難易度★

雌雄異株で太くゴツゴツした幹と、鋭い大きなシダのような葉が特徴的な植物。成長はとても遅く、１年にわずか２〜３センチずつか成長しません。日当たりの良い場所を好みますが、日陰にも比較的耐えます。成熟した株は稀に球花をつけ、雌株は丸い球体状に、雄花は細長い楕円の塊になります。
受粉すると、雌花にはオレンジ色の実がなります。耐寒温度は５度で、それ以下になるような場所では、冬の寒さ対策が必要です。温かな地域では、ものすごく冷える日だけ室内に取り込むという方法でも可能です。葉は固くてとても鋭いので、触ると痛いです。置き場所や植える場所は、それを考慮して選びましょう。

鉢植え栽培の場合、根がいっぱいになったら植え替えが必要です。鉢底から根が出てきていたり、極端に乾きやすくなっている場合、鉢内で根がいっぱいになっている可能性があります。
時期は暖かい成長期の５〜９月に行います。鉢から株を抜く際、鉢底から根っこが飛び出ているようであれば、それをカットしてから抜き取ります。根っこがカチカチになって抜けない場合、植物を持って鉢の縁を何回か叩くと抜けやすくなります。
水はけの良い土を好むので、観葉植物用の土がおすすめです。もしくは培養土にパーライトや赤玉土、バーミキュライトなど排水性の良くなる材料を混ぜ込んであげるとより良いでしょう。根を少しカットして同じサイズの鉢に植えるか、もしくはひと回り大きな鉢に植えます。
地植えの場合は、堆肥、腐葉土を混ぜて、もし排水性が悪いようであれば、パーライトを混ぜるなど水はけの良い環境を作ります。

ソテツは黄色くなった葉っぱをカットする程度で、特に毎年剪定しなくても大丈夫です。ですが、繁りすぎて邪魔になったら葉の下の部分をカットしてスッキリさせます。新しい葉は中央部分から出てきます。
ですので、カットするのは下からと覚えておきましょう。もし強い寒さに当たって葉が汚らしくなってしまったら、５月のゴールデンウイーク時期あたりに葉をカットして丸坊主にしてしまっても、大丈夫です。人によっては、新しい葉が出る前５月初旬あたりに、毎年古い葉を全ても切り落として、新しくきれいな葉を毎年楽しむ人もいます。
一旦葉が全てなくなったとしても、５月末から６月頃には中央から新芽が出てきます。葉を切るときは、できるだけ葉の付け根からカットします。葉は鋭く、素手で触ると痛いので軍手をして、よく切れる剪定バサミを使います。

痩せ地でも育つソテツは、あまり肥料など気にしなくても育ちます。ですが、新芽を促進させるためにも、年に１回、３〜５月に緩効性肥料や油かすを施します。
水やりは、しっかり乾いてからたっぷりが基本ですが、寒さに耐えている冬は、ほぼあげない方が良いでしょう。逆に冬の水のあげすぎは、根腐れの原因になるので、気をつけます。秋から徐々に水やりの回数を減らし、冬はほぼあげなくても良いくらいです。
冬に水やりをする場合は、土が湿る程度を気付いたらあげる程度で十分です。庭植えは雨水のみで、潅水の必要はありません。

ソテツは大変丈夫で、病害虫の心配はあまりありません。ただし、木そのものが弱っていたり、風通しの悪い場所で育てるとカイガラムシがつく事があります。
幾つかついている程度であれば、歯ブラシなどを利用してこそげ落とします。被害が少ないようであれば薬剤散布も効果的です。もし爆発的に増えてしまったら、葉ごと取り除き、他に拡散しないように葉は放置せずに袋に入れてゴミとして処分します。
放置してカイガラムシが爆破的に増えると、木を枯らすこともあります。早めの対処が重要です。

ソテツの耐寒温度は５度と言われています。プランターで育てている場合は、霜があたったり、凍結するような環境下では越冬できないので、冬季は室内に取り込みます。
重くてそれができない場合は、幹にワラなどの防寒材を巻き付けたり、ウッドチップなどのマルチングを株元に撒いて、寒さよけをしてあげます。
庭植えの場合は、わらやこも、ジュート袋などで幹〜葉全てを巻いて防寒します。プロのようにはできなくでも、葉を上に絞ってまとめ、防寒材をぐるりと巻きつけてあげるだけでも効果があります。
関東以南の海岸沿いなど、冬も暖かな場所では防寒せずに、越冬している姿をよく見かけます。また５度を下回る環境下でも、零下にならないようであれば、日のあたる軒下で越冬できたりもします。

ソテツは不定芽と呼ばれる小株を、株元や幹の途中から出します。この子株を取り外して新たな鉢に植えると、新たな株として育てる事ができます。
最低でも５センチ以上大きくなった芽を取るようにします。小さすぎるとうまく育たない事もあります。時期は、成長期の５〜９月の成長期に行います。株元から出た株を取り外す場合、植え替えのタイミングで行うとやりやすいでしょう。
庭植えの場合は、土の際であれば少し土を掘ってゆするようにもぎ取ると取れます。この不定芽は、1つ程度であればそのまま育てても良いですが、たくさんついたのをそのまま育ててしまうと、幹が混んできて風通しが悪くなったりするので、取り外してスッキリさせて育てた方が管理はしやすいです。

鹿児島などの自生地では一日中お日様に照らされているような環境ですが、葉焼けはしていません。それは最初からそのような環境下で少しずつ育ったからです。
基本的に日向が好きですが、日陰にも比較的耐える植物です。購入前の置き場所が、少し遮光されたような半日陰環境に長らくあった場合、急に日差しがギラギラ照りつける環境下に出すと、すぐに葉焼けします。徐々に慣らしていくか、午前中日が差し、午後は半日陰になるような環境で育てるのはいかがでしょうか？
一旦黄色くなった葉っぱは、もう元には戻りません。新芽が上がる直前〜新しい葉が展開してくる5月頃、汚い葉を切り取り新しい新芽に期待しましょう。

ソテツの名の由来は、弱ったソテツの株元に鉄釘を打ち込むと蘇る、つまり「鉄によって蘇る」事から蘇鉄と呼ばれるようになったと言われています。実際に鉄釘を打ち込んで復活するかは、聞いた事がありませんが、名の由来とされています。

室町時代から江戸時代にかけて、他の樹木とは一風変わったエキゾチックなソテツがとても珍重され、好んで植えられました。今も、多くの大名庭園で当時植えられた歴史あるソテツを見る事ができます。
特に冬の期間限定でソテツをコモやワラでグルグル巻きにした冬囲いは、まさに芸術品で、「飾りボッチ」と呼ばれます。冬の防寒をアートに押し上げた日本の職人技術は素晴らしく、一見の価値があります。二条城二之丸御殿や岡山後楽園、桂離宮など、名だたる日本庭園で鑑賞できます。