に極度に乾燥すると、空さやの原因になるので、気をつけます。鉢植えは乾いたらたっぷりが基本です。

葉が少し黄色くすすけたようになるアザミウマ類、スリップスとも呼ばれる虫の被害を受ける事があります。これは葉がボコボコと変形したり、放置するとウイルス病を併発するので、大変厄介です。見つけ次第葉ごと取り除いて、広がりすぎないようにします。地際から萎れたように枯れ、白い菌糸が張る白絹病。
この病気は酸性土を好み高温多湿で発生しやすい性質があります。苦土石灰や牡蠣殻石灰を１回目の施肥のタイミングで施すと、この病気や空さや対策にもなります。

花が咲き始めたら最初の土寄せを行います。落花生周りの土を軽く耕して、そのタイミングで追肥も行います。株の周りを優しく耕す作業を中耕と呼びます。小さな熊手で表層の土を耕してやわらかくします。この作業をする事で、子房柄がより潜っていきやすくなり、また地表面に酸素が供給されるので、より生育が促進されます。
耕す際に合わせて除草もしておきましょう。黒いビニールマルチやワラなどのマルチングをしている場合は、１回目の土寄せのタイミングで取り除きます。また鉢植え栽培の場合は、土寄せのタイミングで少し土を足してあげると良いでしょう。
２回目の土寄せは子房柄が潜り始めたら行います。この時は、土の中で実ができ始める時期なので、中耕はしなくて良いです。立性品種はより株元に、這い性品種はツルが伸びていく場所を見越して広い範囲で土寄せしてあげるようにします。

収穫は、一部試しに実を掘ってみて、さやの網目がくっきりしてきたのを目安に草を引き抜いて豆を収穫します。その頃には葉っぱも下の方から黄色っぽくなって変色し始めます。収穫したての落花生はさやごと茹でて、茹で落花生として楽しめます。

品種によって草が立ち上がるように成長する立性と、茎が這うように広がる這い性、そしてその中間の性質を持つ半立性があります。這い性は茎を広がるように伸ばし、そこから子房柄が土中に入っていくので、地植えで育てるのをおすすめします。そして、栽培期間も品種によって違い、開花から７０〜７５日程度で収穫できる極早生から、開花から９０日程で収穫できる晩生まで様々な園芸品種があります。
また粒のサイズも小粒から大粒まであり、家庭菜園で多く育てられているのは中〜大粒が主です。中でも人気なのは大粒品種。「おおまさり」は落花生の一大国内生産地である千葉県で作出された品種です。一般的な品種の２倍の大きさと、1.３倍の収量が取れるという新品種です。株も横に大きく広がるので、この品種の株間は５０センチほど開けて植えます。特に茹でると美味しさの引き立つ品種です。
他にも、濃厚な香りと甘み、そして病気にも強く育てやすい「Qなっつ」は、乾燥させて煎り落花生に向いた品種です。千葉半立は、半立性品種の代表格。これも煎り落花生に向いた品種です。

実際見てみないとわかりませんが、種が何らかの理由で痛んでいた。もしくは温度が低すぎた。（しっかり暖かくなってから種まきをします）あとは深く土をかけすぎた。（土は１センチほど種の上にかける程度がベストです）または日の当たらないところで育てた。これらに当てはまりますか？種まきした後、ずーっと湿りっぱなしの状況でもうまくいきません。水はもちろんやりますが、しっかり乾いたらたっぷりあげるようにします。さらには鳥に食べられてしまったか。これらの事に気をつけて、次回成功できるといいですね！

湯で落花生の美味しさは、本当に格別です。ほくほくした、まさにイモや栗のような食感と甘みは乾燥ピーナッツとはまったくの別物です。新鮮な生の落花生は、なかなか市場には出回らないので、家庭菜園で育てたからこその味とも言えるでしょう。そして煎り落花生にする場合は、収穫後さやを上にむけて逆さまにした状態で１週間程度天日干しをします。この時期に鳥に食べられないようネットなどでカバーします。
さらにさやを株から外して集め、大きな網などに並べて１ヶ月ほど干します。これをすると長期保存が可能です。大量に栽培した人は、畑でボッチ状に積んで１ヶ月ほど乾かし最終的にさやを集めます。食べる分だけ中身の実を炒ってからいただきます。